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転職。決断のとき

第49回 自力でつかんだネットワークスペシャリストへの道

加山恵美
2009/1/7

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転職が当たり前の時代になった。それでも、転職を決断するのは容易なことではない。スキルを上げるため、キャリアを磨くため、これまでと異なる職種にチャレンジしたり、給料アップを狙ったり――。多くのエンジニアが知りたいのは、転職で思ったとおりの仕事ができた、給料が上がった、といったことではなく、転職に至る思考プロセスや決断の理由なのかもしれない。本連載では、主に@ITジョブエージェントを利用して転職したエンジニアに、転職の決断理由を尋ねた。


今回の転職者:福沢隆之氏(仮名・30歳)
新卒で自動車の部品メーカーに就職するが、1年半で退職。ネットワークエンジニアを志し、ソフトウェア開発技術者試験とテクニカルエンジニア(ネットワーク)試験に挑戦した後転職。実践的なスキルを身に付けるが、待遇の悪さと今後のキャリアを考えて、再びの転職を決意した。

 今回登場の転職者、福沢隆之氏のこれまでは「受難続き」といえるかもしれない。しかしその状況から努力を重ねてネットワークのスペシャリストとなり、さらにスキルの幅を広げようとしている。長期的な視野に立ち、自らの手で道を切り開いた福沢氏の軌跡を追ってみよう。

Windows 95ブームに乗って進学

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プロジェクトリーダーのためのスキルとキャリア
日時:2009年1月31日(土)
場所:ベルサール九段 参加費:無料

 いまから十数年前、Windows 95が発売され、社会に大きな衝撃を与えた。これに触発されてIT業界に入ったエンジニアは少なくない。福沢氏もその1人。当時高校生だった福沢氏はWindowsブームを見て「これから稼げるのはこの分野だ」と直感し、大学の電子情報工学科に進学した。

 入学すると大学指定のパソコンを購入。UNIXベースでFreeBSDがインストールされていた。そのおかげで、いまでもviを自在に使いこなせるそうだ。

 大学では、プログラミングよりCPUやチップに興味を持った。ハードウェアに近い方が「肌に合う」と感じ、卒業研究でもFPGA(プログラミング可能なLSI)を取り上げた。ハードウェアが肌に合うのは、福沢氏がクルマ好きだったためかもしれない。

自動車の部品メーカーに就職するも、1年半で退職

 就職先を決める時期になると、福沢氏の心は回路設計と趣味の自動車関係の間で揺れ動いた。だが例えばCPUでは、有名どころはインテルにAMDなど、外国勢が中心である。そのことに違和感を抱いた福沢氏は、自動車の部品メーカーを選ぶことにした。

 自動車の部品メーカーは、一般的に自動車メーカーの系列会社であることが多い。福沢氏が選んだ会社は日産自動車系だった。折しもカルロス・ゴーン氏が日産の社長に就任したころだった。

 入社後、自動車部品のリレー設計を担当するようになった福沢氏だったが、次第に自動車業界に魅力を感じられなくなったという。「当時日産系の下請け会社のうち、黒字を出せていたのはほんの数社だと聞きました。働いていても非効率な経費の使い方が目につくことがあり、自動車業界自体に魅力を感じなくなってしまいました。短期間で辞めるのはよくないとは思いましたが、業界を変えるなら長居する必要はないと思い、就職して約1年半後に退職しました」と話す。

独学でソフトウェア開発技術者に合格

 このころから福沢氏の中に、IT業界への転職という考えが芽生え始めたようだ。しかし自動車業界を断念したものの、IT業界に転職できるような経験やスキルもない。そこで福沢氏は、自宅で独学でITスキルを学ぶことにした。「いまから思うとむちゃだったかもしれません。しかし当時は『何とかなるかな』程度にしか考えていませんでした」という。

 退職後の1年間は、資格試験を勉強する浪人生のような生活を送った。書籍を大量に机に積み、情報処理技術者試験に向けて猛烈に勉強した。まずはソフトウェア開発技術者試験に合格し、その過程でネットワーク分野の面白さに目覚めた。

 テクニカルエンジニア(ネットワーク)取得を目指し、無事試験を終えると、結果を待たずしてWebサイトを通じて転職活動を始めた。未経験ではあるが、ソフトウェア開発技術者に合格し、テクニカルエンジニア(ネットワーク)の結果待ちということは有効に評価してもらえた。無事にネットワークエンジニアとして採用され、エンジニアとしての第一歩を踏み出すことができた。なおこの時のテクニカルエンジニア(ネットワーク)試験は不合格だった。

ルータのサポート業務で実践的なスキルを身に付ける

 実をいえば、この会社での年収は高くはなかった。しかし未経験での転職であったため、「まずはキャリアを積まないと」と考え、修行の心づもりで臨んだ。

 最初は国産ルータの電話サポート業務を担当した。担当したのは、主に家庭向けだが企業の導入例も多い製品で、さまざまなトラブルに対応することになった。トラブルシューティングを通じて、スキルは相当に鍛えられた。原因を特定し、最終的にルータが正常稼働するまでをサポートするには、かなりの知識と知恵が必要だからだ。

 福沢氏は次第にVPNやVoIPにも明るくなった。担当製品ベンダに技術営業として1年半ほど出向したこともあった。テクニカルエンジニア(ネットワーク)に再挑戦して合格し、CCNAなどのネットワーク資格も取得した。新人向けCCNA勉強会の講師を務めるなど活躍の場を広げ、3年ほどたつとLAN構築のプロジェクトにも携わるようになった。

   

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