エンジニアライフ時事争論(4)
「アウトプット重要」
――エンジニアたちの必勝勉強法
@IT自分戦略研究所
2009/3/18
不景気だからこそ、勉強してスキルアップを図ろう。
「2009年はトレンドを追うな。不況のときは、根源的、基礎的な技術や考え方を学ぶ絶好のチャンス」とはプログラマの小飼弾氏の弁。あなたは今年、どんな勉強をしようと考えているだろうか。
「何を」勉強するかが人それぞれなら、「どうやって」勉強するかも人それぞれ。@IT自分戦略研究所 エンジニアライフのコラムニストに、「わたしの勉強法」というテーマでコラムを書いてもらった。11人のコラムを紹介しよう。
■技術は頭で覚えるな。体に覚えさせろ!
まずは「技術は頭で覚えようとするのではなく、体に覚えさせるべし」という実践派を紹介する。『ベンチャー社長で技術者で』の生島勘富氏は「SQLを習得するに当たって、文法を覚えるのは後回し。まずはエクセルを使って手作業でデータを埋めて、手順を考える癖をつける」という勉強法を披露している。
『地方からの戯言』のAhf氏も、「取りあえず手を動かすこと」の重要性を説く。実際にコードを書き、動かし、コードに手を加え……という作業を繰り返すことにより、技術は磨かれていくという。
『明日への希望、エンジニアのひとりごと』の大久保仁氏も同じ意見の持ち主だ。Windows技術者であった大久保氏がLinuxを学ぶ際に、「何度も何度も同じことを練習をすることで、自然に体に染み込ませていく」という勉強法を採るようになったという。好きなことを勉強することを、大久保氏はスポーツにたとえる。反復練習によって、体に覚えさせるという点はどちらも同じといえる。
頭では分かっていても体が追い付かない、という体験をしたのが『子育てエンジニアは茨の道!?』の友ぞう氏。育児休暇を終え、復帰した友ぞう氏は驚く。技術のこともツールの使い方も忘れたわけではなく、頭の中に入っている。にもかかわらず、彼女は仕様を書くこともプログラムを作ることもできなくなっていたのだ。「感性が鈍くなっていた」と友ぞう氏は表現している。スポーツ同様、ブランク明けはリハビリが必要なのだ。
■資格試験は暗記がすべて?
一方、『フリーなスキル』のはがねのつるぎ氏は「IT系の資格試験は暗記がすべて」と語る。こちらは「資格試験に受かるため」の、非常に割り切った勉強法だ。ORACLE MASTERやLPICなどの資格を持つはがね氏は、なんと「資格勉強のために実機を触ったことは一度もない」という。
はがね氏は「勉強のやり方を勉強する」というステップを踏む。資格試験であれば、「どうすれば確実に合格できる分だけ暗記できるか」という方法論を考える。資格試験対策の場合、はがね氏は「問題集を繰り返し解く。ただし2回目以降は『間違えた問題だけ』解く」という方法を採っている。脳に正しい答えを刷り込ませることが目的だ。
勉強とは資格を取るためにするものなのだろうか。資格取得がゴールであるのならば、はがね氏のような「割り切った」勉強法は非常に効果的だ。これはつまり、ゴールがどこにあるかによって、勉強法を変える必要があるということを意味する。
『結婚は人生の墓場となり得るのか?』のホリススム氏は、「未来に向けた種まきとして勉強をしたい」と語る。長期的な視野で、目先の結果にとらわれずに勉強をしたいという。だが、会社の中で仕事をしている以上、取らなければならない資格が前に立ちはだかる。結局、目先の結果を優先してしまうことに彼は悩む。
■アウトプット志向の勉強法
「何のために勉強するのか」によって、勉強法は変わる。『ドロップアウトからのキャリア七転び八起き』の46氏は、「いつ、何のためにアウトプットするのか」を意識するのが重要だと説く。
勉強する目的が何なのか、そしてそれがいつ必要なのかによって、採用すべきアクションは変わる。アウトプットがインプットを決めるのだ。だからこそ46氏は「アウトプット志向」が重要であると主張する。
アウトプットの場を作ることで、効果的なインプットが可能となる。問題を意識しながらインプットできるようになる。
「アウトプットを利用する」という考え方は、複数のコラムニストが言及している。例えば大久保氏は「勉強仲間を作ること」と「勉強した知識を生かすこと」の2点が勉強においては重要だと語る。双方を満たすのが、勉強会の開催だ。
学んだことを人に教えることで、自分のスキルアップにつなげる。アウトプットの場の1つとして大久保氏は「勉強会」という選択肢を提示している。
「インプットばかりではお腹がいっぱいになってしまう。次のインプットを気持ちよく行うために、学んだことを消化してアウトプットしよう」という考え方を持っているのが『息の長いエンジニアでゆこう』のヨギ氏と『エンジニアライフ クロストーク』の竹内義晴氏だ。
2人とも「インプット→消化・吸収→アウトプット→新たなインプット→……」というサイクルを重要視している。例えばヨギ氏はJavaについて勉強したあと、それを社内研修の資料という形でまとめている。一方、竹内氏は本や著名人の講演CDを利用してインプットした知識を、ブログやメルマガという場に文章で残している。誰かの役に立つ形でアウトプットを行うことで、新たなインプットが可能となるのだ。
■モチベーションを維持するために
ヨギ氏は「大きなところから入る」ことも重要だと語る。大きなところとは、例えばJavaを勉強するなら「Javaのメリットは何か?」「どういった背景でJavaは世に生まれたのか?」といった点だ。ある技術が世に出てきた理由や経緯、メリットとデメリットを知ることで、「勉強するための原動力となる火を灯す」ことが学ぶモチベーションを維持するコツだ。
ここまでいくつかの勉強法が挙がったが、モチベーションを維持することはそれらの前段階として重要なことだ。勉強するのなら、嫌々やるのではなく、楽しく行った方が健康的である。
『“アラサー”IT系女子の来し方行く末』の組長氏は、ヘルプデスク業務の傍ら、本を買ってひたすら読み、実機を触って勉強をしているという。幸い仕事が忙しくないため、勉強時間は十分に確保できる。「もう“アラサー”。このままではいけない!」という思いが、彼女の学ぶモチベーションにつながっている。
勉強法やモチベーション維持について、あなたの参考となる情報はあっただろうか。最後に、『これはもうダメかもわからんね インフラ系SEの波瀾万丈伝』の田所稲造氏による核心を突く主張を紹介しよう。
勉強は「お金」と「心技体」、それらのバランスが整って初めて実現できるもの、と田所氏は語る。健康第一、無理のしすぎにはご注意を。
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