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不定期コラム:Engineerを考える(6)
健康のため同じ姿勢を取り続けないで!


加山恵美
2004/1/8

PCの魔力

 エンジニアという職業、特に長時間PCと向き合う仕事はストレスや病気を生む危険性を抱えていると思う。それは、長時間同じ姿勢でいるからだ。PCを使って仕事をしていると、驚くほど長く机に向かうことになる。学生時代を思い出してほしい。何時間、連続して勉強しただろうか。受験前や卒論制作時のような切迫した状況ならまだしも、いまPCで仕事するときほど長時間持続しなかったのではないだろうか。それは、大人になって精神力が培われたこともあるだろう。それ以外にも、PC特有の魔力があると思う。

 PCは長い間、人間を机とイスに張り付かせる。それは個々は短期間の作業などが連続して、結果的に長く同じ姿勢を取ることになるためだ。

PCでさまざまな作業をするが……

 ありがちなパターンを考えてみよう。職場でPCで文書やプログラムを書いていたとする。電子メールの着信に気付く、電子メールを開き新着メールに目を通す、つい返事を書いてしまう、また文書作成に戻る、ふと調べたいことがあってWebブラウザからページを開いて読む、ついリンク先も開いて読む、さらなるリンク先も開いて読む、そうこうしているうちに電子メールがまた届く、そのメールを読むと経費精算の催促で、業務システムを起動、そうだ手続きが変わったのだと社内掲示板を開く、そのとき、部下に指示を出しておかなくてはと思い出し、電子メールを作成し、その後経費精算に戻る……。

 数多くの“割り込み”が発生し、短時間で済む処理や思考の連続、違う作業を細切れに行ってはいるものの、体だけはずっと同じ姿勢のままだ。何でも自席のPCでできるようになったため、いつまでもイスに座っていることになる。また、内容は違っていても思考が止まることはない。それがストレスという状態に達していなかったとしても、頭は興奮状態が続いている。気付かないうちにエンジニアは体や頭を酷使している。だから気を付けてほしい。定期的にPCから離れて休憩を取ることだ。

身をもって体験した同じ姿勢の悪影響

 こう力説してしまうのも、長時間のデスクワークによる害を、身をもって体験したことがあるからだ。しかし長い間、同じ姿勢を取っていたことが原因だなんて思いつきもしなかった。デスクワークによる職業病といえば、肩こりや腰痛を想像する。が、私の症状は違う部位に出た。ただ、肩こりもあったのだが、あまり自覚はなかった。どれほど悪いのかはひとまず置いて、違う部位の話をしよう。

 その部位とは足だった。足が痛くなったのだ。だが痛みは持続せず、突然で、しかも短期的なものだった。最初は発生するタイミングも部位も漠然としていて、原因解明に手こずった。しかし、そのうちに傾向がつかめるようになってきた。

原因はあらぬところに

 いまならば説明できる。こうだ。

 長時間座リ続けた後に、ふと立ち上がって歩こうと足を踏み出すと、足の付け根に痛みが走る。原因は長時間座っていたためだ。痛んだのは腰から足へと伸びる筋肉で、歩くときに足を持ち上げるためにも使うらしい。つまり、腰への負担が足に出たのだ。

 それで、メカニズムが分かるようになったので、

(1)長時間座らないこと
(2)姿勢に気を付ける(背中を曲げない)
(3)腰のストレッチ

これらを習慣にするようにしてから痛みはなくなった。しかし座った姿勢が原因で、なぜ症状が腰に出なかったのか。それはいまだに分からない。骨格や体質なのか、私の姿勢に問題があったのか、腰が頑丈だったのか。それにしても恨めしい。足に痛みがあれば、足に原因があるだろうとしまうではないか。腰とは誰が気付くだろうか。体よ、悲鳴を上げるなら、もう少し分かりやすいメッセージにしてくれないか。

 不毛な恨み言はともかく、当時私は足が痛む原因を模索していた。まずは習っていたバレエの影響を疑った。私は昔からダンスを習っているが、当時はバレエも習っていた。私は内股で、なかなかバレエの「1番」とか「5番」の足がうまくできない(1番や5番とは、バレエの基本姿勢の1つ)。これらはつま先を外に向けて立つ体勢のことだ。または開脚とか。できないのに無理をして筋や何かを痛めたのだろうかと疑ったのだ。ダンスをやめることも頭をよぎった。

ようやく原因にたどり着く

 ダンスの先生が推薦する整体に行ったりもした。しかし、原因は分からなかった。それもそうだ。長時間の同じ姿勢が原因なのだから、外出という運動の後には症状は決して表れない。それに運動中も足が痛むことはなかった。カイロプラクティックでいろいろと調べ、ようやく解明できたのだ。

 いまから考えるとダンスは明らかにシロだった。むしろ、気付かぬうちに治療の役割も果たしていたと思う。なぜなら、ダンスは柔軟体操をしているようなもので、しかも全身を使う有酸素運動だからだ。終日同じ姿勢でいた後、凝り固まった身体をほぐしていたのだ。いまはあのとき、やめなくてよかったと胸をなで下ろしている。推測だが腰が痛まなかったのは、ダンスでよく背中を反っていたからかもしれない。もちろん反り過ぎで腰を痛める人もいるが、私の場合はデスクワークで曲げていた腰を逆方向へ矯正していたのかもしれない。

 いまでは仕事のためにも、健康のためにも、ダンスは私の人生に欠かせない。そう信じ、下手ながらも続けている。

筆者紹介
加山恵美(かやまえみ) ●茨城大学理学部化学科卒業。金融機関システム子会社とIT系ベンダにてシステムエンジニアを経験し、グループウェア構築や保守などに携わる。そのかたわらで解説書を執筆していたが、それが本業と化す。技術資料を提供することで、日夜システムと格闘しているエンジニアをサポートできればと願う。幼少からバレエを始め、現在コンテンポラリーダンスを習っているが、いまだに身体が硬いのが悩みとか。双子座A型。

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