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「最北端・最先端 新しい時代の新しい大学」を掲げる稚内北星学園大学。国内の4年生大学として初めて「情報メディア学部」を創設し、JavaやLinux、ネットワークなど最先端のIT関連の教育を実践していることで知られている。その稚内北星大が、社会人向けコースとして2004年4月に東京・市ヶ谷に東京サテライト校を開校。2005年4月からは場所を「秋葉原クロスフィールド」に移転し、新天地で社会人向けのリカレント教育を実践する。急速に進化し続けるIT業界において、社会人として働きながら大学に編入して最先端の知識と技術を体系的に学ぶことの大切さ、自分を「磨き直す」ことの重要性にいま、注目が集まっている。 |
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卒業後に何度も戻って最先端を学べる環境 |
急速な技術革新の中を生き抜くITエンジニアに大切なもの。それは、最先端の技術を体系的に身に付けることのできる「環境」ではないだろうか。しかし、日々の業務に忙殺される多くの「社会人ITエンジニア」には、そのような環境も時間的な余裕もない。多くのITエンジニアが仕事の合間を縫うようにして、独学で技術を習得しようと奮闘しているいま、求められているのは、先端技術を体系的に、かつ、実践的に学ぶことのできる「場」である。
このような状況の中で注目されているのが稚内北星学園大学の取り組みである。同大学は、2004年4月から東京・市ヶ谷に「東京サテライト校」を開校して、社会人ITエンジニアのリカレント教育を開始した。社会人が通常の勤務を継続しながら大学3年生に編入して、JavaやLinux/UNIX、ネットワーク管理といったIT関連の技術を体系的・実践的に学べるようにする試みである。
そこには、丸山不二夫学長の強い信念が凝縮されている。「技術は急速に進化する。それに追随するために、大学はIT人材育成の受け皿となるべきだ。社会人となったITエンジニアが卒業後に何度でも大学に戻って最先端を学べる環境を提供する。それが新しい大学のあり方だ」(丸山学長)といい切る。その言葉のとおり、現在、約40名の社会人ITエンジニアが第一期生として、毎週土曜日に東京サテライト校で学んでいる。
東京サテライト校の具体的なカリキュラムを簡単に紹介しておこう。まず、現在第一期生が在籍する3年次では、Java、XML、Linux/UNIX、IPネットワークを中心に、ITを支えるオープンで標準的な技術を基礎から幅広く学ぶ。学生の到達度に対応して単位認定と科目選択の指導を行ってくれるほか、3年次の教育カリキュラムがIT業界で広く評価されているエントリ系のベンダ資格試験に対応している。
2005年4月に開講する4年次では、3年次で学んだことをベースにそれぞれの技術をより深く学ぶほか、個別の指導教員のもとで特定のテーマを選び1年間をかけて「卒業研究」を行う。
都心で働き続けながら最先端の技術を基礎から体系的にじっくりと深く学ぶことのできる「東京サテライト校」。2005年4月には、現在の市ヶ谷から「秋葉原クロスフィールド」計画が実施されつつある秋葉原クロスフィールドへと移転し、ますます学びやすい環境が整うこととなる。
秋葉原クロスフィールド計画とは、産官学連携で「アキバ」を世界的なIT拠点にしようとするもの。稚内北星学園大学は、その計画への参加要請を受け、東京大学や筑波大学らと共に参加し、今後、他大学、IT関連企業などを含め産官学連携の最先端のIT研究も積極的に進めていくという。
すでに、稚内北星学園大学の東京サテライト校とサン・マイクロシステムズ、日本オラクル、日本IBM、シスコシステムズなどの世界的な企業との共催による最先端のIT関連セミナーは「wakhok」シリーズとして、世界からも高い評価を得ているが、今後は、こうした取り組みがますます活発になりそうだ。
新天地で新たなスタートを切る東京サテライト校。そこで学ぶ金田千恵子さんと村松亮智さんにお話を伺った。
最先端の技術を勉強しながら 将来の進むべき途も見えてくる |
「いま一度、自分のITスキルを見直してみたい。もう一度、最先端の技術を積み直してみたかった」。現在、Linux関連の企業に勤務する金田千恵子さんが東京サテライト校の3年次への編入を決意した動機である。Linux関連企業に勤務して約4年が経過し、将来もIT関連業界で働き続ける意思は明確にあった。しかし、「どういった方向性に進むべきかが漠然としていた」という。
稚内北星学園大学 東京サテライト校で学ぶ金田千恵子さん |
将来の進むべき道に悩み、模索していたのである。社会人となって数年が経過した、まさにそのタイミングで自分の将来に思い悩むITエンジニアは多いのではないだろうか。金田さんの場合は、職場では企画やマーケティング、市場調査に関連する業務が多く、開発に携われる経験はほとんどなかったという。「自分がこれまでに学んだこと、身に付けたことがどんどん古くなっていく。新しいことを独学で吸収しても『机上の知識』でしかない。この先、何も分からなくなってしまうのではないかという不安があったのです」。自分の技術を見つめ直したい……。強い気持ちが根底にはあった。
働きながら自らのITスキルを向上させる方法として、セミナーやトレーニングコースに参加するITエンジニアは多い。金田さんは、なぜ「大学3年生への編入」という道を選んだのだろうか。「セミナーやトレーニングコースでは『技術』しか学べない。大学なら2年間、腰を落ち着けて勉強に没頭できる。さらに、4年次のゼミで担当の先生と相談しながら将来の自分が進むべき道を見い出せる。そう思って『大学』を選びました」。
日々進化する技術のみを追求するのではなく、最先端の技術を勉強しながら、将来にわたって進むべき方向性をも明確にできる。そこに「大学編入」の魅力があるのだ。
さて、金田さんのように目的意識が明確ではあっても、社会人と学生、仕事と学業の両立は、さぞかし難しく厳しいと思われる。いかがなものだろうか。「正直にいうと、想像以上に大変でした。授業は土曜日の9時20分から午後6時過ぎまでびっしり。金曜日の夜に会社の飲み会などが入っちゃうともう大変です(笑)」。それでも、「とても充実していて、まったく後悔はしていません」という力強い言葉が返ってきた。「授業でも仲間との何気ないおしゃべりでも、最先端の知識のある先生、レベルも意識も高い学生が集まっていることを肌で感じます。それがとても刺激になる。貪欲に自分から望めば知識も技術も手に入る。こんなにいい環境はないのではないでしょうか」
最後に、2005年4月からいよいよ4年次となる金田さんに将来の進むべき道について尋ねてみた。「ここを卒業したら社会人向けの大学院への進学を考えています。テーマはIPネットワークです。この分野での専門知識を極めてみたい」。社会人と学生との二足のわらじが金田さんの歩むべき道を明確に示してくれたようだ。
通常の授業と「夜学」 「やってやるぞ!」という気持ちになれる |
現在、通信機器メーカーで社会人6年目を迎える村松亮智さんと稚内北星学園大学との出会いは、学生時代にまでさかのぼる。「当時、Javaが脚光を浴び始めたころ、インターネットでJavaについて調べようとすると、何かにつけて稚内北星学園大学の名前が出てきました。ここで勉強してみたいとは思いましたが、いかんせん遠い(笑)。東京サテライト校を知ったときには、社会人でしたが『行くしかない!』と……。Javaを勉強したかったのです」。
稚内北星学園大学 東京サテライト校で学ぶ村松亮智さん |
村松さんは、大学卒業後にはJavaに関連する知識やスキルを身に付けるチャンスに恵まれなかったという。「個人的にJavaの教育コースなどに参加しました。でも2日とか3日でしょう。本当に身に付いたのかどうか不安でした。どうせやるなら本当に知識のある先生の下で、じっくりと本腰を入れて勉強したい。その気持ちが強くて東京サテライト校を選びました。いまはこれまで勉強できなかった分、ここぞとばかりに『勉強してやるぞっ』という気持ちです」
そんな村松さんだが、実際にはやはり仕事と学業の両立は厳しいようだ。授業に遅刻してしまうときもあるという。それでも村松さんが、欠かさず参加しているのが通称「夜学」と呼ばれている授業後の有志による会合である。
東京サテライト校は、社会人向けのコースであり、編入学のための試験もないことから、学生の知識やスキルのレベルは多岐にわたる。深い知識を持った学生もそうでない学生もが集い、授業とは別にコミュニケーションを図る場がこの「夜学」である。「もともとは丸山学長が始めたもので飲み会でもあります(笑)。ただ、話し合われる内容は非常に真面目で技術的。実際に仕事でJavaアプリケーションの開発を手がけている学生がネックとなっていることを話すと、別の学生がアドバイスをする、底力というかレベルの高さを目の当たりにします。とても刺激になって、『オレもやってやるぞ』という気持ちになりますね」
通常の授業と「夜学」と、東京サテライト校で学ぶメリットを十分に体感している村松さんに将来の方向性について尋ねてみた。「Javaアプリケーション開発の会社を立ち上げたい。そのためには、基礎から最先端までJavaに関する知識と技術をいま、ここで押さえておく必要がある。東京サテライト校は、自分から積極的に取り組めばJavaに限らず最先端の知識と技術に触れられる場所。今、ここで頑張りたい」。東京サテライト校第一期生の仲間から将来のIT業界を牽引するようなベンチャー企業が誕生するかもしれない。
世界的IT企業との連携で 最先端を見極める「感性」を |
IT業界の技術革新は早く、とどまることを知らない。その流れに追随できるITエンジニアを育成することを目的に創設された稚内北星学園大学 東京サテライト校。社会人ITエンジニアが、いま一度大学に戻り最先端技術を学ぶ……。「大学の競争力とはコンテンツを生み出す力です。つまりは、教育カリキュラムの充実度にある。技術の進歩に合わせて柔軟にカリキュラムを見直し、『ここに戻ってくれば常に最先端の技術を学べる』という環境を提供する。それが東京サテライト校」(丸山学長)と説明する。
稚内北星学園大学 丸山不二夫学長 |
その言葉を具体的に示す事例がある。東京サテライト校では、通常のカリキュラムとは別に通称「丸山ゼミ」と呼ばれる有志のゼミが通年で展開されている。丸山学長いわく「影のコースです(笑)。これこそ東京サテライト校の大きな魅力の1つ」という。東京サテライト校は社会人向け大学であるため、知識や技術レベルの異なる学生が集う。当然、知識レベル、スキルセットの非常に高い学生もいる。そういった学生や最先端を学びたいという意欲のある学生を中心に構成されているのが丸山ゼミである。例えば、某Java専門雑誌の元編集長などもこのゼミに参加しているという。
さて、丸山ゼミではどのようなことが実践されているのだろうか。具体的には、サン・マイクロシステムズやオラクル、IBMなどとの協力の下、日本にまだ入ってきていない技術・製品のドキュメントの翻訳、教育コースの作成などを手がけている。その製品や技術に「初めて触れるITエンジニアの1人」となれるのだ。まさに最先端の取り組みといえるだろう。さらには、そこで作成した教育コースをベースに、新しい技術をビジネスに結び付けたいとするアーリーアダプタ向けに教育・研修事業までを展開するというのである。「ドキュメントの翻訳、教育コースの作成で、国内初の製品と技術に触れ、研修事業のためにはさらに深い勉強が必要になる。ここで最先端の力が付く」(丸山学長)。
世界的なIT企業とのコラボレーションで進められている丸山ゼミの取り組み。東京サテライト校が2005年4月に、世界的な一大IT拠点を掲げる秋葉原クロスフィールドに移転するのにともない、さらに本格的に展開する予定だ。「最先端といっても3年程度で陳腐化する。トレンドがガラッと変わるのがIT業界。だからこそ常に最先端に触れる必要がある。世界的企業とのコラボレーションで、新しい技術の動向を見極める『感性』を持てるようになる。これはITエンジニアとして大切なこと」(丸山学長)。
通常のカリキュラムと丸山ゼミ。東京サテライト校に入学すれば、「やる気」次第で意のままに勉強できる。基礎から腰を落ち着けて学ぶもよし、最先端を駆け抜けるもよし……。意欲のある社会人ITエンジニアが待ち望まれている。
企画:アットマーク・アイティ人財局
制作:アットマーク・アイティ編集部
掲載内容有効期限:2004年11月15日
【最新】東京サテライト校 学校説明会 | ||||||||
■学校説明会日時 2008年1月13日(日) 2008年2月16日(土) ■内容(下記スケジュールは1/13実施分です)
詳しくは、東京サテライト校学校説明会のページをご覧ください。 ■お問い合わせ 稚内北星学園大学 東京サテライト校 東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル12階 TEL 03-5297-5520 ■参加申込み 東京サテライト校説明会 |
稚内北星学園大学 |
■稚内北星学園大学
情報メディア学部 ■本校 北海道稚内市若葉台1丁目2290番28 電話:0162-32-7511 FAX:0162-32-7500 ■東京サテライト校 東京都新宿区坂町27-5 市ヶ谷光風ビル7F (2005年4月に秋葉原クロスフィールドに移転予定) |
東京サテライト校 編入学説明会 |
■説明会 稚内北星学園大学東京サテライト校の目的・カリキュラムなどの説明を受けることができるとともに、 東京で展開するセミナーや講義の「半日体験」ができます ■日時 13:00〜15:00 15:00より引き続き進学相談会を行います ■対象者 ・スキルアップしたいIT技術者の方。 ・IT産業で働きながら、オープン系の標準技術を基礎から学びたいと考える方(例えば、 COBOLやVisual Basicで開発をしている方)。 ・ IT産業で働きながら、技術の幅をもっと広げたいと考える方(例えば、仕事ではネットワ ーク構築をしているが、Enterprise Javaといったデータベースやプログラミングの技術も学んでみたい方。あるいは、その逆の方)。 ・ IT産業で働きながら、新しい技術に対応して一層のスキルアップをはかりたい方(例えば 、現在業務で行なっている技術が、陳腐化しつつあるのではと不安を感じている方)。 ・ ITを基礎から学びたい方 別の職場で働いているが、ITベンダ系の資格を取得して、IT技術者へ転進をはかりた い方。 ・ 短期大学、高等専門学校、各種専門学校を卒業しているので、4大卒の資格を取得して、 IT技術を学びたい方。 ・ 他の大学に在籍しながら、自分の大学では対応していない新しいIT技術を学びたい方(対面授業は休日開講が基本です。編入生ではありませんが、ダブルスクールが可能にな ります)。 |