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特集:ITエンジニア独立入門

第3回 社員時代に経験しておきたかった経理や営業の仕事


中越智哉(ナレッジエックス)
2009/7/29

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独立して、思っていた以上にやることは多かった

 わたしの性格は、性根はけっこう面倒くさがりなのですが、その半面、自分で何でもやるのが好きなところもあります。独立して仕事をしていく場合には、事前に予想はしていたものの、思った以上に自分でやらなければならないことが多いと分かりました。

 例えば、紙モノの準備がそうです。名刺に始まって、見積書、注文書、請求書などの書類、その書類を送付するための封筒などは、会社員だったころは自分で手配するという感覚がありませんでした。これらもすべて自分で用意、作成しなければなりません。これは良いのか悪いのか分からないのですが、自分で何でもやるのが好きな性格なので、名刺や封筒についても、名刺の用紙や無地の封筒を買ってきて、自分でデザインをしたり印刷したりして使っています。

 名刺や封筒はまとめて作ってしまえば、しばらくは作業が発生しないものですが、やはり日常業務の中で発生してくる事務仕事というのも、会社をやっているとかなりあります。今日は、何もプロフィット活動(売り上げに直結する作業、業務)をしていないのに、気が付いたら夜になっていた、ということが実はかなりあります。別に、ネットサーフィンやTwitterなどに夢中になって仕事をさぼっていたというわけではありません。仕事はしているのですが、何ということのない事務処理をいくつも続けてやっていたら、夜になってしまっていた、ということです。

 独立してみて、社内にコストセンターといわれる部門の方々がいることのありがたさをあらためて実感することとなりました。

取引先にもいろいろある

 会社設立当初は取引の手続きなど理解できていないことが多く、取引先にご迷惑をお掛けしたことがありました。そんな調子なので大きなことはいえないのですが、3年も会社をやっていると、いろいろな会社があるのだと思い知らされます。幸いにして、弊社では、売り上げが入金されなかったとか、踏み倒されたといったような大きなトラブルはなかったのですが、「え? こんなことが……」と思うようなことがいくつかありました。

 注文書や見積書を発行するとき、短時間で確認するためにスキャンした電子ファイルをメールで送信したり、FAXで送信したりすることはよくあります。一応原本はその後に送っていただいたり、お会いする機会に手渡していただいたりします。とある取引先では、「原本を送ってください」とお願いしたら、どう見ても原本とはいえない書類が送られてきました。恐らくは、スキャンして取り込んだものを、印刷して送ってくれたのだと思いますが、普通に原本をそのまま送っていただけばよいところを、なぜそこまでの手間をかけて送っていただいたのか、いまだに謎です。控えと原本を取り違えただけだったのかもしれません。

 上記で、金額のトラブルはないと書きましたが、1社だけ、「そんなことが?」と思うことがありました。とある案件の代金が、入金はされているのですが、数百円不足しているのです。きっと、事務処理手続きのミスなのだろうと、担当者の方にご連絡したところ、「それで間違いない」といわれるので、「いや、足りません」といいました。すると、「弊社ではお振り込みの代金は取引先さまにご負担いただいておりますので」との返事が来ました。どちらがスタンダードなのかは、弊社も取引先が多い方ではないので、論じることはできませんが、弊社のお取引先でそういうシステムだったのは、その会社だけでしたので、ちょっと驚いた覚えがあります。

 また、注文を受ける際には、電子データにしろ書面にしろ、注文書、といわれるものを発行することが一般的ですが、これもお取引先の中には、「よく見知った会社との取引が中心なので、普段は注文書を出さずメールのやりとりのみで済ませる」という会社もありました。そうだと分かっていれば、それほど驚くこともないのですが、知らずにやりとりしていると、「え?」と思ってしまいます。メールで見積金額を送り、原本も郵送した後に、そのメールへの返信で「ではその見積もりどおりで注文します」とあったので、そのうち注文書が来るのだろうと思って待っていても、全然来る気配がないのです。注文が来ないと作業に着手できないので、催促したら、上記のようなことが分かった、という顛末(てんまつ)でした。取引先にしてみれば、メールへの返信の文言で、注文が完了したという認識だったのですね。

 前編では、会社設立当初と3年経過する間での「違い」を中心に、予想もしなかった仕事内容についてもご紹介してきました。後編でも引き続き、設立当初にはあまり想定していなかったこと、予想していなかったことなどについてお話ししたいと思います。

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