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IT業界の冒険者たち

第27回 アパッチを率いた男

脇英世
2009/6/24

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 1992年末にできたコアグループには8人が参加していた。その8人とは、ブライアン・ベーレンドルフ(ホットワイアード 米国)、クリス・スコールニク(フリーランス 米国)、ロイ・T・フィールディング(カリフォルニア州立大学アーバイン校 米国)、ロブ・ハーティル(インターネット・ムービーDB 英国)、デビッド・ロビンソン(ケンブリッジ大学 英国)、ランディ・ターブッシュ(コバレント・テクノロジーズ 米国)、ロバート・S・タウ(マサチューセッツ工科大学 米国)、アンドリュー・ウィルソン(フリーランス・コンサルタント 英国)という顔ぶれである。

 サンフランシスコのベイエリアの青年の呼び掛けに、世界中の青年が応えたわけである。当初は英語圏に限られたとはいえ、インターネットと電子メールの威力には驚かされる。

 コアグループはNCSAHTTPd1.3を基にして、これに知られているすべてのバグフィックスと、価値があると考えられるすべての拡張を取り入れ、ホットワイアードが提供したサーバ上で動かしていた。この成果として1995年4月、アパッチ0.6.2がリリースされた。

 本家NCSAでもHTTPdの開発が再開され、そのチームから、ブランドン・ロングとベス・フランクがメーリングリストに加わり、名誉会員となって、情報の交換に寄与した。

 アパッチは早くから成功したが、オーバーホールと再設計が必要と考えられていた。1995年5月から6月にかけてロブ・ハーティルを中心として、アパッチ0.7.Xに新機能が付け加えられた。

 一方、ロバート・S・タウは新しいサーバ・アーキテクチャを設計した。モジュラ構造、API、プールベースのメモリ割り付け、適応型プリフォーキングプロセスモデルなどが導入された。コアグループは、1995年7月にこのアーキテクチャに切り替え、これにアパッチ0.7.Xの新機能を合わせて、1995年8月にアパッチ0.8.8としてリリースした。続いて1995年12月には、アパッチ1.0がリリースされた。デビッド・ロビンソンによってドキュメントが強化された。

 現在はアパッチ1.3.23に進んでいる。オリジナルメンバーのうち、デビッド・ロビンソン、ロバート・S・タウ、アンドリュー・ウィルソンはもう抜けているらしい。その後のメンバーにはIBMの社員が目立っていたように思う。

 1998年にはIBMもアパッチを採用した。アパッチの魅力は無料であることであり、しかもそれでいて高性能であることである。アパッチはウィンドウズ系もサポートしている。ネットクラフトによれば、アパッチのシェアは56%に上るといわれる(2002年2月現在)。いまや圧倒的な勢力を誇っているのである。

 1999年2月1日、ブライアン・ベーレンドルフはオライリー・アソシエイツにチーフテクノロジーオフィサーとして入社した。オライリー・アソシエイツはPerlの開発者であるラリー・ウォールも入社させている。一種の囲い込みとも考えられる。

 オライリー・アソシエイツはオープンソースソフトウェア系の解説書を出版して急速に大きくなった。オープンソースソフトウェアという言葉も、オライリー・アソシエイツの最高経営責任者のティム・オライリーが、営利主義的傾向を批判するフリーソフトウェア財団のリチャード・ストールマンの影響から脱却するために考え出したものである。

 ブライアン・ベーレンドルフは運の良い人である。やりたい事をやりたいようにやって、それがアパッチの大成功につながった。さらに、ブライアン・ベーレンドルフは、インターネットで生涯の伴侶であるローラ・ラ・ガッサに出会った。彼女はホームページ作りが好きで、ブライアン・ベーレンドルフのことがかなりよく分かるのは、彼女のホームページがあるからである。2人は1995年に結婚した。結婚式の写真はインターネットで見ることができる。

本連載は、2002年 ソフトバンク パブリッシング(現ソフトバンク クリエイティブ)刊行の書籍『IT業界の冒険者たち』を、著者である脇英世氏の許可を得て転載しており、内容は当時のものです。

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