第4回 「なぜ自分は決断できないのか?」の原因を探る
樋口研究室
山口紀子
2010/11/17
■ 決断を遅らせている原因を突き止める
決断を遅らせている原因を突き止めるために、「逆転ビューチェンジ」という考え方を使ってみましょう。
図 逆転ビューチェンジを使って決断が遅れる原因を突き止める |
逆転ビューチェンジでは、言葉を正反対の意味にして、そこから行動を遅らせている原因を突き止めます。
例えば「決断」なら、その反対語は「躊躇(ちゅうちょ)」です。
竹田さんの「決断」という行動を邪魔している原因は、何かに「躊躇」する気持ちや願いではないでしょうか。
転職が遅れたというエピソードについて、竹田さんはいいます。
「当時は、転職することは具体性が感じられず、相応の給料がもらえていたし、残業代も多かったので、そのままで良かった」
勉強が遅れたというエピソードについて、竹田さんはいいます。
「自分の仕事はプロジェクトの支援なので、その作業に関係のない経済やWebの知識には興味がなかった」
健康や体調管理が遅れたというエピソードについて、竹田さんはいいます。
「チームには自分より何倍も仕事ができる人がいて、体調のことよりも、仕事のやり方を考えて乗り切らないといけないと感じていた」
どうやら当時、竹田さんには「上手に現状維持をして仕事を進めていかなければ」という思いがあったようです。だから、大きな変化を伴う「決断」ができず、「躊躇」していたのです。
■ 小さなことから決断・実行してみる
しかし、いまとなっては会社の体制も変わってきているし、スキルアップに励まないといけないし、心身共にタフにならないと仕事を乗り切れない――そう竹田さんは考えています。
そこで筆者は竹田さんに、いくつかアドバイスをしました。
- 転職のタイミングを逃して悔しいのなら、もう一度、いまの会社で昇進を目指すのがいいのか、転職活動をした方がいいのか、考えてみてはどうか
- 経済やWebの知識を身に付けたいなら、まずはスマートフォンを買って使いこなしてみるとか、それを使って経済情報をチェックしてみるところから始めてはどうか
- 健康や体調に関しては、いきなりマラソンをしようなどと考えず、まずは朝の食事を抜かないようにするとか、サプリメントを利用して栄養補給をするなどから始めてはどうか
ポイントは「いきなり大きな決断や行動をしようとせず、小さなことから始める」という点です。何でもいいので、まず1つ決断して、着実に実行することが大切です。
■ 現状維持をやめ、行動する
逆転ビューチェンジで反対語を見つけていくと、「決断/躊躇」だけでなく、自身の行動を遅らせる言葉がたくさん見つかると思います。
例えば、
- 前進/後退
- 好景気/不景気
- 慎重/軽率
- 陽気/陰気
などです。
「決めるべきときなのに決断できない」「やるべきときなのに実行できない」というときは、もしかすると、これらの言葉の狭間にいるのかもしれません。
決断したり実行すると、責任が降りかかってきます。一方、狭間にいるときは、現状維持であり、負荷やストレスが少ない状態です。
でも、現状維持を続けている状態で、大きな得をすることは稀(まれ)です。それどころか、状況が変化しないので、良い仕事ができなかったり、良いキャリアが築けなかったりします。
いまのあなたは、どこにいる状態でしょうか。自身にビューチェンジをかけて、あなたの思う決断や行動を、1つずつ実行に移していってほしいと思います。
筆者プロフィール |
山口紀子●樋口研究室の認定コーチ。ヒューマンマネジメントの分野で活躍しているコンサルタントだが、IT分野の知識も豊富でエンジニアからの信頼が厚い。 |
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