英語が苦手なITエンジニア必見!
体験レポート TOEIC 600点への道
第1回 筆者の英語力大公開
北浦訓行
2001/7/20
■初回からもう後悔
詳しくは本文を参照してほしいが、現在のTOEICの点数430点を600点にしようという、エンジニア泣かせの人柱企画 |
この原稿を書き始めた時点で、すでに激しく後悔しています。なぜこんな企画を持ち込んだりしたんでしょう。「TOEIC 600点への道」などと具体的な数字を出したりして、達成できなかったらどう落とし前をつければいいのでしょうか。気を取り直して、グチ原稿になってしまう前に、この企画の趣旨を説明します。
英語の必要性については、あらためていうまでもありません。もちろん、英語が皆無の生活を送ることは不可能ではありませんが、IT業界にお勤めの方であれば、仕事で英語に触れる機会は多少にかかわらずあるでしょう。英語を必要としない部署であっても、ある日突然海外視察などの業務命令を受ける可能性だってあるのです。私も以前そういう目に遭い、非常に苦労しました(それについては後述)。
さて、英語力をアップさせるためには、どうすればいいのでしょうか。海外への赴任が決まっているとか、外国の企業と商談することになったといった事情の方なら、英会話学校に通うのがベストでしょう。しかし、学校に通うことが時間的に難しかったり、費用が捻出できない場合もあります(ちなみに私は両方のケースに当てはまります。コラム「家庭の事情」を参照)。また、さし迫った事情はないけれども、海外旅行のときに便利だから、といった理由で英語を勉強する場合、コストパフォーマンスを考えると、大金を使うのはためらわれます。
そこで登場するのがパソコン用の英語学習ソフトです。パソコンの性能が上がった現在では、英語学習ソフトは映像や音声をふんだんに使ったマルチメディアコンテンツとして、かなり完成度が高くなっていると思われます。しかも、時間があるときに学習を進めることができるのです。たいていのソフトはパソコンショップで購入できますし、インターネット通販で購入することも簡単です。値段も手ごろなモノがたくさんあります。
問題は、果たしてどれくらいの効果が期待できるかです。「買ってみたけど結果はサッパリ」ではガッカリですよね。そこで、不肖私が人柱になり、英語学習ソフト(eラーニングにも挑戦の予定です)で勉強してみて、その結果を皆さんにお伝えするというのが、この企画の趣旨なのです。
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英語力の判定には、TOEICを利用します(下記「TOEICとは?」を参照)。まず最初に、何の対策も行わずにTOEICを受験します。これによって、私の真の実力が判定できます。それから1本の学習ソフトを選んで、勉強を始めます。そして、次のTOEICを受験すれば、そのソフトを使った学習効果がある程度は判断できるのではないでしょうか。TOEICを選択した理由は、英語能力テストとして一般的であることと、比較的頻繁にテストが実施されていることです。
ただし、この企画の目標は、英語力のアップです。判定基準としてTOEICを用いますが、TOEICの点数アップが目標ではありませんから、ご承知おきください。
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■英語力のカミングアウト
さて、この企画の最も“赤っ恥”な部分です。私の英語力と英語体験についてご紹介しましょう。
英語を始めたのは中学1年。私が生まれ育った地方(人口5万人の小さな地方都市。街中で外国人を見かけると、その日の夕食の話題になるくらい)では、多くの生徒が中学1年生になると、近所の英語学習塾に通います。私も通いました。その塾は、学校で使っている教科書を学校の授業よりも先に勉強するというスタイルをとっていました。先生は、当時としてもかなり年輩のおじいさんで、イギリス英語を身に付けている方でした。
余談ですが、イギリス英語では「can't」を「カーント」と発音するので、その塾の生徒はそのように教わりました。ところが学校の授業はアメリカ英語なので、発音は「キャーント」と習います。ある日、その塾に通っている友達が授業中に音読を命じられました。彼は当然「カーント」と読みます。すると、クラス中が大爆笑。もちろん、その塾に通っている生徒だけは笑っていませんでしたが……。
話が脱線してしまいましたが、私は学習塾に通っていたおかげで、英語の成績はまあまあでした。英語という教科は、好きでも嫌いでもありませんでしたが、テストではだいたい80点とか90点くらいは取っていたと思います。
最初の挫折は、高校に進学してからでした。特に、1年生のときのGrammarは悲惨の一言でした。都合の悪いことは忘れるたちなので、ハッキリとは覚えていませんが、たぶん20点台。もしかしたら、10点台を取ったかもしれません(赤面)。これでは進級できないと、マジに心配したものでした。しかも高校でも当初は学習塾に通っていたのですが、何となく合わなくてやめてしまいました。部活もしていたので、練習の後は疲れ切って、勉強どころではありません。幸いにもそんな私でも進級でき、徐々に成績は上がっていきましたが、時すでに遅し。受験にも失敗し、浪人生活が始まったのです。
予備校での英語の授業は、当然のことながら、受験対策です。テストで良い点を取るためのテクニックをいろいろと教わりました(もちろんすでに忘却の彼方です)。大学では、2年生まで英語の授業を受けました。そこで初めてアメリカ人の先生による英会話の授業を受けました。授業後の飲み会では、ここではとても書けないような単語を教わったりしたこともいい思い出です。
社会人になってからも、英語に触れる機会はほとんどありませんでした。せいぜい、ソースプログラムに書かれている英文のコメントを読んだり、UNIXのmanコマンドの表示を眺めるくらいです。「Netscape Navigator」がリリースされてからは、海外のWebサイトを見ることも多くなりましたが、ついつい翻訳ソフトに頼ることも多いのが正直なところです。
私が英語で最も苦労したのは、1994年のアメリカ出張でした。当時勤めていた出版社の某雑誌編集部では、毎年コムデックス(COMDEX)の取材に編集部員を派遣しており、1994年は私が指名されたのです。前年までは2名がチームを組んで取材していたのですが、その年に限ってはなぜか私が1人だけ行くことになりました。しかも、マイクロソフトの厚意で(当時の私にはとても厚意とは思えなかったのですが)、コムデックスの取材後にシアトルに移動し、マイクロソフトのキャンパスを取材することになったのです。
英語は苦手、海外旅行もしたことのない私は、行きたくないとゴネました。が、上司の命令には逆らえません。旅行代理店で飛行機とホテルの手配だけしてもらい、1人機上の人となったのです。コムデックスではホテルのチェックインまでを現地のエージェントがしてくれたので問題はありませんでした。が、チェックアウトからシアトルへの移動、次のホテルのチェックインなどは全部自分で行わなければなりません。
すでに8年前のことなので、記憶が薄れつつありますが、非常に苦労したことだけは覚えています。いま考えても、よくまあ無事に帰国できたものです。自分で自分を誉めてあげたいくらいです(古い?)。フリーになったいまでは、仕事で海外に行くことはありません。打診されても、家庭の事情でお断りしているのです。あと何年かすれば、家族で海外旅行をするようになるでしょうが、英語のできる人が必ず同行するので苦労はしません(コラム「家庭の事情」参照)。
■企画の結果予想
このように、英語に関しては悲しいバックボーンを持つ私ですが、海外取材には行けないにしても、英語ができることで仕事の幅が広がることは間違いありません。それに個人的には、将来海外の暖かい場所で暮らしたいという夢もあります。英語ができて決して損はないのです。というわけで、一念発起して頑張りたいと思います。
何度思い返してみても、「TOEIC 600点への道」は無謀かもしれません。自分の英語の実力を知っている私ですら、どうなるかは皆目見当もつきません。可能性としては、
- 意外とすんなり600点を達成!(そんなハズないな)
- 苦労するもなんとか達成
- 惜敗
- 惨敗
などが考えられますが、何とか2番目の「苦労するもなんとか達成」に持っていきたいと思います。それが無理なら、せめて「惜敗」を……。
私の英語力に足りない点を自己分析すると、筆頭は「単語力不足」です。とにかく、ちょっとした単語でさえ、意味が分からないことが多いのです。具体例は挙げたくありません、あまりに恥ずかしいので。こんな赤っ恥な記事を書くほどの私が例を挙げたくないのですから、推して量れるでしょう。
次に、単語力と同じくらい不足しているのが「ヒアリング」能力です。この点に関しては、英語ができない多くの方が感じていらっしゃることでしょう。字幕版の映画を見ていて、字幕を読みつつセリフを聞いて、英語が聞き取れたつもりになってしまうという悪いクセも持っています。
文法に関しては、それほど心配していません。関係代名詞くらいだったら大丈夫です(大きな声でいえることでしょうか?)。自分では、典型的な「英語のできない日本人」だと思っているのですが、いかがでしょう? もしこんな私が、英語学習ソフトを使うことによって、英語能力が上がったならば(ウットリする言葉ですね)、多くの人にも同じようなチャンスがあるといえるのではないでしょうか。
■TOEICの点数発表!!
この企画がスタートするのに先立って、5月27日に行われた第84回のTOEICを受験しました。結果は、次のとおりでした。
- セクション1(リスニング) 210点
- セクション2(リーディング) 220点
- トータル 430点
TOEICの結果は、受験の約1カ月後に郵送される「Official Score Certificate」で分かります(画面をクリックすると拡大表示します) |
TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表によるとDレベル。「通常会話で最低限のコミュニケーションができる」でした。ちなみに、分かって解答したのが2割。これかなという気持ちで解答したのが2割。残りは当てずっぽうです。これをどのように評価すればいいのか分かりませんが、「リスニングとリーディングがまんべんなく悪い」ということでしょうか? 受験者の平均スコアは、リスニング315.3点、リーディングが248.9点の計564.2点でした。
この結果をふまえ、6月26日から学習を始めました。冒頭にも書きましたが、この企画の目的はあくまでも英語力の向上であって、TOEICの点数アップではありません。従って、ソフトのタイトルなどで「TOEIC対策」などと銘打っているものは、原則として対象外としました(あまりに成果が上がらない場合は使うかもしれません)。
進ちょく状況などは、学習日記を公開していますのでご覧ください。次回からは、ソフトを選択した理由や使ってみた結果などをレポートします。
■使用する予定の教材
この企画で使用する教材の選択の理由は、それぞれのレビュー時にご紹介しますが、以下のことを年頭に選択しました。
- 入手しやすいこと
- 価格が手ごろであること
- 興味が続きそうなもの
パソコン雑誌などでは、発売元から提供を受けてレビューすることが多いのですが、自腹を切る覚悟でないと英語力もアップしないでしょう。というわけで、全部自分で購入します! この基準に合うと思ったものは、次のソフトとサービスです。
英語上達
スタートレック ミレニアムパック(ソースネクスト)
価格:1万3600円
対応OS:Windows95/98/Me、Windows NT 4.0/2000、Macintosh
有名なTVドラマ「スタートレック(The Next Generation)」を題材にした英語学習ソフト。セリフを吹き出しで表示したり、特定の単語の発音を口の動きの動画付きで確認したりできる。さらにわからなかった単語などを印刷して、自分専用の単語帳が作成できる。英語レベルは高校生程度。なお、ミレニアムパックは、第1巻から第3巻までの製品を1つにまとめた製品。
Talk
to Me English A Ver.3.5(エー・アイ・ソフト)
価格:4800円
対応OS:Windows95/98/Me
パソコンとユーザーが英語で対話して学習を進めていくソフト。独自の音声認識システムを搭載したことにより、発音のチェックなどができ、発音を間違えた部分を自動検出して指摘してくれる。英文のスピードは、3段階で調節ができる。English
Aは、TOEIC 600点レベルを目指す人向け。ほかにTOEIC 470点を目指すEnglish B、TOEIC 350点を目指すEnglish
Cがある。
Englishtown
価格:4900円
インターネットを利用したオンライン英語学習サービス。ネイティブの英語教師とのオンラインでの会話練習やジャンル別のコース選択(一般英語、ビジネス英語、試験対策)、英文添削などが受講できる。まずは体験したい人向けに、無料体験コースも用意されている。
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