エンジニアライフ時事争論(5)
ハチロク世代と歩む
先輩エンジニアの「新人教育論」
@IT自分戦略研究所
2009/4/22
みんな、最初は「新人」だった。
今年もやってきた新人を見て、思うことは何か。昔の自分を思い出したり、先輩として声をかけたくなったり、今の自分と比べてみたりと人それぞれだろう。
特集「『ハチロク世代』がやってくる」の番外編として、@IT自分戦略研究所 エンジニアライフのコラムニストに「わたしの新人時代」というテーマでコラムを書いてもらった。今年から教える側になったエンジニアにとって、新人と向き合うヒントになるであろう11人のコラムを紹介しよう。
■壮絶な新人時代
自分の新人時代はどのようなものだったのか覚えているだろうか。自らの新人時代のエピソードを寄せてくれた2人のコラムを紹介する。
『ましゅまろの「高校中退、飲食経験5年、IT業界未経験」』を執筆するましゅまろ氏の体験は、かなり強烈だ。入社1日目、右も左も分からない中、エンジニア生活が始まる。
「呆然自失だった」というましゅまろ氏。これは極端な例かもしれないが、誰でも最初は、多少なりとも大変な思いをするものである。
続いて、『Daily kasvua-日々研鑽-』を執筆するSHiN氏が体験したエピソード。SHiN氏は、医療機器のセールスエンジニアとして病院で働いていたときに、自殺を図って運び込まれた女性の緊急治療に立ち会った。その時のことを次のように振り返る。
良くも悪くも、新人時代の経験は今につながっている。「なぜ自分はこの仕事をしているのだろう」と思ったときは、新人時代を振り返ると良いかもしれない。
■若さゆえのあやまちを、ずうずうしく
翻って、今の自分から新人にいえることは何だろうか。先輩として、迷える新人にアドバイスを送りたいところだが、そもそも新人は何に戸惑ってしまうのだろうか。
『ワーク×ライフ・エンジニアリング』の逆転仕事術氏は、「新人は学生から社会人になることによって、お金を払って何かを得る生活から、お金をもらって何かを得る生活へ変化したことに戸惑ってしまう」と指摘する。
もし、こうした仕事の辛さに悩みをもつ新人がいたら、逆転仕事術氏のアドバイスを参考に声をかけてみてはどうか。
一方、新人だからこそできることについて、ポジティブなメッセージをくれたのは『紅一点! 生産管理ガテン系SE☆』のSARA氏と、『ドロップアウトからのキャリア七転び八起き』の46氏だ。
SARA氏はJavaの習得をはじめ、とにかくがむしゃらに仕事の量をこなすことで、仕事の方向性を見い出すことができたという。新人に必要なものとは何か。
権力がなく、会社にとって影響力がない新人だからこそ、間違いを堂々とぶつけられる。間違っても許される新人のうちに間違っておこうという意見だ。
46氏も、「若さゆえのあやまちは、早いうちにやっておこう」と述べている。
根拠のない自信を示せるのは、新人の特権だという。そのくらい大きな気持ちの方が、後の成長につながる。それが、46氏の意見だ。
■新人は、どう見られているかを意識しつつ、目立つべし
新人向けの具体的なアドバイスとして、2つのコラムを紹介する。新人向けではあるが、自分自身にも当てはめて考えてみてほしい。
どんな職業、どんな職場でも、周囲との協調能力が必要である。他の人が見たらどう感じるかを推測しなければならない、という「セルフモニタリングのススメ」を送ってくれたのは、『これはもうダメかもわからんね インフラ系SEの波瀾万丈伝』の田所稲造氏だ。
結論としては、イライラして煮詰まるより、「にっこり笑ってありがとう」の気持ちを持とうということだ。自分がされて嫌なことを、人にしないよう心掛けたいものである。
『Are You Sure?』の佐藤正明氏は、自身の体験から、システム・インテグレータで働く新人に向けて、「なるべく目立つ」「技術で遊ぶ癖をつける」など、新人ならずとも役立ちそうなアドバイスを複数挙げている。
■教える側は何を思う
新人に向き合うエンジニアたちは、新人に何を期待し、どういう気持ちでいるのだろうか。
こちらが逆に、新人に接することに躊躇(ちゅうちょ)してしまう。そんな心情を田所氏はコミカルに語ってくれた。彼は「新人とともにありたいと誓う昨今……むむっ、遅れてなるまじ!!」 という力強い言葉でコラムを締めくくっている。
『結婚は人生の墓場となり得るのか?』のホリススム氏も、新人を見ると、常に新鮮な気持ちを忘れないようにしたいと願うという。だが、それは想像以上に難しいことだとホリ氏は語る。新人に特有の怖いもの知らずな発言には、キラリと光るものがある。周りを見て、丸く収めてしまうようになった今では、そんな発言はできなくなってしまった。
最後に、「教える側」の心構えを、『It’s Party Time!』のあずK氏と、『フリーなスキル』のはがねのつるぎ氏に学ぼう。
あずK氏は新人研修の講師として、いくつか気をつけていたことがあるという。「自分なりの研修プランを立てる」「一番乗りの新人より先に研修の部屋に入って準備」「研修の段階で挫折しないような講習計画を立てる」などだ。
一方、はがね氏は「教えるとは、教わること」というフレーズについて、「本当にそんなことがいえるのか」と疑問を投げかける。
みんな、最初は「新人」だった。今度は「新人教官」として、新たな気持ちで臨んでいこう。
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