いまITエンジニアに人気のスキルとは?
加山恵美
2006/12/23
■現在の保有スキルと今後身に付けたいスキル
次に、保有しているスキルと今後身に付けたいスキルを見てみよう。保有スキルで最も回答数の多かったのが「Windowsシステム管理」の46.8%。続いて「Web系開発」「データベース構築/管理」となっている(図5)。今後身に付けたいスキルとしては「セキュリティ構築/管理」「ネットワーク構築/管理」「XML/Webサービス」などが挙げられた。
図5 テクニカルスキル保有状況(クリックで拡大します) |
■国家/公的資格の取得意向
今度は資格の取得状況と、今後取得を目指す資格を見ていこう。
まずは国家/公的資格だ。取得済み資格で最も多いのが、ITエンジニア向けの情報処理技術者試験の中で最も初歩の「基本情報処理技術者」(43.2%)である(図6)。今後取得を目指す資格はかなりばらつくが、上位から3つ挙げると「テクニカルエンジニア(ネットワーク)」「テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)」「テクニカルエンジニア(データベース)」と、テクニカルエンジニアが並ぶ。難関の国家資格であり、取得すればITエンジニアとして意義は大きいと考えられているのだろう。
図6 資格取得状況:国家/公的資格(クリックで拡大します) |
■ベンダニュートラル資格の取得意向
ベンダニュートラル資格は公的資格ではないが、特定の製品に依存しない技術スキルの指標となる。汎用的な基礎技術の証明として近年人気が高まっている資格が多い。
取得済み資格では「XMLマスター:ベーシック」(V1とV2の合計)が6.8%、「.com Master」が6.4%でほぼ並んでいる(図7)。両試験とも試験開始から数年が過ぎ、確実に定着が進んでいるようだ。
今後取得を目指す資格では、「LPIC(Linuxプロフェッショナル認定)」(15.8%)、「UMLモデリング技能認定」(11.6%)、「PMI PMP(Project Management Professional)」(10.5%)がトップ3となる。「XMLマスター:プロフェッショナル」はV1が5.9%、2005年6月から開始されたV2が6.7%となり、これらの動向も見逃せない。
図7 資格取得状況:ベンダニュートラル資格(クリックで拡大します) |
■ベンダ資格の取得意向
特定製品の技術スキルを証明するベンダ資格は、試験内容も実践的であり、業務内容と一致すれば最も確実に技術をアピールできる。
取得済み資格で最も多いのが「MCP」で13.5%となる(図8)。続いて「ORACLE MASTER Silver」が9.4%、「SJC-P」が9.1%。どれもベンダ資格の中で代表的なものだ。
今後取得を目指す資格では、上位の試験が多く回答されている。トップは「ORACLE MASTER Silver」(13.3%)で、次点が「CCNA」(12.0%)だ。
全体的に見ると、「取得を目指す」が「取得済み」を超えている資格はオラクルとシスコで目立っている。オラクルやシスコの資格は受験者の取得意欲が高く、今後も取得者が増加しそうだ。
図8 資格取得状況:ベンダ資格(クリックで拡大します) |
続いて「最も実務で生かせたベンダ資格」も見てみよう。トップは「ORACLE MASTER Gold」の8.9%で、ほかのORACLE MASTERも比較的割合が高い(図9)。図8と見比べると、それぞれのベンダ資格の中で最も回答数の多い「取得済み」よりも上級の資格で「実務で生かせた」との回答が5%以上あるのはORACLE MASTER Goldと「MCSE」だ。これらは「取得して効果があった上級の資格」とITエンジニアから評価されていると考えていいだろう。
図9 最も実務で生かせたベンダ資格(クリックで拡大します) |
■ビジネス系資格と英語(TOEIC)
最後に技術以外の資格も見てみよう。ビジネス系資格で目立つのは「簿記検定(2級以上)」だ。「取得済み」は5.4%とトップであり、「取得を目指す」は13.7%で2位だ。今後取得を目指す資格のトップは「中小企業診断士」(15.5%)で、3位は「フィナンシャルプランナー」(9.9%)。
次に英語だ。仕事やキャリアに英語が「必要だと思う」「やや必要だと思う」と回答した人の合計は76.6%であり、4分の3以上が必要性を感じている。だが日常会話レベル以上で英語が「使える」と回答したのは23.5%で、全体の4分の1に満たない。つまりITエンジニアの4人に3人は「必要」と考えているが、「私は英語が使える」と答えられるのは1人だ。
英語力の指標の1つとなるTOEICを「受験したことがある」人は40.6%と、必要性の意識と比べて多くはない。ITエンジニアは英語力に関してはあまり積極的でないようだ。また受験経験者に点数を聞くと600点未満が53.0%となり、成績の良い人が多いとはいい難い。「ITエンジニアは英語があまり得意ではない」というイメージは漠然とあるが、今回の結果はそれを裏付けるともいえそうだ。
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