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特集:ITエンジニア独立入門

続・ITエンジニア、その独立の軌跡(前編)

第3回 社員時代に経験しておきたかった経理や営業の仕事


中越智哉(ナレッジエックス)
2009/7/29

第2回1 2次のページ

独立したエンジニアの3年間の軌跡をたどる。前編では、設立当初と3年たったいまとの事業に対する考え方の違い、後編では、独立当時は予想もしなかった経営者の仕事内容についてお伝えする。

 2006年の夏に「ITエンジニア、その独立の軌跡」という記事を書きました。思えば、この記事の依頼を受けたときに「弊社はまだ設立したばかりで、来年、いや記事を掲載する時点にはもうなくなっているかもしれないですけど、本当にいいのですか?」と聞いた覚えがあります。

 あの連載が終了してから3年弱が経過しました。わたしが設立した法人はおかげさまで丸3年を経過し、今年の3月で創立4年目を迎えることができました。

 当時自分の書いた記事を読み返すと、創業時と3年たったいまとでは、独立や事業に対する考えがかなり違うと感じました。
 
  今回は、独立3年が経過した自分の目線から、当時との違いや当時は想像もしていなかったような出来事などについてお伝えしていければと思います。

3年前の自分を振り返る……事業は事業計画書どおりに進捗(しんちょく)したか?

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 3年半ほど前、自分が独立を思い描いていたとき、創業支援施設に入居するための審査用に、初めて事業計画書というものを書きました。翌年、その施設に入居した後にも、インキュベーションマネージャ(経営や事業内容について指導や助言をしてくれる専門家)の指導の下、入居3年後までの計画を立てました。

 会社を設立してから3年が経過したわけですが、自社の事業計画はどの程度達成できたのでしょうか。当時計画していた3年目の事業内容を簡単にまとめるとこんな感じです。

(1)教育サービス案件を継続的に受注
(2)自社研修を定期的に開催
(3)自社独自コンテンツの増強
(4)社員採用による人員の増強

 実際のところどの程度達成できたのでしょうか。(1)〜(4)を1つずつ見ていきます。

 (1)取引先に恵まれたことが大きいのですが、いくつか継続的にお仕事をいただいている状態になっていますので、まずまず達成できたといってもよいでしょう。

 (2)昨年から定期的に自社研修を開催しています。とはいえ最初から自社単独で開催したわけではなく、何社かにご協力いただいて共同開催などを通じてノウハウを蓄積できたおかげです。ということで形式的には達成できていますが、収益の面ではまだまだ課題が大きく、考えるべきことは多くあります。

 (3)創業時は独自のコンテンツがまったくなかった状態でスタートしました。その後、さまざまな案件を通じて、少しずつ蓄積することができましたので、これはそれなりに達成できたといえるでしょう。

 (4)計画ではいまごろ数人の体制ができているはずでした。ですが実際は、現在も弊社は自分1人です。ここはまったく達成できておらず、難しいテーマであると考えています。このテーマについては、後編でもう少し掘り下げたいと思います。

 上記以外に数字的な目標もありましたが、これに関連しても後編でお話ししたいと思います。

 自分としては、意外と達成できているな、という印象です。正直なところ、普段の活動から上記目標を常に意識していたかというと、あまりそういう自覚はありません。とはいえ、やはり目標を策定していたからこそ、意識的、無意識的にその目標を念頭に置いた行動になっていたのではないかとも思っています。

経理や営業はできるようになったのか?

 独立する前から懸念していたことですが、経理や営業については知識なく始めてしまいました。そう考えると、先の目標には明記していませんでしたが、隠れた重要テーマだったといえます。さて、3年たってみて、経理や営業は果たしてできるようになったのでしょうか。

 いま思えば、特に経理については本当に何も分かっていなかったと思います。会社の場合は年に1度、決算書類を作って税務署に提出し、法人税を納付しなければなりません。もちろん、法人税の納税が必要なこと自体は分かっていました。わたしの会社は決算月を12月にしていたのですが、設立最初の年は、そんな書類をいつどうやって作るのかすらもまるで分かっていませんでした。前の連載を書いていた時点でも、です……。いま思えば何とも恥ずかしい状態で記事を書いていたものだと思いますが。

 決算が近づいてきた11月ごろになって、同じ年に起業して社長になった方に会う機会があり「君のところは決算の準備とかしてる?」と聞かれ、そこから焦って準備を始めました。

 その後、いろいろと調べるうちに、上記のように決算書類を作らなければいけないことが分かり、しかも自分で作るのはかなり大変だということも分かってきたので、慌てて書類を作ってくれる税理士を探すことになりました。といっても、前年までごく普通の会社員だったわたしに、懇意にしている税理士などいるはずがありません。途方に暮れかけたときに、その年の夏に結婚したわたしのいとこが、会計事務所に勤めていることを思い出しました(たまたま、結婚式の2次会で職場の話題になって知ることができたのです)。すがる思いで電話してみたところ、決算処理をお願いすることができました。その会計事務所の担当の方には、決算処理の際にいろいろと会計のことを教えていただくことができ、そのおかげでずいぶん知識を蓄えることができました。以来、その会計事務所には継続して決算処理をお願いしています。

 決算処理は専門の方にお願いしましたが、年末にやらなければいけない経理処理には、年末調整というものがあります。会社員時代に年末調整といえば、「12月の給与で少し額が多かったりするもの」というイメージしかなかったのですが、今度はその額の計算自体を自分でやらなければいけません。

 年末調整も会計事務所に依頼できたのですが、自分の手で行うことにしました。というのも、税務署から設立初年度の会社向けに説明会の案内が来ていたので、「説明を聞けば自分でもできるのかな」と思ったからです。

 年末調整の説明会は、近くの区民センターで実施されました。申請に必要な書類などをもらった後、ホールに入って説明を聞いたのですが、実際のところは、年末調整の仕方を説明したビデオを上映するというものでした。とはいえ、1回聞いただけでは覚えきれませんので、会社に戻ってインターネットで調べ直そうと思い国税局のWebページを見ていたところ、先ほど区民センターで上映されていたのと同じ動画が掲載されているのを見つけました。ちょっと、複雑な気分になりました。

 とにかく、そんなこんなで年末調整は自分で行うことができました。これが社員の多い会社ですと、理屈は分かっていても作業量がばかにならないと思うのですが、弊社は1人なので分量的な負担が少なかったのは幸いだったかもしれません。

 営業活動については、経理に比べあまり進歩していないのが正直なところです。Webページからの問い合わせも、昨年くらいから徐々に増えてはきているのですが、こういった待ち受け的な営業活動ではなく、こちらからアクセスする営業活動はなかなかできていません。前の連載でも同じことを書きましたが、会社員時代に少しでもいいから営業の経験をしておけばよかったという思いです。ですがいまさらそんなことをいってもいられませんので、今年はもっとそういった活動に力を入れていきたいと考えています。

独立して、思っていた以上にやることは多かった  

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