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第12回 Yoshiori――「java-jaで『内輪』を広げたい」

岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/4/30

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「勉強会」ではなく「イベント」

 java-jaでは、どのような活動をしているのだろうか。

 「Lingrでのチャットやメーリングリストのほかに、イベントを開催しています。そのとき、僕がやりたいなと思ったことをテーマにしています」

 あまり「勉強会」という言葉を使わないようにしている、と庄司氏は話す。

 「勉強会っていうと、いかにも『勉強する会』って感じで、ちょっとハードルが高いですよね。できるだけ参加のハードルを下げたいので、『イベント』といういい方をしているんです」

 そのほか、開発合宿も行っている。ちょうど、この取材の翌日も開発合宿だった。「Python温泉」のパロディとして「java-ja温泉」なる温泉合宿も開催している。

 「合宿に関しては、お金を出し合って学生は無料にしようという声が上がって、『java-ja育英会』が立ち上がりました。若い人が『プログラムが好き』っていって、参加してくれると、うれしいですよね」

 どうしたらjava-jaに入れるのか、という疑問への回答はシンプルだ。

 「『java-jaです』って宣言したら、もうjava-jaに入っているんですよ。あとは、メーリングリストに入ったり、イベントに参加したり」

わざとらしいくらいに、バカっぽく

 エンジニアにとって、コミュニティとは何なのだろうか。庄司氏は「幅が広がる場所」と語る。

 「考え方の幅を広げるのに、コミュニティはすごく良い場だと思います。あとは、コミュニティでふざけるために勉強をする、という効果もありますね」

 一時期、「いかに生産性を上げるか」という命題に対する皮肉として、「生産性を“下げる”Eclipseプラグインを作ろう」という流行が起こったのだという。やっていることは何ともふざけたことなのだが、そのために勉強してしまい、結果としてスキルアップにつながってしまった。

 確かに、こうした「ふざけた」活動は、既存のJavaコミュニティでは難しかっただろう。庄司氏はjava-jaについて、「ちょっとわざとらしいくらいにバカっぽいものにしようとしている」と語る。

 「コミュニティは『すごいハッカーたちが集まっているところ』というイメージがある。でも、僕自身、そんなにすごいプログラマじゃない。すごい人が集まるところ、というのではなくて、初心者が気軽に集まれるコミュニティにしたいんですよ」

java-jaについて語る庄司氏。
キーワードは「初心者」「気軽」「柔らかい」

内輪を広げたい

 「硬くしない」「初心者が参加しやすい」というコンセプトを庄司氏は強調する。java-jaの代表として唯一、心掛けているのもこの点だという。

 「特に初期からいるメンバーと共有しているのは、『従来のJavaコミュニティみたいな、硬い、入りづらいコミュニティにするのはやめよう』ということです」

 コミュニティは時に「内輪」と批判される。コミュニティの外から見ると、どうしても「内輪感」が出てしまうのは、致し方ないことかもしれない。これに対し、庄司氏は内輪感をなくすのではなく、別のやり方で解決しようとしている。

 「『内輪っぽさ』をなくすんじゃなくて、『内輪』そのものを広げたいんです」

 参加のハードルを極力下げて、「内輪」を広げようとする庄司氏。その考えは、ほかの「内輪」との交流という形でも表れている。

 「tokuhirom(松野徳大氏。参考:松野徳大――「だまってコードを書けよ」)がjava-jaのイベントに来てくれたのがきっかけで、Perlの人たちとの交流が増えたんです。その流れで、YAPCの前夜祭に登壇したり。コミュニティ同士のつながりも増やしていきたい」

 エンジニアの輪を広げるため、庄司氏は今日も「わざとらしいくらいにバカっぽい」コミュニティ活動を続けている。

 

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