第5回 有名IT企業13社が回答――「採用抑制」が過半数
荒井亜子(@IT自分戦略研究所)
2009/10/5
■採用回復のめど⇒「分からない」が9社
採用を抑制している/やめている企業に対し、ITエンジニアの中途採用が復活する時期について予想してもらった。
11社中9社は「分からない、見当がつかない」という回答だった。ただし、マイクロソフトとある外資系大手コンサルティング企業の2社のみ、「2010年度上期」と予想。来年度4月以降に大手企業を中心に徐々にITエンジニアの中途採用が始まると考えられるかもしれない。
ちなみにサイボウズは、「ITエンジニアの中途採用開始時期は未定だが、海外向け営業を2009年9月末から募集開始予定」と回答している。まずは営業の案件獲得が先決ということだろう。
■ITエンジニアにはビジネスマインドを求める企業多し
最後に、自由記述で「不況でも欲しい人材」について聞いた。
「新規事業を創出できる人材」(大手電器メーカー)や、「案件を受注し、そのプロジェクトをマネジメントできる、セールス力とデリバリー力を兼ね備えた人材」(日立コンサルティング)など、不況ゆえか、ITエンジニアにビジネスマインドを求める回答が目立った。
そのほかは以下のとおり。「技術に対する情熱と高い技術力を持ち、論理的にコミュニケーションが取れる人材」(マイクロソフト)、「コミュニケーション力が高く、LAMPで開発ができる、自己成長意欲の高い人」(ミクシィ)、「Webに関する一般的な技術力と併せて、特定の技術分野において高い専門性を持っている人」(ヤフー)。専門技術を持ち、コミュニケーション力に優れたITエンジニアは、不況でも需要の高さが窺える。
■不況でも、「何とかする」という気概で臨めば「何とかなる」
リストラや減給の被害に遭っている人たちにとって、転職市場の冷え込みは生死に直結する問題だ。それだけに、@IT自分戦略研究所では、ITエンジニアの転職市場の現状を大きな問題ととらえ、今回の特集を実施するに至った。
本特集の第2回では小飼氏が「転職活動をする暇があったらブログを書け」で、市況に左右されない優秀なエンジニアになる秘けつを書いていた。第4回ではキャリアコンサルタント 岡本氏が「転職、温故知新。不況期はトレンドを見極める時期」で、不況をチャンスととらえる前向きなアドバイスをしていた。市場と一緒に凍結している場合ではない。状況の厳しさを受け止めつつも、これらのアドバイスを参考に、「何とかする」という気概でスキルアップに励んでいただければ幸いだ。
約25年間のサラリーマン人生で12回転職を果たした経済評論家 山崎元氏は、自らの経験を振り返り、「(1)健康で、(2)まじめに働く気があれば、いまの世の中食えないことはない」と述べている。心身を壊さないこと、まじめであること、その2つを守っていれば「何とかなる」という先達の言葉である。
◇
■アンケート協力企業(50音順)
・伊藤忠テクノソリューションズ
・サイボウズ
・日立コンサルティング
・マイクロソフト
・ミクシィ
・ヤフー
・その他7社
◇◇◇
■9月の特集、「転職市場予測」ラインアップ
特集:「転職市場予測」のラインアップは次のとおり。
転職市場回復は順当に行けば2012年ごろの見通し 特集:転職市場予測(1) 案件減少による採用ストップ……。崩壊したITエンジニアの転職市場を占う。中途採用はいつになれば復活するのか。見えない出口を探る 自分戦略研究室 2009/9/24 |
小飼弾「転職活動する暇があったらブログを書け」 特集:転職市場予測(2) 「転職市場崩壊とはどこの星の話だ」「ITエンジニアはいつからだぶつくようになったんだ」小飼弾が、ITエンジニアを激励すべく“弾言”を披露する 自分戦略研究室 2009/9/25 |
エンジニアライフ時事総論:それでも我々は転職をする 特集:転職市場予測(3) 次の転職への準備、転職のコツなど、エンジニアライフのコラムニストが語る。実体験に裏打ちされた生の声から学ぼう 自分戦略研究室 2009/9/28 |
転職、温故知新。不況期はトレンドを見極める時期 特集:転職市場予測(4) 過去の不況期、エンジニアはどこに転職をしていたのか。人材業界20年のベテランキャリアコンサルタントが、過去の不況から得た教訓をアドバイス 自分戦略研究室 2009/9/29 |
有名IT企業13社が回答――「採用抑制」が過半数 特集:転職市場予測(5) 有名IT企業13社に対し、中途採用に関する独自アンケートを実施。昨年に比べ採用人員数を50%近く絞っている企業が多く見受けられた
自分戦略研究室 2009/10/5 |
@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。
現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。
これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。