短期間でも効果の上がる勉強法とは?
XMLマスター:ベーシック試験のポイント
加山恵美
2003/8/9
XMLマスターはエンジニアが注目する資格の1つである。短期間で認知を広め、合格者層も着実に広まっている。今回は試験を取り巻く背景やトレンド、また短期間でも効果の上がる勉強方法についてレポートした。 |
■スタート2年で合格者は4000名突破!
平野洋一郎氏●プロフィール 1987年〜1998年、ロータス株式会社にて、表計算ソフト「ロータス1-2-3 R2.1J」(DOS版)から、グループウェア「ロータス ノーツ/ドミノ」まで、幅広い製品企画とマーケティングを統括した後、1998年インフォテリア株式会社を創立。代表取締役社長/CEO。現在、XML技術者育成推進委員会の副会長兼事務局長を担当。 |
あらためて紹介するまでもないが、XMLマスター試験とはXML技術者認定試験のことである。当試験は近年のXML技術の浸透率や必要性の後押しをうけ、またベンダニュートラルという公平性も評価され、注目を浴びている。
この試験は2001年10月開始なので、スタートからそろそろ2年になる。当初の試験はベーシックのみだったが、約1年後の2002年11月から上位試験であるプロフェッショナルも加わった。開始以来合格者は着実に伸び、今年4月には「XMLマスター:ベーシック」と「XMLマスター:プロフェッショナル」を合わせた合格者が4000名を突破した。
XML技術者育成推進委員会の事務局長である平野洋一郎氏にこの2年弱を振り返ってもらった。まず、「W3CのXML関連技術の進展はありつつも、XMLマスター:ベーシックの範囲には影響がない」ということだ。
「ベーシックはまさに基本であり、現時点では当初から開示している試験範囲や内容に変化はありません。試験は大半がW3C勧告でバージョン1.0の技術を基に構成されています。ただ、中にはXPathなど、バージョン2.0を開発中のものもあります。もし次バージョンが勧告になれば試験内容を改訂することになりますが、差し当たってその必要はありません」
最近、XML技術者育成推進委員会が運営する公式Webサイトでは、試験範囲の詳細項目も掲載されるようになった。興味があれば一度は目を通しておくと参考になるだろう。加えて「Voice of XMLマスター」と題したプロフェッショナル合格者の声も興味深い。
また、試験運営側では試験の品質管理にも努めている。これについて、平野氏はこう語る。
「長い間、試験を続けていると試験範囲は変わらなくても内容をブラッシュアップする必要があります。同じ問題を繰り返し出題しないようにすることや、質問の表現が的確になるように吟味しています。試験は選択式ですが奇をてらった設問はなく、理解している人には迷わず正答が選べるようにしています」
■XMLの基本を確実に把握すること
それでは、XMLを勉強するに当たっての効果的な学び方をインフォテリア株式会社教育部の木村達哉氏に聞いてみた。
「一般的ですが、XMLマスター公式ページでも紹介している、認定教育コースがお勧めです。XMLマスターを取得しているプロのインストラクターによる効果的なコースで、短期間で効率よく勉強できるのではないでしょうか。自習するなら対策用の書籍やソフトを活用すると効果的です。書籍なら、全範囲を網羅してあり、特に演習問題の解説が詳しいものを選ぶとよいでしょう。ただ質問と回答のペアを記憶するのではなく、理解を深めるように熟読するのが確実といえます」
また、実際に技術に触れてみることも大事だ。
「XMLならXML文書を作成してみたり、XSLTで変換してみたりするのもよいでしょう」と木村氏はアドバイスする。正確な文法や記述方法の習得、また実践を踏まえたうえで、適切な用途を理解することが重要だという。
重点を置くべきなのは、当然ながらXMLそのものの理解だ。試験範囲でいうなら、「要素・属性・実体」や、「妥当なXML」と「整形式XML」の周辺だ。ただし「この範囲に山をかけろ」という意味ではなく、XML技術の神髄を理解するうえでもXMLの正確な文法や構造は確実に把握しておくべきだ。
「例えば、要素も属性もデータを記述するという点では同じなので、混同している人がいます。要素の中にデータを書いてもいいし、属性の属性値としてデータを書く方法もあります。しかし、DOMやSAXを扱うとき、属性とは要素の中に含まれているものであるというXMLの基礎を理解していないと、その後の応用で混乱することになります。要素はツリーを形作るもので、属性は必ず要素の中に含まれるという根本的なことを理解しておくべきです」と木村氏は指摘する。
■XML試験で誤りやすいポイントとは?
あいまいな理解だと、実践で「ツリーに属性が出てこないけどなぜだろう?」と困惑することにもなりかねない。特に整形式とツリーモデルの理解があいまいだと苦労する人が多いという。木村氏は「実体参照なども含めて、1つのXMLツリーを完成させるために重要なことは何かをよく理解してください」という。
木村達哉氏●プロフィール 2年にわたりXMLトレーナーとして現場で数多くのトレーニングを担当した後、現在はインフォテリア株式会社の教育部でインフォテリア認定コースの運営や技術サポートを担当。 |
さらに受験者が混乱しやすいのが、実装との兼ね合いだ。つまり、「どこまでが標準技術で、どこからが各社ベンダ特有の技術なのか」という切り分けを明確にすべきなのである。日々の現場からXMLを習得しているだけでは、気が付かない点だといえる。しかし、そうした境界線を明確に把握しておくことは、実践でも重要になる。
上位試験であるXMLマスター:プロフェッショナルとの関連性について、木村氏のアドバイスはこうだ。
「ベーシックとプロフェッショナルの試験範囲では、XSLTとXPathが重複しているので、上位試験を狙うならばこの範囲をよく勉強しておくことが効率的です。また繰り返しになりますが、上位技術を習得する際にも、XMLの基本を正しく理解しておくことは非常に大切です。また、ベーシックではDOMの概要が問われ、プロフェッショナルではDOMやSAXインターフェイスやプログラミングなどを掘り下げて問われます。特にDOMやSAXを実践では扱わない人もいるようなので試験対策で勉強しなくてはならない範囲となるでしょう」
前出の平野氏は、「多少誤解していても実践で使えてしまうこともあります。一度は試験範囲を目安に全体を見直して、知識の整理と確認をしてみるのもいいでしょう」と提案する。
少し時間に余裕が持てそうなら、XMLマスターの受験勉強も兼ねて技術のおさらいをしてみるのもいいのではないだろうか。
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