第2回 サーフィン駆動開発? ハワイITエンジニア事情
菅原英治(シグマコンサルティング)
2010/11/15
世界を飛び回るITエンジニア、シグマコンサルティングの菅原英治氏が、海外で活躍する日本人ITエンジニアに突撃インタビュー! |
本稿は、ハワイで楽しく働くITエンジニアがいるといううわさを聞きつけた筆者が、その実態を確かめるべく突撃取材を行ったレポートです。
前回は、Visual Systems inc.(以下VS社)の紹介と、代表取締役社長 林誠三氏のインタビューを紹介しました。後編となる今回は、副社長の渡口和人氏と、技術リーダーの石田誠氏のインタビューをお送りします。
ワイキキビーチ沿いのサーフボード。サーフィンが身近にあることを実感できる |
それぞれ、以下のポイントに従って質問し、ご回答いただくという形式でインタビューを行いました。
- 平日のスケジュールと、休日の過ごし方
- ハワイで仕事をするに至った経緯
- 現在の心境と将来的な展望
- 日本で働くエンジニアに一言
■ 「サーフィン駆動開発」の体現者
VS社の副社長である渡口氏は、沖縄で生まれ育ちました。現在44歳で、サーフィンや三味線が趣味だそうです。沖縄の「いちゃりばちょーでー(一度会ったら皆兄弟)」の考えと、ハワイのアロハ・スピリットを併せ持つ、とても温かい方です。
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特にサーフィンにかける情熱は並々ならぬものがあり、平日だろうと休日だろうと、基本的に毎日、サーフィンをしています。その様子は、渡口氏のブログ「カヌーズの住人〜Live Aloha〜」で見ることができます。
筆者が渡口氏の働き方についてうわさを聞いたとき、「まさに、サーフィン駆動開発だ!」と感じました。これは筆者がうわさを聞いたときに思いつきで作った造語なのですが、実際に取材で「毎朝サーフィンをすることで、心と体がリフレッシュされ、仕事の効率が飛躍的に良くなる」という渡口氏のお話を伺うと、あながち的外れでもないなとあらためて思いました。
ちなみにハワイでは、サーフィン駆動だけではなく、ゴルフ駆動や、マラソン駆動など、さまざまなスポーツ駆動で仕事ができるそうです。それを実現できる環境と、それを許す職場環境があってこそですね。
VS社 副社長の渡口氏(44歳)。趣味はサーフィン、三味線など |
● 平日のスケジュールと、休日の過ごし方
04:00 起床
05:30 サーフィン開始、1時間半〜2時間ほど潮につかる(夏場の場合)
08:00 一度、自宅に戻る
10:00 出社。開発、そのほかいろいろな仕事をする
19:00 退社
22:00 就寝
休日:平日と同様、朝はサーフィンをし、その後は三味線の練習をしたり、ゆっくりしたりして過ごす
● ハワイで仕事をするに至った経緯
わたしは21歳のとき、大学入学のためにハワイに来ました。その大学では、独自の語学プログラムがあり、まずは語学の勉強に2年間を費やしました。
その後、TIM(Travel Industry Management:観光学)を専攻しましたが、在学中に学生結婚し、子どもが生まれたため、1年間休学しました。復学後は、昼は赤ちゃんをおんぶして授業を受け、夜は日本料理店で働きました。そのためTIMのリサーチをこなせる時間がないと考え、コンピュータサイエンス学科に専攻を変更しました。
28歳のとき、大学をめでたく卒業しました。卒業したらすぐにコンピュータの仕事があると考えていましたが、3カ月くらいは仕事が見つかりませんでした。アメリカでの就職活動は、経験を問われるためです。就職するために経験が必要だとすると、まったく経験がない自分はどうすればいいのかと、その矛盾に悩みました。一時はコンピュータの仕事をあきらめようか、とまで考えました。
その後、運良く日系旅行会社のホノルル支店に就職することができました。PCはDOSで、NetWareでLANを構築していたころです。この会社で、メインフレームをなくし、ダウンサイジングするためにアプリケーションを置き換えるという大規模プロジェクトがありました。大規模であるためアウトソースする必要があり、そのときに契約したうちの1社がVS社でした。それがきっかけでVS社と縁ができ、31歳でVS社に転職、現在に至ります。
サーフィン中の渡口氏 |
● 現在の心境、将来的な展望
実家のある沖縄での生活より、ハワイでの生活の方が長くなりました。親戚も誰もいないハワイで、いまの生活があるのは、VS社のおかげだと思っており、とても感謝しています。
VS社では、社員とその家族がお互いに助け合う風土(例えば社長の奥さんがわたしの子どもの送り迎えや夕食の世話をしてくれるなど)があります。ハワイのアロハ・スピリットがそうさせてくれているのだと感じます。
将来については、「成功したい」「お金持ちになりたい」と考えないわけではありません。ですが、家族や周りの大事な人たちが、健康で無事に笑って暮らせるのが一番だと考えています。
● 日本で働くエンジニアに一言
暗い気持ちで根をつめて働きすぎていては、持たんぜよ!
わたしは、毎朝サーフィンをすることで、心と体がリフレッシュされ、それによって仕事の効率が飛躍的に良くなることを実感しています。さらに、仕事を効率よくこなせることで、趣味のサーフィンをより楽しむことができ、仕事と趣味の好循環をつくることができました。
日本でサーフィンを毎日しながら仕事をするのは難しいかもしれませんが、日本でできる趣味であれば、仕事と両立し、充実した毎日は送れるはずです。やればできる!
以上、渡口氏のインタビューでした。
インタビューを通じて、仕事もサーフィンも楽しんでいることが、渡口氏の明るい話し方、少年のように輝く瞳から十二分に伝わってきました。
ハワイにおいては、サーフィンは特別なことではなく、自転車に乗るくらい当たり前で、気軽に行えるそうです。30分あればサーフィンをする、ぐらいの感覚とのことです。あまりに当たり前のことなので、「うらやましがられることでさえない」のです。この話を聞いて筆者は、日本のスーパーで納豆が売っているのが当たり前のように、ハワイではサーフィンをできるのが当たり前なのだろう、と理解しました。
続いて、技術リーダーの石田氏のインタビューをお送りします。
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