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エンジニアライフ時事争論(11)
若手教育には、ときに「遠回り」が必要だ


@IT自分戦略研究所
2010/4/13


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「新入社員」のやる気を持続させてあげるのが先輩の仕事

 先輩が教育指導の際に意識しなければならないことはたくさんある。 『温故知新とエンジニアの地位確立を目指して』のサトマモ氏は、新入社員のタイプを4つに分類し、各タイプの教育方法について考察している。

  • ITスキルらしきものはあるが、付き合いにくいエンジニアタイプ⇒社会人として一般的なマナーを教える

  • ITスキルも理解力もある秀才タイプ⇒日々の業務に関するアドバイスを与える

  • ITスキルはまだないけど、頭の良い伸びしろタイプ⇒基礎的なコンピュータの知識を教える

  • ITスキルがないうえに、社会人としてのマナー・常識に欠ける学生気分タイプ⇒匙を投げずにきちんと教育し続ける

 先輩が一番気を付けるべきことは「後輩のやる気を持続させる」ことである。自分が頑張る姿を見せる、ほめる、たまには飲みに連れていくなど、方法は何でもよい。やる気があれば、どんな人であってもいずれは一人前に成長するだろう、とサトマモ氏は語る。

新人も先輩も成長できる「業務日誌」

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 『ちあき(c_c).6の徒然なるままに』のちあき(c_c).6氏は、教育時のツールとして「業務日誌」を勧めている。

 業務日誌の使い方は非常にシンプルだ。新入社員は、左ページに「研修の内容」「理解度」「感想」を書く。先輩社員は、右ページにアドバイスやコメントを書く。ちあき(c_c).6氏の先輩は「1人前のSEとは何か、自分の中で答えを出すこと。すぐに出なくてもいいので、常に考え続けること」などのコメントを残してくれたという。

 業務日誌は、新入社員と先輩社員、両者の成長に効果がある。新入社員にとってはドキュメント作成の訓練になり、先輩社員にとっては自分の知識や経験を整理するきっかけになるからだ。

一人前の技術者を育てるために必要な「急がば回れ」の精神

 最後に、「あえて遠回りなことを若手にさせて、彼らの成長を促す」という教育方針を紹介しよう。『地方からの戯言』のAhf氏は、「車輪の再発明」――「すでに当たり前になっている基本的な事柄を、試行錯誤して再発見する」ことの重要性を説いている。

 Ahf氏は、便利な道具を使いこなす若手技術者たちに危機感を抱いている。「彼らはアプリケーションを作成できる人材に成長したとしても、ライブラリ・フレームワークを作成できる人材にはまだ遠い」。

 では、どうすれば「ライブラリ・フレームワークを作成できる人材」になれるのだろうか。現在は便利なツールやフレームワークがたくさんある。しかし、あえて便利なものを使わず、昔の技術者のように仕組みや構造を「試行錯誤して理解する」過程が必要なのだという。

 開発を仕事にする技術者にとって、いかに生産性を上げるかは重要事項だ。しかし、成長するためにはあえて遠回りをすることも必要だ。多くの人が成長できる環境とは、「車輪の再発明」への理解を示す現場なのではないだろうか。

■□■

 以上、「新人・部下の教育」に関するコラムを紹介した。「新入社員が気を付けるべき5カ条」「質問に関する基本ルール」のように教育担当者がすぐに使える実践的なコラムもあれば、「あえて遠回りさせることの重要性」を説く長期目線のコラムもある。

 先に紹介した「ググるな危険」に関する議論では、「教育する側とされる側が、きちんとコミュニケーションを取ることが大事」という意見が出た。下記の記事では、「教育する側」と「教育される側」それぞれの意見を紹介している。ぜひ参考にしてほしい。

 

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