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パソナテック シリコンバレーツアーレポート 後編

ソフトウェアエンジニアは、クールでセクシーな仕事

岑康貴
2008/8/7

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シリコンバレー転職事情

 シリコンバレーでの転職事情はどのようになっているのだろうか。「情報発信が重要だ」と彼らは口をそろえる。シリコンバレーでは、エンジニア人材を探す際に、企業はリクルーターを使うことが多いという。渡辺氏は、「シリコンバレーでは普通のエンジニア個人の採用でもリクルーターを使う。リクルーターしか使っていない会社もあるほど」と話す。リクルーターが情報収集に使用するのはWeb検索なので、そこで情報が目に留まるよう、自分の情報を出しておくといいという。前回、VMwareの吉澤氏も挙げていたLinkedInは、多くのエンジニアが実際に利用していると廣島氏は語った。

 渡辺氏は「職探しでよく使われるのは、CraigslistMonster.com。そのほか、社員の紹介からということもある。紹介報酬が出されるが、リクルーター経由の手数料よりずっと安いから、企業としてはお得」と、シリコンバレーの転職事情を明かした。シリコンバレーの企業にとって、良いエンジニアとは「宝石のようなもの」であり、「どの会社も必死に探している」のだと渡辺氏は主張。探している人に見つけてもらえるよう、情報を出しておくことは1つの戦略であるとした。

日本流ワークスタイル変革のためには?

 「自らの主張をはっきりとする」「人の話を聞かない」「話を勝手に自己解釈する」――4人はシリコンバレーの住人の、引いては彼ら自身の性格をそう評価した。日本人離れした性格に思えるが、シリコンバレーで仕事をしていくには、自らもそのように適応させる必要があるのだろう。トークセッション自体も、互いに「いや、それは違う」と意見をぶつけ合う、エキサイティングなものとなった。

 いくつかのIT企業を巡り、現地で働くエンジニアの言葉を聞いたツアー参加者たちは、どのような感触を得たのだろうか。

 ツアーの最後に、グループワークが行われた。課題は次のとおりだ。

あなたの会社は創業50年のメーカー系企業です。会社では残業が慢性化しており、定時にはまず帰社することができません。また、福利厚生制度もほとんど活用されていない現状があります。創業50周年を機に、既存の概念にとらわれない新しいワークスタイル、制度を確立するために、ワークスタイル推進室を設立しました。

あなたは海外での経験があることを認められ、ワークスタイル推進室に異動になり、社内の構造改革に臨むことになりました。

あなたなら、会社に対して、どのようなワークスタイルを提案しますか?

 グループごとにさまざまな意見が交わされた。シリコンバレーの企業の環境やエンジニアの待遇を目の当たりにしたばかりということもあって、自由な環境を求める回答が多く見られた。

 
グループワークの様子
 

 「1週間を1単位として、就業時間を自由にコントロールできる。4日間、目いっぱい働いて、3日休むもよし。5日間に分配するもよし」「どこでも働けるようにする」「決裁権を個々人に広げ、仕事の外注ができるようにする」「社員同士の相互扶助を評価する制度。例えば子持ちの社員が忙しかったら、代わりに保育所に迎えに行く。それも評価につながるようにする」「福利厚生は使い切れないことが多いので、給料に還元する」「管理職の意識を変えないと駄目。定時に帰らない、または有給を消化しきれない管理職は、評価を下げる」など、時間や場所、評価に関する回答が中心。中には、「経営者の意識を変えないといけない。経営者一族の息子をアメリカの大学に留学させる」「転職するしかない」などの極端な意見も飛び出した。

シリコンバレーの空気

 ツアーに参加したのは、派遣エンジニアたちだ。いずれはシリコンバレーに来たいと思っている人、漠然とステップアップしたいものの、道が見えない人、日本でテストエンジニアの地位が低く見られていることに疑問を持っている人、なんとなくシリコンバレーの空気を感じたかったという人など、今回のツアーへの参加理由はさまざまだ。

 ツアー終了後、彼らに感想を聞いたところ、多くの人が「シリコンバレーで働きたくなった」と語った。「今後のキャリアの方向性が決まった」と断言する人もいた。しかし一方で、「選択肢の1つではあるが、ちょっと自由過ぎるかもしれない」「あれだけ自由なのは、それだけ成果を出せているから。自分はそこまで仕事にシビアになれそうにない」という意見も見られた。良くも悪くも極端で、合う人には合うし、合わない人には合わないのだろう。

 「実際の空気が感じられて良かった」と、参加者の1人は話した。本やWebで、字を通して知るのとは違う、体験として感じることができたのが一番の収穫だという。確かに、シリコンバレーの企業やエンジニアには、独特の「空気」があるように思う。エンジニアならば、それを感じるために、1度訪れてみるのもいいかもしれない。

グーグルのオフィスがある、マウンテンビューの空

 

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文中、『ただし、すべてのエンジニアがそうであるわけではない、と松原氏が反論。「自分の情報をWeb上にさらけ出すことに抵抗を持っている人もいる。私もそうだ」と話した。』と『中には、「日本の風土がいけない。アドビに買収してもらう」』を削除いたしました。[2008年8月7日16:50、編集部]


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