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プロカウンセラーに学ぶチームビルディング

プロカウンセラーに学ぶチームビルディング術

第11回 チーム全体のストレスマネジメントに必要な3つの「かけ」

ピースマインド・イープ
カウンセラー 石川賀奈美
2011/5/20

チームビルディングとカウンセリングには共通点がある。「人の話をきちんと聞く」「相手の立場になって考える」――口でいうのは簡単だが、実行するのは難しい。訓練を受けたプロカウンセラーからカウンセリングで使うコミュニケーションスキルを学び、メンバーとの信頼関係構築、チーム内のモチベーション維持、すみやかな情報伝達のために生かそう。

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チーム全体のストレスとメンタル状況、気にしていますか?

 地震から2カ月が経過しました。多くの人々が、混乱状態から脱しつつあります。

 ですが、油断は禁物です。この時期に特有の症状があることをご存じでしょうか。張りつめてきた緊張の糸が緩み、疲れがどっと出てくる可能性があります。

 チームを率いるマネージャであるなら、「チームのストレスケア」について知っておいて損はありません。今回は、「チームケア&マネージャ自身のケア」のコツを紹介します。

まずはストレスがどんなものかを確認

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 まずは、自分のストレス状況について再度、確認しましょう。「死ぬかも!」「怖い!」と思うような大きなショックを受けた後、人の心と体には、以下のような症状が現れます。

  • 早く寝ているのに、なぜか疲れがたまっている気がする
  • 眠りが浅い
  • 遊びや外食など楽しめない、罪悪感がある
  • いつも体が揺れている感じがする
  • ふと、災害当時を思い出して不安になる

 私たちの心や体には「受けたショックから回復しよう」とする働きがあります。通常は、時間が経過して状況が沈静化するとともに、これらの症状も徐々に軽くなると言われています。数カ月経てばこれらの症状は軽減しますが、もし現時点でも状態が継続している場合は、医療機関の受診やカウンセリングの利用を検討してください。

3つの「かけ」でメンバーのメンタルをケアしよう

 マネージャなら、常日ごろから「メンバーの調子を確認すること」は重要な仕事の1つです。この時、特に「ラインケア」を心掛けてください。ラインケアとは「職場において、メンバーのメンタル不調の予防と早期発見、対応を図り、パフォーマンス向上を目指すこと」です。

 ラインケアのポイントは3つの「かけ」――「気に掛け」「声を掛け」「橋を架け」の3点です。

ラインケア

(1)メンバーの健康とパフォーマンスを「気に掛け」る

(2)機会あるごとに積極的に「声を掛け」る

(3)必要に応じて専門部門に「橋を架け」る

(1)気に掛け

 大きなショック後には、さまざまなストレスがメンバーを襲います。家族の状況、これまで似たような経験があるかないか、精神的な影響の受けやすさなど、ストレスの種類や状況は人それぞれです。

 そのため、何かショックを受けるような出来事が起こった場合、普段以上にメンバーの様子を気に掛ける必要があります。もしかするとメンバーは、「こんなことで不安定になっていてはいけない」「他の人はもっと大変なのだから」と、自分の不調を見せないようにしているかもしれません。常に頑張ろうとする真面目な人ほど、このような傾向があります。

 マネージャは、「メンバーが何も言ってこない」からといって安心してはいけません。表情や顔色、声の様子、そしてパフォーマンスなどを注視してください。

(2)声を掛け

 世の中全体の緊張状態が長引く時は、人は自分のストレスや疲れに気付きにくくなる傾向にあります。

 そのため、マネージャは「Aさん、いつもよりお酒/たばこの量が増えているみたいだけど、何かあった?」「いつも8時20分には出社していたのに、少し遅くなった気がするよ。ちゃんと寝ている?」といった具体的な「声掛け」をして、メンバーが自分のストレスに気付けるようにサポートしましょう。

(3)橋を架け

 メンバーの話を聞くことはとても大切ですが、マネージャ1人でメンバーの問題を抱え込むことは危険です。

 相手の問題に合った相談先を一緒に探し、メンバーが問題の解決や改善に一歩踏み出せるようにするまでが、マネージャの役割です。適切な人に、橋を架けましょう。

 また、相談先を見つけたからといって放っておかず、しばらくしてからメンバー自身にその後の様子を聞くことも大切です。

長期化するストレスへの対処法を身に付けよう

 今回の震災は、地震だけでなく放射能という目に見えない脅威、さらに停電計画など、さまざまな不確定要素があります。そのため、企業活動や生活の見通しが立ちにくく、不安が継続してしまうという特徴があります。

 長期化する不安は、知らず知らずにチーム全体の心身を疲弊させます。今すぐ始められるちょっとしたコツで、長期化するストレスに対する自衛を行いましょう。マネージャの方は、ミーティングやちょっとした雑談で、これらのポイントをメンバーに伝えてみてください。

・リラックスのためのTips

  • スケジュールを詰めこみすぎない(マネージャは詰めこませないようにサポート)

  • 1人にならない、不安な気持ちは言葉にして話す 

  • いつもより長めにお風呂につかる

  • 寝る前は静かな音楽を聞く、ゆっくりした呼吸法を試す、寝る直前のTVニュースは心地よい睡眠を妨げるため、避ける

  • 栄養があり、消化しやすい食事を心掛ける

  • お酒を飲みすぎない

  • できる範囲で好きなことをする

・不安から気持ちを切り替えるためのTips

  • 怖い体験がよみがえってしまう→場所や行動を変える(部屋を移動する、歯磨きやうがいをする、明かりをつける、身体を動かす、人と話す)

  • 自分を責めてしまう→場所や行動を変え、冷静になって考え直す

  • いらいらしてしまう→不安や緊張の表れ。周囲に影響しそうな場合は、気分転換のために上記のような行動をする。ばく然とした感情についても親しい人に話をしてみる

・仕事や生活のペースを整えるためのTips

  • 慣れた仕事から始めて、ペースを取り戻す

  • 自分は、自分が考えている以上に疲れているということを自覚する

  • 無力感から、生活に大きな変化を起こしたくなる衝動が起きることがままあるが、その衝動には従わない(生活リズムを安定させ、冷静な判断ができるように心身の健康を整える方が先決)
4〜5月は、メンタル不調を招きやすいタイミング  

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