Tech総研
2010/2/22
まだまだ不況の影響が色濃い日本経済。2009年冬のボーナスについて調査を行ったところ、ほぼ全業界、全業種にわたって軒並み減少、もしくは全面カットと厳しい結果になった。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載) |
「ボーナスが出るだけまだマシ」 というムードさえ |
長引く世界不況の影響で厳しさが予想された2009年冬のボーナス。労務行政研究所が行った東証一部上場218社を対象とした事前調査では、すでに10月段階で「平均支給額は65万9864円、昨冬に比べ13.1%の減少」と伝えられていた。これは同研究所が1970年に調査を開始して以来、最大の減少率だという。
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12月初旬のマスメディア報道でも、支給額は70万円程度で、前年比15%前後の減少、「20年前の水準」に戻ったとされている(2009年12月11日付日本経済新聞など)。世界不況や円高による輸出不振が業績を直撃した製造業での不振が目立つが、非製造業でも前年割れを記録しているという。
「20年前の水準」といわれても、若い読者の多くはピンとこないだろう。20年前の1989年はバブル経済が破裂する直前。物価はもちろんインフレ傾向にはあったが、それでも当時の70万円は相当な購買価値があって、人々の消費意欲も旺盛。そんなにはもらわなかったけれど、それでも仲間と連れだって六本木に繰り出し、派手な忘年会をやったもの──というのは、当時を知る筆者の記憶だ。いかにバブルの真っただ中だったとはいえ、当時の消費者心理は極めてポジティブだった。そこが現在のマインドとはまったく違うところだ。
近年は「ボーナスが出るだけまだマシ」というムードが強い。実際、中小企業の中には冬のボーナスを全面カットするところも出てきた。少なくとも、ボーナスが出たから、何か新しいモノを買おうという意欲は減退気味だ。これがますます消費の低迷に拍車をかけて、不況を長引かせるのだとすれば、まさに悪循環の再生産である。このスパイラルから逃れるのは相当先のことになりそうだ。
全体平均54万円。 前年調査を2割下回る |
Tech総研が2009年12月に行った、20代後半から30代前半にかけての300人のエンジニアを対象としたボーナス調査でも、減少傾向は明らかだ。全体の平均は54万円(税込み)。これは2008年同期の調査(1000人対象)の69万円に比べると、実に2割以上の減少なのだ。調査対象は各回異なるものの、冬のボーナスが60万円台を割り込んだのは、この調査を開始して以来、初めてのことだ。
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年代別平均では20代後半が43.8万円、30代前半が48.2万円、30代後半が60.9万円となった。エンジニアの職種別で見ると、100万円を上回るのは「コンサルタント・アナリスト・プリセールス」のみだ。そのほかの職種については、全年代にわたって回答者がいる職種に限れば、平均額が60万円台を上回るのは「研究・特許・テクニカルマーケティング」と「光学技術」のみ。「システム開発(汎用機系)」「ネットワーク設計・構築」「パッケージソフトウェア・ミドルウェア開発」「回路・システム設計」「機械・機構設計、金型設計」「社内情報システム・MIS」「制御設計」「半導体設計」「品質管理・製品評価・品質保証・生産管理」などは、軒並み30万〜40万円台にとどまっている。
勤務する企業の業種別で見ると、「機械関連メーカー」(92.6万円)が例外的に高く、また「家電・AV機器・ゲーム機器メーカー」(37.6万円)が例外的に低い数字となっている。だが、全体で見ると、IT・インターネット系だから高い、製造業だから低い、というような顕著な傾向は見られない。不況業種がある一方で、好況業種もある、という従来の不況とは、やや異なる結果となった。
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