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エキスパートを目指すからORACLE MASTERを取得する


2004年8月に@IT自分戦略研究所が実施した読者調査結果によると、ベンダ資格の中でもORACLE MASTERの注目度はひときわ高いことが分かる。現在のところORACLE MASTERの資格保有者は確実に増加中だ。だが、ORACLE MASTER Platinum Oracle9iまでを究めたデータベースエキスパートは、資格のためだけなら受験は勧められないとくぎを刺す。その真意は?


二十余年、データベース技術とともに

富士通 科学ソリューション事業本部 科学ソリューション統括部 八波和茂氏
1983年富士通に入社。科学技術分野の顧客を担当するシステム部門でORACLEデータベースを中心に各種データベース製品を使用したシステム開発を経験。現在は部門内のORACLE技術者の育成やORACLE製品を使用したプロジェクトの支援を担当

 データベースの歴史とともに歩んできた、生粋のエキスパートがいる。富士通 科学ソリューション事業本部 科学ソリューション統括部 八波和茂氏である。八波氏は学生時代から情報科学を専門とし、卒業研究もデータベースを題材とした。1983年に入社して以来、業務ではずっとデータベースを専門としている。技術力では常に最高峰だ。まさにこの道一筋で20年以上を歩んできた。

 20年前といえば、まだ商用リレーショナルデータベース製品がようやく登場し始めたころだ。八波氏も入社後しばらくはメインフレームでデータベースを扱っていたが、8年ほど前からOracleを中心としたデータベースを扱うようになった。現在は科学研究施設を中心に情報システム構築支援を行っている。各プロジェクトでのデータベース関連パートの助っ人的な役割を果たしている。データベースの基礎的理論から最新技術にまで幅広く通じているため、社内だけではなく顧客からも信望が厚い。

 その経歴の長さだけでも十分に信頼を得られるのに、八波氏はデータベース関連のベンダ資格も積極的に取得している。ORACLE MASTERではOracle9i Database Platinum、Microsoft SQL ServerではMCDBA、DB2ではDB2アドバイザーを保有する。しかし八波氏は「資格を取得するためだけなら、受験はお勧めしません。意味がないからです」という。

2004年秋には最上位の資格Platinumも取得

 ではなぜ、資格を取得するのだろうか。若手のエンジニアであれば、まだ少ない実績を資格で補い、市場価値を高めることも往々にしてある。だが、八波氏ならその必要はないはずだ。

 その答えを見いだすべく、八波氏の経歴をOracleとの関係を中心に振り返る。八波氏が業務でOracleを扱うようになったのは1996年ころからだ。当時はいまほど教材が豊富ではなかったため、ひたすらマニュアルと実践で技術を習得したという。ORACLE MASTERに初めて挑戦したのはSilver、追ってすぐ、Gold 8i(現Silver)、Platinum 8i(現Gold)と短期間に制覇した。新バージョンが出れば移行試験も受けてきた。そして2004年秋には9i Platinumにも合格し、名実ともにORACLE MASTERの頂点に達した。

 そんな八波氏でも9i Platinumには苦戦したという。「最後はありったけの力を注ぎ込みました。通勤時間も休日も費やし、自宅にもOracleをインストールしてひたすら実践訓練しました」と、最後は受験対策に没頭した。無事に合格したものの「また新しいORACLE MASTER資格がリリースされれば挑戦します」と八波氏の志気は下がることがない。ただし、「資格はゴールではありません」と念を押す。

知っているからこそ、より効率的な新技術を業務で実装できる

 スキル習得のコツはと聞くと「とにかく手を動かすこと」と、徹底的な実践派だ。「最初は概要をひと通り人から教えてもらう必要はありますが、後は自分で理解しなくてはなりません」と、あくまで能動的に吸収することが大事だと説く。

 しかし、そこまで完ぺきに知り尽くす必要はあるだろうか。あらためて、技術知識を網羅する意義とは何かと八波氏に問うと、「搭載された技術をくまなく網羅することで、業務でより効果的な技術を実装することができます。それによって顧客により最適なソリューションを提供することができるのです」と実務面でのメリットを強調する。

 知識が増えスキルが上がると、相乗効果で業務の質も向上していく。八波氏は長年の業務経験からもその意義を深く理解しているようだ。「いままで経験のない技術をシステム構築に用いることはリスクもありますが、成功すればより大きなメリット、すなわち顧客満足が得られます」と断言する。

 加えて八波氏は新機能を常に把握する必要性を指摘する。「いつまでも新機能に気付かず古いバージョンにある機能で解決するエンジニアもいますが、もったいないです。それでは新しいバージョンで稼働させるメリットが半減してしまいます。新機能を使えば処理効率が格段に向上する場合が多々あります」と語る。実績のある機能でも、新バージョンでは陳腐化していることもあり得る。

認定よりもエンジニアとしての実力向上を図れ

 こうした「知っておくべき」新機能を効率よく網羅するために試験勉強をするのは有効な手段だ。八波氏は「ORACLE MASTERは試験としてもよくできています。押さえておくべき機能がきちんと問われていますから」と高く評価する。さらに若いエンジニアにはこうアドバイスする。「できればORACLE MASTERは若いうちから挑戦するべきです。試験で問われる知識は若いうちに覚えておいた方がいいものばかりです」

 つまり「資格を取得するためだけなら、受験はお勧めしません」とは、資格取得と同時に実力を高めるようにせよということだ。認定証しか残らないような結果では価値は半減する。今後の業務にも生かせるような価値あるスキルとして強化すること、まずはそれを最優先すべきだというのが八波氏の真意だ。資格よりも確かな実力を追求する八波氏からはデータベースエキスパートとしての自負が強く感じられる。

 ところで、資格を取得したことで得た現実的なメリットはあるかを八波氏に尋ねると、「社内でデータベースのエキスパートとして再評価され、仕事が増えました」と少し笑いながら答えてくれた。

人気が高ければライバルも多くなる

 現在、ORACLE MASTERの保有者の有無やその数が商談の条件や入札条件として掲げられることがあり、それで案件も増えるという。そうであればORACLE MASTERは「あると好ましい」どころではなく、データベースエンジニアには「必須アイテム」ともいえる。しかし資格を軽率に扱わないように、まずは自分の実力を豊かにすることを主眼におきつつ、市場価値も高める方策を考えていこう。

 そこであらためてORACLE MASTERに目を向けてみる。ORACLE MASTERは現役エンジニアから高い評価を受けている資格制度の1つだ。冒頭に述べたとおり@IT自分戦略研究所が2004年8月に実施した読者調査を見ても、その人気は裏付けされている。ベンダ資格を見ると、今後取得したい資格として、ORACLE MASTERはほかの資格と一線を画している(図1)。

図1 @IT自分戦略研究所読者調査結果(2004年8月調査)より

 この人気の高さからしても、今後ORACLE MASTER保有者は増加の一途をたどるだろう。そうなると、すでに資格を取得していても安心はしていられない。データベースエンジニアとしての市場価値を高い状態に保つには、より新しいバージョンで、よりハイレベルな資格に合格しておく必要がある。

いまORACLE MASTERを取得するなら10g

 現時点のORACLE MASTER試験の実施状況を見ると、Bronze、Silverまでの試験および移行試験、ORACLE MASTER Gold Oracle9i DatabaseからORACLE MASTER Gold Oracle Database 10gへの移行試験は開始された(10g Goldの試験は2005年春開始予定)。残るのは、実技試験を伴うPlatinum(開始時期未定)だ(表1)。なお、最新の試験実施状況は、日本オラクルのWebサイトで確認できる(2005年1月現在)。

認定資格名または資格の移行
試験名
開始時期
ORACLE MASTER Bronze Oracle Database 10g Bronze DBA 10g
実施中
Bronze SQL 基礎 I
実施中
ORACLE MASTER Silver Oracle Database 10g Silver DBA 10g
実施中
ORACLE MASTER Gold Oracle Database 10g Gold DBA 10g
2005年春予定
ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 10g
未定
未定
Oracle Silver FellowからORACLE MASTER Bronze Oracle Database 10gへの移行 Bronze DBA 10g
実施中
ORACLE MASTER Silver Oracle9i Database
から
ORACLE MASTER Silver Oracle Database 10gへの移行
Silver DBA 10g
実施中
ORACLE MASTER Gold Oracle9i Database
から
ORACLE MASTER Gold Oracle Database 10gへの移行
Gold DBA 10g 新機能
実施中
表1 ORACLE MASTERの資格と各試験の開始時期

 それでは、ORACLE MASTERを取得するまでの道のりを見てみよう。まずはこれまでORACLE MASTERを受験したことがない場合だ。この場合、入門レベルのBronzeから挑戦し、Silver、Gold、Platinumの順で試験を受験することになる。各資格に必要な試験は、次のとおりだ(表2)。

認定資格名
試験名
スキルレベル
ORACLE MASTER Bronze Oracle Database 10g Bronze DBA 10g オラクル技術基礎レベル
・DB管理の概要を理解している
・DB管理者のもとで簡単なDB管理が行える
Bronze SQL 基礎 I
ORACLE MASTER Silver Oracle Database 10g Silver DBA 10g ベータベース管理中級レベル
・DB管理に必要な知識を一通り理解している
・DBの構築および「通常時の運用」が行える
ORACLE MASTER Gold Oracle Database 10g Gold DBA 10g データベース管理上級レベル
・障害発生時に適切なリカバリ方法を判断できる
・適切なチューニング タスクを実行できる
ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 10g
未定
未定
表2 初めてORACLE MASTERに挑戦する場合の試験一覧

 次にOracle9iからOracle 10gの資格(SilverからSilverなど、同等の資格を前提とする)へと移行する場合は、表3のとおりだ。現時点では移行試験などについてアナウンスがないPlatinumを除き、すべての試験で移行試験が開始されている。なお、移行試験についての詳しい説明は、日本オラクルのWebサイトにある「Silver Fellow & ORACLE MASTERの移行パス」に詳細が説明されているので、チェックしてほしい。

資格の移行パターン
試験名
開始時期
Oracle Silver FellowからORACLE MASTER Bronze Oracle Database 10gへの移行 Bronze DBA 10g
実施中
ORACLE MASTER Silver Oracle9i DatabaseからORACLE MASTER Silver Oracle Database 10gへの移行 Silver DBA 10g
実施中
ORACLE MASTER Gold Oracle9i DatabaseからORACLE MASTER Gold Oracle Database 10gへの移行 Gold DBA 10g新機能
実施中
表3 Oracle9iからOracle 10gへの移行試験

 試験は上位の試験になればなるほど、一朝一夕で取得できるものではない。すべての試験が出そろうまで待つのではなく、早めにORACLE MASTER取得を目指した学習を行うことをお勧めする。Oracle 10g資格に向けてエンジンをかける時期が来た。

企画:アットマーク・アイティ人財局
制作:アットマーク・アイティ編集局
掲載内容有効期限:2005年2月6日

■ORACLE MASTERのPR記事一覧
ORACLE MASTERから見えるエンジニアのスキルパス
取得者に聞く! 最高峰Platinumへの過酷な道のり
■ORACLE MASTERを
理解するためのリンク集
Oracle University
Oracle Universityのトップページ。新着情報は常にここに掲載される。
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ORALCE MASTER
日本オラクルのWebサイトにあるORALCE MASTERのコーナー。
キャンペーン・新着コース情報
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最新総合研修ガイドやススケジュールもダウンロードできる。
ORALCE MASTER取得フロー
ORALCE MASTERを取得するための手続きを5ステップで紹介。
ORALCE MASTER Oracle Database 10g資格紹介
4つの資格についての解説
10g資格へのアップグレード
ORACLE MASTER Oracle9i Database資格者が、10g資格へアップグレードするために必要な試験を図で解説。
コースカタログ
Oracle Universityが定期開催している研修コースの一覧。コース名をクリックすると詳細が表示される。

■資格試験内容チェックリスト
Bronze DBA10g

Bronze SQL 基礎 I

Silver DBA 10g(準備中)

Gold DBA 10g(準備中)

Gold DBA 10g 新機能

各試験の出題数や合格基準