第7回 環境が変わっても生き残れる、「固いキャリア」を築く方法
樋口研究室
山口紀子
2011/2/25
■ 多くのエンジニアが共通の不安を抱えている
筆者は樋口研究室で、数多くのエンジニアと会っています。実はAさんだけでなく、ほかの多くのエンジニアが、Aさんと同じようなことを感じています。
「毎日、同じような指示を受けて、同じような手順で、同じような仕事をやっている。会社が与えてくれる仕事をなんとなくやるだけでは、もしまた不況が来たら、もっとドタバタするに違いない……」
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「会社の上司は必ず変わるもの。いま勤めている会社は、3回もM&Aがあった。10年後は、いまの会社はないかも。もしそうなったら、次の就職先を見つけられるかどうか……」
「IT技術は、時代に合わせて変わっていく。今、身に付けているスキルも使えなくなるかもしれない。時代ごとの最新技術を理解して、ずっとスキルを身に付けていけるだろうか……」
こういう声を聞いて、筆者もいろいろと思うことがあります。
変化の激しい状況下では、先のことを予想しようと思ってもそう簡単にはいきません。しかし、「周りが転職しているから自分もまねしよう」「動かない方が得策のようだから」といって、流木のように漂流していては、良いキャリアは築けません。
再び環境が変化したら、どうするのでしょうか。その場その場はうまくしのげても、いつか必ず対応しきれなくなるときがやってきます。環境が変わっても慌てふためかないためには、安易に流されない「強い自分」を確立しておくことが重要です。
景気や考え方が変化するタイミングで使えるビューチェンジ方法があります。それが、以下に解説する「自分のキャリアを固めるビューチェンジ」です。
■ 変化するときに大切な考え方
あなたのスキルや能力をアピールしていく際には、次のようなビューで順番にやっていくとよいでしょう。
図1 変化する時、自分のキャリアを固めるビューチェンジ |
1.今の仕事(コア)を固めるビュー
1つ目のビューは、会社で与えられた仕事をきちんと成功させること。あなたに対する会社の人事評価は、相対評価(部や課のメンバー内での順位)です。隣にいる同僚や先輩より「ほんの少しだけ」でいいので、良い成果を残そう、そう心掛けて仕事をすることが大切です。会社で与えられた仕事をきちんと成功させることは、自分のキャリアを固めるときの「コア(核)」になります。
2.やりたい仕事の像(形や大きさ)を固めるビュー
2つ目のビューは、自分がやりたい仕事像を考えること。「ああいう人になってみたい」「ああいう仕事をしてみたい」――お手本としたい人を探してみましょう。それが、やりたい仕事像を考えるときの基本です。自分がやりたい仕事像を考えることは、自分のキャリアを固めるときの「形」や「大きさ」になります。
3.「能力」「気力」「体力」(強さ)を固めるビュー
3つ目のビューは、上記を継続して実行するため、「能力」「気力」「体力」を蓄積すること。これはエンジニアの基礎体力となる部分で、自分のキャリアを固めるときの「強さ・強度」になります。この「能力」「気力」「体力」のスキルアップ方法は以下を参考にしてください。
・能力
「能力」をアップさせるには、シンプルですが「勉強を続ける」ことが最も重要です。自宅に帰ったら本を読む、勉強会に参加する、資格を取得する……あなたは勉強の時間をしっかり確保できているでしょうか。
・気力
「気力」をアップさせるには、相談に乗って自分を支えてくれるアドバイザーを見つけましょう。エンジニアである皆さんには、ソーシャルメディア(FacebookやTwitterなど)がその役目を果たしてくれるかもしれませんし、われわれのようなアドバイザーを頼ることもできます。もし、近くに良い先輩がいるなら最高です。あなたの近くにはそういう人はいますか?
・体力
「体力」をアップさせるには、運動や食生活に気を配りましょう。毎朝走って会社に駆け込む行動はマラソンしているのだと感じて走ること。また、食事も単に安く上げるだけでなく、ダイエットや栄養バランスを考えて摂取しましょう。たまにはおいしいものを食べると元気が出ます。あなたは日常を合理的に過ごしていますか?
以上のビューチェンジを頭に入れ、変化の流れに乗り、“強くて固い”キャリア作りを目指してください。
筆者プロフィール |
山口紀子●樋口研究室の認定コーチ。ヒューマンマネジメントの分野で活躍しているコンサルタントだが、IT分野の知識も豊富でエンジニアからの信頼が厚い。 |
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