第5回 ベンチャー社長が語る、いま起業すべき3つの理由
岑康貴(@IT自分戦略研究所)
2009/7/28
■いま起業すべき3つの理由
2009年現在、世の中は不況だ。この特集では繰り返し「不況は独立のチャンスである」というメッセージを訴え続けてきた。生島氏もまた、「いまは独立・起業のチャンスである」と主張する。
「エンジニアはもっと 起業するといい」 |
「正直、いまの不況は厳しいです。でも、だからこそ、いま起業すべき。理由は3つあります」
1つ目は「不況期に起業すると、最初の3年は注目される」という点。不況のときに起業すると、それだけで十分注目に値するのだ。
「商工会とか、社長が集まる場に行くといいと思う。若い社長だと、『何ができるの?』って社長たちが集まってきますよ。最初から担当者ではなく社長と話せますから、仕事が取りやすい。最初の2年か3年は仕事をくれる。いきなりまったく何もない、ってことはないでしょうね。みんな同じように苦労しているから、その分最初は支援してくれます」
2つ目は「公的支援が得やすい」という点。例えば生島氏はコラムで「中小企業基盤人材確保助成金」を紹介している。
自分が起業したころよりも公的支援は手厚くなっている、と生島氏は強調する。
3つ目は「不況なら、たくさん考える。その分成功に近づく」という点だという。
「バブルのときに起業した人の大半は、何も考えていません。何も考えなくてもうまくいくからです。考えてるつもりでも、考えていない。逆に、不況のときに起業するとなれば、既存のビジネスや常識に変化が起きているという前提で相当考えるはずです。考えただけ、成功に近づくと思いますよ」
■空気をつくれる人が向いている
エンジニアがIT企業を立ち上げるとなれば、社長には「技術者をまとめる」というスキルが求められる。生島氏は「空気をつくれる人が向いている」と語る。
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「開発プロジェクトでもいるでしょう。技術的にすごいわけじゃないんだけど、何となく空気をつくれる人。ムードメーカーというのかな。しんどいプロジェクトほど、こういう人が必要になる。会社も同じです。最初はしんどいので、ムードメーカー的な人が社長をやるとうまくいくと思う」
起業当初は社長がムードメーカーで、しかり役は別の人が担当した方がいいという。自分はムードメーカーにはなれないんですけどね、と生島氏は笑う。
■コネクションづくりを意識しよう
「最後に、重要なのがコネクション。どれだけコネクションを持っているかだと思います。これは別に、大げさに考える必要はありません」
生島氏自身、資金提供してくれるという社長の存在は起業の大きなきっかけの1つとなっている。そういう人が見つかるかどうかは運に左右される。とはいえ、常日ごろからコネクションを増やそうと努力することで、成功の確率を上げることはできる。
生島氏のいうコネクションづくりは、決して特別なことではない。
「仕事をしていくうえで、いろいろなプロジェクトに顔を突っ込んで、目立つ人につばをつけていくんです。技術的にすごい人とか、案件をやたら取ってくる人とか、いい空気をつくっている人とか。あとは、知り合いにどんどん人を紹介してもらう。遠慮する必要はないと思います」
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「資金繰りの心配のない会社にしたいなあ。そして、優秀なエンジニアに来ていただけるような会社にしていきたいですね」
生島氏は最後に、そのように今後の展望を語ってくれた。大変そうだが、その目は輝いている。
1週間、「ITエンジニア独立入門」と題して特集を行った。不況であっても「独立」や「起業」という選択肢がある、ということを感じ取っていただければ幸いだ。この特集を読んで、新しい第一歩を踏み出すエンジニアが増えることを願っている。
■特集「ITエンジニア独立入門」
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