第11回 チーム全体のストレスマネジメントに必要な3つの「かけ」
ピースマインド・イープ
カウンセラー 石川賀奈美
2011/5/20
■4〜5月は、メンタル不調を招きやすいタイミング
さらに、季節要因もあります。春は異動や昇進の季節です。環境の変化は不調を招きやすい要因となるため、注意が必要です。
下記のようなタイミングが重なった時は、普段はメンタルの不調とは無縁な人、元気な人でも調子を崩すことがあるため、注意が必要です。
・仕事に関連したタイミング
- 残業や休日出勤が続いた時
- 責任や負荷の大きい仕事を任された時、またこのような仕事から解放された時
- 異動、転勤、転職
- 昇進、昇格など立場が変わり、より責任の重い仕事についた時
- 仕事のトラブルや大きなミスが続いた時
- 上司や同僚とのコミュニケーションが乏しくなった時
・仕事以外でのタイミング
- 単身赴任など人間関係でのサポート環境が乏しい時
- 家族や大切な人のトラブルが続いた時
- 災害や事故などに遭遇した時
また、誤解されがちですが、人はネガティブなことだけではなく、うれしいと思われる昇進や昇格も不調のきっかけになる場合があります。
「きっかけとなる出来事」と「心身の不調の発症のタイミング」には、時間的なずれがあります。出来事の発生時だけでなく、少し時間がたってから不調が起きることがあるので、油断しないことが大切です。
■マネージャはセルフケアも仕事のうち
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先にも書きましたが、徐々に蓄積されるストレスは、本人が気付きにくい場合があります。まして、日々チームのことで頭がいっぱいのマネージャであれば、なおさら気を付けなければなりません。マネージャは人を見る立場であり、見られる立場ではありません。そのため、「自分で自分自身をケアする」ことを心掛けてください。
・自分のストレス状況に気付こう
ある程度、生活リズムやパターンが一定だと、自分の変化に気付きやすくなります。
- 起床時間
- トイレ(とくに排便)のタイミング
- 好きな食べ物
- 趣味への関心度合
において、何か変化が起こったかどうかを振り返ってみてください。
・良質なストレス発散方法を探そう
お酒を飲んで同僚と愚痴を言い合い、ストレス発散するのは重要なコミュニケーションの1つですが、酒量が増える場合があるのでほどほどに。むしろ、マッサージやスポーツジム、プールでの軽い運動の方が、ストレスを発散する効果は大きいのです。ぼんやりするのもおすすめですが、テレビの前でごろ寝、よりは近所の公園に散歩のほうがリラックス効果は高いです。
チームメンバーやマネージャ自身の健康は、チームビルディングの「土台」です。困難な時こそ、この土台の威力が発揮されます。災害という大きなタイミングをきっかけに、チームのメンタルヘルス状況を見直してみてください。
■参考文献
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ピースマインド発行小冊子『メンタルヘルス セルフケア』『メンタルヘルス ラインケア』2009年。
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American Psychiatric Association/高橋三郎、大野裕、染谷俊幸訳『DSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引』医学書院、2003年。
筆者プロフィール | ||
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