第9回 「自分なりのポリシー」が素晴らしい仕事を生む
樋口研究室
樋口節夫
2010/6/24
■ 「熱心で積極的」な姿
セミナー当日、Aさんは会場に現れた。それも、セミナーが始まる1時間も前に、である。どうしてこんなに早く来たのか尋ねると、「遅れるよりは早い方がいいだろう」とAさんは素直に答えた。
Aさんは教室の最前列、真ん中の席に座った。すごい積極性だ。理由を尋ねると、「話を聞くなら、一番聞きやすい席がいいだろう」とのことだった。
ところがセミナー終了後、アンケートを見ると、何も書かれていなかった。あんなに積極的だったのに……と、筆者は落ち込んでしまった。
だが、セミナーの翌日、Aさんからメールが届いていることに気が付いた。前日の深夜に送られたメールだった。
丁寧な時候のあいさつで始まるそのメールには、セミナーの感想がびっしりと書かれていた。メールの最後には、クーポン券をもらったことに対する、素直な感謝の気持ちが書かれていた。
■ 自分なりのポリシー
実際にAさんと接して、筆者はAさんがどのような人物なのか、少し理解できたように感じた。
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「Aさんは自分なりのポリシーを持っていて、それに忠実に行動しているだけではないか」
素直で、前向きで、熱心。それが時には問題に見える行動になり、そして時には素晴らしい仕事につながっていたのだ。
筆者は、自分なりのポリシーを持つAさんの考え方は貴重だと感じ、そのことをPMに伝えた。するとPMも思い当たる節があるのか、こんなことを教えてくれた。
「そういえば、Aさんの机の上は、資料や備品がきちんと整理整頓されている。ディスプレイには大事なコマンドやキーワードが書かれた付箋が数多く貼られているし、ビジネスメールは丁寧な時候のあいさつで始まっている。確かに、自分のポリシーに従って行動しているだけなのかもしれない」
PMはその後、メンバーに対して「Aさんを見習うようにしろ」と話すようになったという。もちろん、見習うようにいったのは、個々の行動ではなく、「自分なりのポリシーを持つこと」である。
■ 上手なポリシーの立て方は?
何事も、まずは自分のポリシーを決めてから行動しよう。ポリシーがない状態で行動するのは、地図を持たずに山道を探索するのと同じことだ。
ポリシーなんて考えたことがない、という人も多いだろう。その場合は、「ナチュラルアクション(自然な行動)ビュー」を使うと、自分なりのポリシーが見つかるかもしれない。
図 ナチュラルアクション(自然な行動)ビュー |
1. 自然に「浮かぶ」ビュー
自分の頭の中に、いつも浮かんでくる発想や行動はないか、調べてみる。
2. 自然に「増える」ビュー
自分の発言や行動の中に、何度も繰り返して数が多くなっているものはないか、調べてみる。
3. 自然に「偏る」ビュー
自分の持ち物や道具の中に、決まった色や形、性質、操作などに偏っているものはないか、調べてみる。
上記のビューで見えるのは自分の「強み」だ。強みを活用したポリシーは成功しやすいので、自分なりのポリシーを立てる際に参考にしてほしい。
なお、ポリシーは景気やトレンド、社会情勢の変化に合わせて見直しをした方がよい。かたくなに同一のポリシーに固執していると、変化を見逃してしまうし、陳腐化するからだ。
筆者プロフィール |
飯田佳子●樋口研究室の認定ITコーチ。仕事と生活のバランスが取れて初めて、人間の品質もアップする。これを基本方針に、常に効果的なビューチェンジの方法を考えている。 |
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