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ITエンジニアのための社会人大学院巡り

第1回 社会人大学院で「ビジネスと技術の橋渡し」を学ぶ

岑康貴
2009/5/22

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ITエンジニアの「学びの場」として近年、注目を集めている社会人大学院。どのような大学院があり、どのようなことが学べるのか。そして、ITエンジニアが大学院で学ぶ意義とは何なのか。社会人大学院巡りを通じて、ITエンジニアの「学び」を再考する。

 ITエンジニアは常に学び続けなければならない。不況である昨今は学習の絶好の機会といえる。

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 本連載では、ITエンジニアの「学びの場」の1つである「社会人大学院」を取り上げる。まだまだ一般化したとはいえない社会人大学院。そこで学ぶITエンジニアたちは何を求め、何を得ているのだろうか。

 第1回は、東京都品川区にキャンパスを構える「産業技術大学院大学」を訪ねた。情報アーキテクトを育成する「情報アーキテクチャ専攻」と、ものづくりアーキテクトを育成する「創造技術専攻」の2つの研究科を用意する同大学院は、ITエンジニアにとって有益な学びの場であるのだろうか。

開発現場から離れて

 ITインストラクターの中村里美さんはもともと、システムインテグレータ(SIer)に勤めるシステムエンジニア(SE)だった。大学卒業後、新卒でSIerに就職し、4年ほどシステム構築やWebアプリケーション開発などに従事した。その後、IT系の研修・教育会社に転職し、ITエンジニアの育成に携わるようになった。教育に携わるようになってから産業技術大学院大学に入学し、卒業後は同学の登録認定講師としても活動している。

 
 
中村里美さん

 開発から教育へとシフトした中村さんは、開発現場と距離ができてしまったことを悩んでいたという。

 「開発現場の経験があるといっても、技術は日進月歩。現場から離れた結果、教育する立場として、現場のエンジニアと齟齬(そご)が発生するようになりました」

 現場のエンジニアたちと触れ合う機会が欲しかった、と中村さんは語る。

 同時に、教育する立場である以上、自身もさまざまな技術を体系立てて学びたい、という意欲が芽生えたという。これまでの経験を俯瞰(ふかん)すると、領域に偏りがあった。彼女が産業技術大学院大学の門をたたいたのは、こうした理由による。

立場も年齢も動機も違う「仲間」たち

 産業技術大学院大学の創立当初の理念は「ビジネスとテクノロジーの橋渡しとなるアーキテクトを育成する」ことだ。そのため、同大学院ではネットワーク、データベース、ソフトウェア開発といったさまざまな技術領域を過不足なくカバーし、一方でプロジェクトマネジメントをはじめとしたビジネス領域も学べる。

 集まる学生は多種多様だ。中村さんは「同期にはいろいろな立場の人がいた」と語る。

 「大手SIerや、その関連会社に勤めているSEがいれば、ハードウェアベンダのエンジニアもいました。ユーザー企業のシステム部門の方も。年齢に関しても幅広かったですね」

 20代後半の若い世代は「専門性を高めたい」「さまざまな技術領域を学びたい」という意識を持って入学してくる。一方、「これからCIOになるための勉強をしに来た」という40代以上の学生も多い。そのちょうど中間、30代半ばのエンジニアの多くは、「マネジメントを学びたい」という動機を持っていることが多いのだという。

 立場も、年齢も、動機もさまざまな「学生」たちが、同じ教室で学ぶ。ただ「同期」というだけでなく、共に学ぶ「仲間」となる。グループワークやプレゼンテーションの機会が多いだけでなく、実際にプロジェクトチームを組むことになるからだ。

プロジェクトチームで生まれるもの  

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