ストレスと上手に付き合うために
ITエンジニアにも重要な心の健康
第4回 医師の賢い活用法
ピースマインド
カウンセラー 谷地森久美子
2003/11/27
エンジニアにとっても人ごとではないのが心の健康だ。ピースマインドのカウンセラーが、毎回関連した話題を分かりやすくお届けする。危険信号を見逃さず、常に心の健康を維持していこう。 |
■病院・医師選び
前回(「第3回 心の専門家の探し方と活用法」)は、病院探し(精神科)のコツを紹介しました。今回は病院や医師の活用法について解説します。
病院を選ぶ方法として前回、“公的機関”に問い合わせることを紹介しました。その方法で地域の保健所から数カ所の病院を教えてもらったと仮定しましょう。
では、その中からどこを選べばいいのか。病院の選択には意外と迷うものです。こんな場合には、病院に直接電話で問い合わせることをお勧めします。その際に以下の点をチェックしましょう。
医師の専門を確認
入院施設のない外来中心の「クリニック」の場合に、看板に「産婦人科」や「心療内科」といった領域の異なる科が並べて書かれているとします。その際に留意するべきことは、両方の科に医師がどのように配属されているか、ということです。もし医師がたった1人で診療している場合は、精神科・心療内科以外の医師としてスタートし、途中から左記の専門領域も学んで、併せて、それらの患者さんを診るようになった可能性があります。
そういう場合では、心療内科や精神科の領域の重く・根深い病状に対しては、精神科の専門医と比べて、診断が甘くなる可能性が考えられます。同じ病院内で、診療科ごとに専門の医師がいる場合は、1人で複数の科を担当している病院より安心感があります。
自分の病状に合った病院選び
自分の状態が、入院や特殊な治療を必要とする場合、例えばアルコール依存、睡眠障害、性同一性障害などの場合は、精神科の中にさらにこれらの専門部門がある病院が適切でしょう。
つまり病院単位、医師の個人レベルにおいても、得意分野・専門分野があり、そのことを利用者側が知っていれば、「こんなはずではなかった」という状況を最小限に抑えることができるというわけです。
■診察を受ける際のポイント
初診(初めての診察)は、比較的時間を取って話を聴いてもらえる可能性があります。しかし、それ以降は診察時間が短くなったり、病院の込み具合によって時間がまちまちになってしまうことがあります。そういう場合、あらかじめ気になっている症状や問題を具体的かつ簡潔にメモ書きして持参しましょう。
また、病状があまりにも悪く、医師に十分な話ができないときには、家族や親しい友人など、普段から本人をよく知っている立場の人に同席してもらい、病状を伝えてもらうことも1つの方法です。ただし過度に心配するあまりに本人の代理で薬をもらいに行くようなことは、お勧めできません。治療の根本は“御本人と医者との協同作業である”ということ、そして本人を取り囲む立場の人は、その共同作業が成立するようサポートする意識を持ち続けること。これら2点を常に押さえておくといいでしょう。
■薬について
最近は、インターネットによってたちどころに薬の情報を入手できる時代となりました。「自分はいま、どんな薬を飲んでいるか」を自分なりに把握することは、“自分の体に対して自分自身で責任を持つ”という意味合いでは非常に重要なことです。が、「この薬を飲んでいるから○○病に違いない」などと、1人で安易な意味付け、結論を出すことは、ほとんど意味がありません。薬というものは、同じ種類であっても、飲む量を変えることでいくつかの病状に適用できるからです。
これらのことは、カウンセリングの中で、私自身がお伝えしていることをまとめたものです。日本人である私たちの中には、「医者のいうことだから間違いない」「お任せします」といった謙虚さと依存とが混在した“お医者さま幻想”なるものがいまなお根強く残っているように思います。
体や心が弱っていると、頼りになりそうな人に身を任せてしまいたくなることも時にはあるでしょう。しかし、医師が治療していく際の判断の材料となるのは、あなたの訴えの中にあり、あなたからの情報で薬も決められていきます。治療関係の基本は、主治医に状態を伝え、直りたいと思うことです。
回復へのキーワードは、「あなたの主体性」なのです。
さて次回は、カウンセラーの選び方や活用の仕方について解説します。
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