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特集:ITエンジニア独立入門

第5回 ベンチャー社長が語る、いま起業すべき3つの理由


岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/7/31

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起業とは何だろうか。エンジニアが起業して「社長」になるとはどういうことなのか。エンジニアライフの人気コラムニストが自身の起業体験談から、「エンジニアにとっての起業」を語る。

 今週、1週間にわたってお送りしてきた特集「ITエンジニア独立入門」。最終回となる今回は、エンジニアライフのコラム「ベンチャー社長で技術者で」でおなじみのコラムニスト、ジーワンシステム 代表取締役の生島勘富(いくしまさだよし)氏に、ご自身の起業体験と、エンジニアにとって起業が持つ意味について話を聞いた。

 過激なコラムに定評のある生島氏だが、実際に会うと非常に紳士的。丁寧な語り口で「ベンチャー社長」としての自分と「技術者」としての自分について語ってくれた。

大局的な仕事がしたかった

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 生島氏は高校卒業後、最初は某電機メーカーの研究所で派遣という形で働き始めた。その後、介護用品メーカーに転職し、プログラミングの経験がほとんどない状態で在庫管理や売上管理のシステムを構築したという。当時のエピソードは、生島氏の最初のコラムに詳しく書かれている。

 その後、フリーエンジニアとして働き始めた生島氏は、ある時点で「起業」という道を選ぶことになる。そのきっかけを、生島氏は次のように語る。

 「フリーで働くのと起業するのとでは、自由度はフリーの方が高い。でも、自分のやりたい大きな仕事は、フリーエンジニアという立場ではできなかった。もっと大局的な仕事をしたかったんです」

 幸い、フリーエンジニア時代に資金援助をしてくれるという社長と知り合い、また生島氏の奥さんがインキュベーションセンターに勤めていたこともあって、起業という道を選ぶことができた。「運が良かった」と生島氏は振り返る。

 2003年2月、ジーワンシステム設立。当初は「競馬関連の動画Web配信ビジネス」を構想していたそうだが、うまくいかず、SIer(システムインテグレータ)として走り出すことになった。

ジーワンシステム 代表取締役 生島勘富氏

社長業は大嫌い

 起業してしばらくは、案件が取れるごとに社員を採用していた。プロジェクトにアサインするメンバーを集めているだけであり、「いま欲しい人を集める」というだけだった、と生島氏は当時の状況を苦笑いしながら語る。企業が人を採用するということの意味を、まだよく考えていなかった。

 「組織として、どんな人を採用して、どう育てていくか、というプランがなかった。苦労しました」

 起業したとき、すでにITバブルは崩壊していた。それでも何とかビジネスを回し、今年で7年目、社員は7人になった。

 「ベンチャー社長で技術者で」というコラムタイトルからも分かるように、生島氏は「社長」と「技術者」の2つの顔を持っている。どちらの方が好きかと尋ねると「技術者」と即答する。

 「社長業は、いまだに大嫌いですね。わたしの代わりに社長をやってくれる人を募集中です」

 起業したてのころ、「ベンチャーは社長が商品だ」とよくいわれたという。生島氏は「自分の技術が商品だ」と思っていたため違和感があり、あまり表には出なかったが、最近になって「そういう面もあるかな」と思って露出するようにし始めた。CNET Japan読者ブログやエンジニアライフへの参加は、そのような「戦略」によるものだ。

起業してみないと分からないことはたくさんある

 生島氏は自身のコラムで度々、エンジニアに「起業」を勧めている。その理由について、生島氏は次のように断言する。

 「起業とは、人を伸ばす一番いい経験です。やってみないと分からないことだらけですから」

 個人的にやっていて楽しいのは「技術者」だ、と生島氏は繰り返す。だが、「社長」はまったく違う楽しみがあるという。「会社を育てる」という楽しみだ。

 どのようなエンジニアが起業に向いているかについて聞いたところ、「初めてのこと、苦しいことを『自分への投資』であるとか『良い経験』ととらえられる人は向いている」と答えてくれた。逆に、「受け身の人」は向いていないという。

 「起業する前は人月いくらで働いていましたから、残業代を付けようと思ったらフルで付けられる環境でした。でも、自分で納得のいく金額分しか付けなかったんですよ。やっぱり人月は違うと思う。そういうところで、何も考えずにフルで残業代を付けるような人は、起業には向いてないかもしれませんね」

 現在、社員の評価については、保守業務など一部を除いて人月方式を採用していない。「難しいけれど、原則パフォーマンスで評価するようにしている」と生島氏は語る。

いま起業すべき3つの理由  

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