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転職目的別・これが私の生きる道

第7回 「やりたいこと」で世の中の役に立つ方法

アデコ 高野和幸
2008/10/30

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チームの働く環境を向上させたい

 清水さん(仮名)は専門学校を卒業後、従業員20人ほどのソフトウェア開発会社に入社して5年目のITエンジニアです。

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 中堅システム開発会社などのクライアント企業に常駐して仕事をすることが多く、短期間で数多くの現場を行き来することも珍しくありませんでした。

 「どんな仕事でも引き受ける」という会社の方針から、納期に遅れて過酷な状況になっているプロジェクトを受注することもあり、清水さんもハードな環境で業務を行うことが少なくありませんでした。それでも清水さんは、ITエンジニアとしての仕事にやりがいを感じ、一生続けていこうと決意していました。そしてどんなプロジェクトに参加するときも、いろいろな人に話を聞く機会だと前向きに考え、周囲に積極的に声を掛けるようにしていました。

 ところがどこに行っても、みんなの口から出てくるのは愚痴ばかり……。中には精神的に追い詰められているような人、体調を崩して現場を離れる人もいます。

 もともと人の世話をすることが好きな清水さんは、そうした人たちの力になれることはないかと考えました。そして「話を聞いてもらって気持ちが晴れた」といってくれたチームメンバーの言葉をヒントに、カウンセラーの資格を取得することを思い立ちました。

 忙しい業務の合間を縫って熱心に勉強を続けた結果、みごと資格の取得に成功。ところがこの成果が、清水さんの将来のキャリアプランを大きく揺さぶることになりました。

 メンバーの話を聞くことはできても、共に仕事をするのはほんの短期間のこと。十分なフォローができず、そのことにストレスを感じるようになってしまったのです。いっそのことITエンジニアをやめて、カウンセラーとして活動しようかと悩んだ清水さんは、転職を考え始めたのでした。

外からではなく、中からIT業界を変えたい

 転職を考えた経緯を聞いた後、私は清水さんにこう質問しました。

 「カウンセラーという仕事は、やりがいのある素晴らしいものだと思います。でもこれが本当に、清水さんのやりたいことなのですか?」

 周囲のITエンジニアの働く環境を少しでも改善したいという清水さんの思いは、自分も同じITエンジニアという立場だからこそのものかもしれません。カウンセラーに転職し、ITエンジニアでなくなれば、それは清水さんのやりたいことではなくなってしまうのではないでしょうか。私はそう考えたのです。

 話をするうちに、清水さんの考えは整理されたようです。こう話してくれました。

 「カウンセラーへの転職を検討しているときに感じた、漠然とした不安の原因が分かりました。私の目標は、自分が参加したプロジェクトで一緒に仕事をするITエンジニアたちが、厳しい状況でも前向きに頑張ろうと思えるようにすることです。外からではなく中から変えていくことは、私にしかできないこと、私がやりたいことだと思います」

 そのためにはまずは自分の現状を変えたいという清水さんに、私は「プロジェクトに中長期的にかかわり、複数の部下を引っ張っていくリーダーを目指してみてはどうですか」と提案してみました。

 現場では周囲から頼りにされることが多い清水さんですが、実際のリーダー経験がないことを不安に感じている様子でした。そこで私は、これまでは会社の事業形態のためにチャンスがなかっただけで、意欲とそれを裏付ける実績があれば可能性は十分にあることを説明しました。すると清水さんは「まずは何事もチャレンジですね」と笑顔になり、リーダーとして活躍できる環境に転職することを決意したのです。

 こうして応募をした企業の一部からは、「経験不足のため採用を見送ります」との回答もありました。しかし、私たちが予想していた以上に、清水さんのカウンセラー資格の取得、そして取得までの思いを高く評価してくれる企業が多かったのです。最終的に清水さんは、数社の内定を得ることができました。

 「それだけ困っている現場が多いということですよね。目の前の仲間や部下をフォローするだけではなく、業界全体の流れを変えるようなことができたら、きっともっとやりがいのある仕事になると思っています」

 入社前にあいさつに来てくれた清水さんは、さらに新しい目標を見つけていたのです。

「やりたいこと」を仕事にするには、具体的なイメージが必要

 「やりたいことを仕事にできたらいいのに」と、なんとなく考えている人は多いと思います。

 それを実現するためには、まず「自分がやりたいことは何か」というテーマに真剣に向き合い、悩み、具体的なイメージを描く必要があります。逆にいえば、具体的なイメージが描けていないから、やりたい仕事にたどり着けないのかもしれません。

 まずは普段から、自分が仕事のどんな場面で充実感や幸福感を得られるのかを意識して業務に取り組んでみてはいかがでしょうか。やりたいことのヒントを見つけることができると思います。ぜひトライしてみてください!

 

今回のインデックス
 いわれたままに作るのはイヤ。自ら企画できる仕事がしたい
 過酷な環境で働く仲間を手助けしたい

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筆者プロフィール
アデコ 人材紹介サービス部 コンサルタント
高野和幸
1974年埼玉県生まれ。大学卒業後、テレビゲーム雑誌、パソコン雑誌の編集・ライターを経て、2001年アデコに入社。スーパーバイザーとして、通信キャリアや大手航空会社のユーザー系システム開発企業にて派遣スタッフの管理を担当し、厚い信頼を得る。現在はキャリアコンサルタントとして、IT関連職種を中心に転職希望者のサポートを行っている。日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラーおよびキャリアコンサルタント資格取得。


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