第2部 第1章 コンピュータ本流が描いたもう1つの未来像/1976 マイコン革命の旗手としてのオフィスコンピュータ |
日本電気のコンピュータ事業
富田倫生
2009/12/15
本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部) |
本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など |
日本電気のコンピュータ事業の戦略策定をになう浜田俊三は、水平線の彼方から2つ目の小型化の波が近づいてくる気配に眉根を曇らせていた。
1つ目の波に、日本電気はかろうじて乗ることができた。
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電子計算機に手を染めて以来、労ばかり多くして利益の上がらなかったこの分野を、日本電気はオフィスコンピュータによって、ついに採算のとれるビジネスへと転換させた。
予想もしなかった方角から第2の波が近づいてきたのは、小型化の波に乗って日本電気がようやくコンピュータ事業に突破口を開いたおりもおりだった。
この2つ目の波は、果たしてどこまで育つのか。無視できるものなのか。それとも向き合って対処すべきものなのか。敵なのか味方なのか。
浜田にはまだ、確信が持てなかった。
だが、吐息1つもらす間に、波はもう1つ寄せる。足元を洗う小波か、防波堤を越える大波か、いずれにせよ波頭はここに及ぶ。とすれば果たして今、何をなすべきなのか。
1980(昭和55)年を前後する時期、パーソナルコンピュータという第2の小型化の波を乗り切るための課題を、浜田は1つひとつ数えはじめていた。
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