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IT業界の冒険者たち

第20回 C++の創造神

脇英世
2009/6/11

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、IT業界を切り開いた117人の先駆者たちの姿を紹介します。普段は触れる機会の少ないIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の冒険者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

ビアルネ・ストラウストラップ(Bjarne Stroustrup)――
AT&T研究所研究部門長
C++開発者

 C++言語といえば、ビアルネ・ストラウストラップが有名である。1985年ごろ、最初にこの名前に出合ったとき、何と読むのか分からないで実に困った。最近は訳本が出てB・ストラウストラップと表記することになって一応の解決はついた。しかし本当は何と読むのだろうと疑問に感じる。これは米国人でも感じる疑問だそうだ。

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 ビアルネ・ストラウストラップ本人も非スカンジナビア人が自分の名前を発音するのは難しいだろうといっている。本人によると、まずBとjは強調されない。そしてneは弱い。従ってファーストネームはビアルネと発音する。ラストネームの最初のuはvに近く、次のuはウーに近い。従ってストロブストループとなるらしい。まとめてビアルネ・ストロブストループが本当の発音らしいのである。米国では名前の読み方は個人の自由ということになっているので、本人がいうのが一番正しい。

 「ノルウェー語で何回かいってみて、それからジャガイモをのどに押し込んで発音するといい」というのが本人のアドバイスである。ありがたいアドバイスではあるが、さっぱり要領を得ない。結局、誰にとってもなかなか難しいものらしい。ここでは日本語訳の記法B・ストラウストラップを尊重する。

 B・ストラウストラップは1950年にデンマークのAarhusに生まれた。写真を見るとかなり年配の感じを受けるのだが、そう年老いているわけでもないらしい。B・ストラウストラップは1975年にAarhus大学の数理コンピュータ科学科を卒業した。英国に移ってケンブリッジ大学のコンピューティング研究所で分散システムの設計の研究に従事して、1979年Ph.Dを取得した。この時代に奥さんのマリアンに出会った。英国時代に長女のアンヌマリーが生まれた。

 1979年、B・ストラウストラップはAT&Tベル研究所のコンピューティング科学研究センターで働くため、米国のニュージャージー州に行った。ここで長女のアンヌマリーに続いて、男の子ニコラスが生まれた。

 1995年のAT&Tの分割によって、AT&Tベル研究所は、AT&T研究所とルーセントテクノロジーズベル研究所に分割された。B・ストラウストラップはAT&T研究所の大規模プログラミング研究部門長を務めている。

 B・ストラウストラップはケンブリッジ時代、分散システムのシステムソフトウェアの別の構成法がないかと探していた。B・ストラウストラップは分散システム上で動くソフトウェアをシミュレートするシミュレータを書いた。このシミュレータの最初のバージョンはシミュラというプログラミング言語で書かれた。シミュラのクラスの概念が非常に有効であった。

 1979年にAT&Tベル研究所のコンピューティング科学研究センターで、B・ストラウストラップはLANで接続されたコンピュータのネットワーク上にUNIXカーネルを分散化できないかという研究を始めた。この研究のためには解析ツールが必要であった。この過程からクラスを持ったCの概念が生まれ、やがてこれがC++に成長していくのである。

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の冒険者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

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