エンジニアライフ時事争論(11)
若手教育には、ときに「遠回り」が必要だ
@IT自分戦略研究所
2010/4/13
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4月になった。「新入社員や後輩の教育」は、いつも多くの人が頭を悩ませるテーマだろう。
「エンジニアライフ時事総論」、3月のお題は「新入社員・後輩の教育」だ。エンジニアライフのコラムニストたちは、新入社員や後輩の育成に対して、どのような意見や方法論を持っているのだろうか?
■「新入社員が気を付けるべき5カ条」
まずは、新入社員や若手社員へのアドバイスを紹介しよう。
教育担当として、多くの新入社員の面倒を見てきた『蟻女(アリージョ)のエンジニアライフ☆』のぴぐみん氏は、「新入社員が気を付けるべき5カ条」を提示している。
- 『自分なりに頑張っています』は通用しない
- 『個性』と『わがまま』をはき違えない
- 『おもしろい仕事』は、あなたの受け取り方次第
- 『相談』は悪いことではない
- あなたは期待されています。夢や希望を持って取り組もう
ぴぐみん氏いわく、新入社員の中には必ず「自分なりに頑張っています」という人がいるらしい。「頑張る」ことは確かに重要だが、それだけでは足りない。なぜなら、「頑張り」を評価するのは先輩や上司、顧客だからだ。「自分はここまでしかできない」とあきらめるのではなく、さらに頑張ってほしいと、ぴぐみん氏は語る。
■新人は自分から質問をすべき! 空気なんて読むな!
「新入社員が気を付けるべき5カ条」で、「相談や質問ができない新入社員が非常に多い」と、ぴぐみん氏は指摘した。『プログラマで、生きている』のひでみ氏は、「質問できない若手」に向けて激を飛ばしている。
ひでみ氏は以前、コラム「ググるな危険」で「質問してほしい上司」「質問しにくい部下」に関する一大議論を呼び起こした。ひでみ氏の主張は一貫している。「新人は自分から質問をすべきである」。
「質問すると怒られる」という人がいる。しかし、ひでみ氏によれば、質問をしたことが原因で怒られる人はほとんどいない(本当に質問をしただけで怒る人は、教育担当として不適切だ)。質問をした際に怒られる人は、質問したということ「以外」に怒られる原因があるという。
さまざまな原因が考えられる。「前と同じ質問をした」「もっと早くに聞くべきだったのに聞かなかった」など――。怒られることを恐れ、質問せずに分かったふりをしてはいけない。そうした行為は、成長を遅らせるだけである。
ひでみ氏が若手へ伝える基本ルールは2つ。「どれほど分かっていないのか、自分の状態を正直に伝えること」。そして「相手の空気をむやみに読まないこと」だ。
■押し付けず、相手の「器」に任せる指導
指導される立場の人は、怒られることをとても気にする。同様に、教育する立場の先輩もどうやって怒ればいいのかを悩んでいる。『恋愛感情で仕事はできるか?』の森姫氏は、「後輩への注意方法」について考察している。
森姫氏は、後輩の言葉遣いについて注意する際、どのようにいえばいいか迷ったという。言葉遣いが気になるのは自分だけで、他の人は気にしないのではないか? 頭ごなしにしかることは、自分の意見を押し付けるだけではないのか? 悩む森姫氏に対して、森姫氏の母親は以下のようなアドバイスを送った。
「頭ごなしにしかるべきではない。しかし、『わたしはこう思う』という意見をいってあげることは必要」
注意に対してどう反応するかは、その人の「器」によるという。相手が注意を素直に受け止めて改善するか、そのまま流してしまうかは分からない。だが、相手に「なぜ注意されたのか」と考えてもらうことはできる。
「押し付ける教育より、自分で考えさせる教育が必要」と、森姫氏は考えている。
技術者はスピードが命。しかし「教育」では遠回りも重要だ |
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