第1回 ビーチまで徒歩5分。ハワイで働くITエンジニアたち
菅原英治(シグマコンサルティング)
2010/10/29
■ 前後編、2回にわたって「ハワイの日本人ITエンジニアたち」を紹介
今回、インタビューさせていただいたのは、VS社 代表取締役社長の林誠三氏、副社長の渡口和人氏、技術リーダーの石田誠氏の3名です。前編では林氏のインタビューをお送りし、後編で渡口氏と石田氏のインタビューをお送りする予定です。
それぞれ、以下のポイントに従って質問し、ご回答いただくという形式でインタビューを行いました。
- 平日のスケジュールと、休日の過ごし方
- ハワイで仕事をするに至った経緯
- 現在の心境と将来的な展望
- 日本で働くエンジニアに一言
■ チャレンジし続けるゴルファー社長
VS社の代表取締役である林氏は、現在49歳で、ゴルフやマラソンなどを趣味にされています。社長業の傍ら、自身でもエンジニアとして活躍されており、時にはLANケーブルを自ら引いて社内ネットワークを構築することもあるそうです。
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「24歳からゴルフを始めたが、いまが一番うまい」「今度はホノルルマラソンに挑戦する」などとにこやかに語る、チャレンジ精神あふれる人物でした。言葉の端々から、「頼りがいがある」「優しい」といった人となりが感じられました。
VS社代表取締役の林氏。趣味はゴルフ、マラソンなど |
● 平日のスケジュールと、休日の過ごし方
08:00 出社。自分のプロジェクトの仕事(14:00くらいまで)
12:00 昼食
14:00 他プロジェクトのスケジュール管理、契約処理など
20:00 退社
20:30 マラソン練習
休日:主にゴルフでリフレッシュ。仕事があれば仕事をする
● ハワイで仕事をするに至った経緯
わたしは、高校生まで山口県で育ち、1980年にハワイ生まれで米国籍の父に連れられてハワイに来ました。その当時は、本当はハワイに来たくありませんでした。
渡米後、最初はスーパーマーケットで働いていましたが、英語を学ぶ必要性を感じ、20歳のときに米国の大学に入学しました。5年間の学生生活のうち、最初の3年ぐらいは何をしたいか自分でも分からないまま時間を過ごしていました。そんなとき、コンピュータサイエンス学科の存在を知り、専攻することにしました。その当時、その学科はプログラム(当時はCOBOLやアセンブリ)さえ書いていればレポートの提出の必要がなかった点が、専攻理由の大きなポイントの1つでした(笑)。
ゴルフをする林氏 |
25歳で大学を卒業し、ロサンゼルスのIT企業(以下A社)に就職して、メインフレームやUNIXなどでシステムを作る仕事をしました。この会社の良かったところは、米国内のさまざまな都市に出張に行けることで、町ごとに違う雰囲気を実感することができました。特にシカゴには1年間の長期出張があり、多いときで日本人十数人と一緒に、まるで寮生活をするように仕事をしました。楽しい思い出です。
A社での仕事は楽しい経験でしたが、いろいろと考えるところがあり、28歳で別のIT企業(以下B社)に転職しました。B社に在籍中、30歳のときに結婚。翌年には長男が誕生しました。1993年のロス暴動をきっかけに、ロサンゼルスからB社のハワイ支社に転勤しました。これがハワイで仕事をすることになったきっかけです。
ハワイに引っ越した後、B社を退職し、日系企業の支社を立ち上げ、副社長に就任しました。ですが、長くは続きませんでした。その後、ハワイで別のIT企業(以下C社)に入社しました。このとき、33歳です。C社は、職場でうるさいくらいにロック音楽をかけるなど独特の文化がありました。このC社が、大手ソフトウェアメーカーに買収されることになり、そのまま残るか、独立するか迷った結果、現在のVS社を立ち上げました。
● 現在の心境、将来的な展望
VS社は現在、16期目を迎え、ハワイにおける日系SIerとして堅実な地盤を築くに至りました。一方で、今後ビジネスを大きくするためには、日系企業以外のクライアントを獲得する、SaaS型サービスを作るなど、新たな行動を起こす必要があると感じています。現状に甘んじず、これからもチャレンジしていきます。
● 日本で働くエンジニアに一言
明るく、楽しく働いてください! システムを作る仕事は、仕様から創造するというクリエイティブな仕事で、本来とても楽しいものです。少なくともわたしが米国で経験したITの仕事は、非常に楽しいものでした。
米国のシステム開発現場においては、個人の能力や意見が尊重されるため、任される範囲が大きく、責任の取れる範囲で自由がありました。日本の開発現場でも、チーム、組織力を重視するあまり、がんじがらめの状況にならないように気を付けてほしいと思います。
以上、林氏のインタビューでした。話を伺いながら、本当にさまざまな経験をされているなと驚きました。
「システムを作る仕事は、仕様から創造するというクリエイティブな仕事で、本来とても楽しいもの」という話には、筆者も深く共感を覚えました。日本のIT業界は、きつくて楽しくない仕事というイメージがついているように筆者は感じます。そのイメージを覆し、IT業界で働くのは楽しいことだと証明することが筆者の使命だと感じています。
前編は以上です。後編では渡口氏、石田氏のインタビューをご紹介します。キーワードは「サーフィン駆動開発」。お楽しみに!
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