第2回 小飼弾「転職活動する暇があったらブログを書け」
小飼弾
2009/9/25
■誰にでも分かる言葉で自分を語れ
それでは、「これさえやっていれば職が向こうからやってくる」こととは何でしょうか?
自分の足跡を、Webに残すことです。
Webサイトを立ち上げるもよし。論文を書くのもよし。こうして@ITに寄稿するもよし(笑)。ですが最も手軽なのはブログを書くことでしょう。ブログといっても今日の昼飯の味についてではありません。あなたが味覚エンジニアであれば別ですが(笑)。あなたがどんな技術を持ち、どんな技術を学んでいて、そして今後どんな技術を得たいのか。それを書いていくのです。
白紙から始めるのが苦手なら、ほかの人のブログにツッコミを入れるのもいいでしょう。ある記事を読んで違和感があったら、それについて書くのです。そうすれば少なくとも元記事を書いた人は読んでくれます。それで感銘を受けたら、元記事を書いた人はあなたの記事をブックマークしてくれるかもしれません。Twitterでtweetしてくれるかもしれません。
そうして積み上がったブログは、そのうちあなたがこんな会社で働きたかったという会社の採用担当の目にいつか留まります。短ければ3カ月、長くて半年も書き続ければ、そういう会社のアンテナに引っかかるようになります。転職は、そうやって声がかかってからすればいい。さらに運と実力があれば、そうしているうちに採用ではなく案件が直接来たりもします。そうすればしめたもの。もう個人事業主としてやっていけるということですから、もはや「転職」そのものが“無問題”となります。
え、「FizzBuzzを書けないけど、どうしてもITエンジニアとして転職したい」? そういうあなたにこそ、ブログは味方となります。FizzBuzzを書く練習を、ブログですればいいのです。そうやって築き上げた学習録こそ、実は採用担当が一番見たいもの。彼らはあなたがどれだけできるかよりも、どれだけ学ぶ力があるかに注目しているのです。むしろ「できなかったころ」まで公開した方が、それがきちんと伝わる分有利だとすらいえます。
『高校生のための文章読本』(梅田卓夫/清水良典/服部左右一/松川由博著、筑摩書房)という本に、こんな一節があります(『高校生のための文章読本』、p.208)。
「I 良い文章とは 1.自分にしか書けないことを 2.だれが読んでもわかるように書いた文章」 |
この言葉を借りれば、
「よいITエンジニアとは、 1.自分にしかできない仕事を 2.だれが見ても分かるようにする人」 |
となるでしょう。ブログはその両方を鍛えてくれる上、転職には欠かせないコネまで構築してくれるのです。
弾言します。3カ月間ブログをきちんと書き続けられるITエンジニアが、職にあぶれることはない、と。
筆者プロフィール | ||
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■9月の特集、「転職市場予測」ラインアップ
特集:「転職市場予測」のラインアップは次のとおり。
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