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iPhoneで就活を乗り切る

iPhoneを制する者は、就活を制す


第3回 自己PR進化論――iPhoneを駆使して自己PRを磨く


松村太郎
2010/12/14


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iPhoneと紙とペンだけでできる、自己PRの作り方

 この時点では、Evernoteに集めた情報の断片は、自己PRをアウトプットするための材料でしかありません。そこで、これらの断片から1つのストーリーへとまとめる作業が必要になります。すべてをiPhoneやパソコンから行うのではなく、ここは白い紙と書きやすいペンを用意して、考えていることを一度書いてみるという方法はどうでしょう。

 プライベートライティングは、できるだけ早く頭の中にある言葉を紙に書き出し、書き出したものを基にしてアイデアをまとめる手法です。文体を考えながら書いたり、パソコンの操作に煩わされながらでは、すんなりと思考できません。そこで、紙にペンを滑らせる方法を取ろうというのが、プライベートライティングの考え方です。誰に見せるわけでもないので、汚い字でも間違った言葉遣いでも構いません。「とにかく書き出す」。ポイントはここです。

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 そしてそのメモを基に、今度は自分をPRするためのストーリーを構成する要素を、個条書きで書き出します。ここからはEvernote上に戻って、個条書きを完成させます。次は、個条書きの項目を文章化していきます。これは「アウトライン編集」という方法で、ワープロソフトのMicrosoft WordやApple iWorkに入っているPagesにも搭載されている機能です。

 このように「Evernote」と「紙とペン」の行き来を通じて、集めた情報や言葉・思考の断片を1つの自己PRの文章として作り上げるのです。もし、何も頭に浮かばずに困っていても、必ず材料となる情報や経験に触れているはずです。Evernoteとプライベートライティング、そしてアウトライン編集を組み合わせることで、自分にとってのアウトプットのプラットフォームを得ましょう。これはエントリーシートや自己PRだけでなく、企画やレポートなどにも利用できる方法といえます。

エントリーシートは日々調整する!

 Evernoteをアウトプットのプラットフォームとして活用する就職活動生が、面接を終えると真っ先に見るのは何でしょう? それは、「自己PRの文章」だそうです。直前まで行われていた面接のフィードバックを、自己PRに反映させるためです。

 基本的な自己PRはそう変化するものではありませんが、面接を受ける企業に応じて、いい方や切り口を変える調整は必要です。あるいは、就職活動が進んでいく過程で新しく得た情報や、面接官とのやりとりの中で指摘されたこと、自分で得た気付きは、とても貴重な経験の情報になるので、忘れないうちにメモすることが重要です。

 これらのフィードバックをいかに次のエントリーシートや面接に反映させるか。このフィードバックができる学生は、就職活動を通じて成長していく学生である、といえるのではないでしょうか。

 面接を受けるたびに、企業ごとの面接用ノートをEvernoteに作っていきます。その企業に出したエントリーシートや面接のための準備原稿などを、1つのノートにまとめておきます。面接が終わったら、あらためてノートを見直し、面接で指摘されたポイントや自分での気付きをメモし、次の面接の材料にしていきましょう。

自己PRのコツは「ストーリー」にある。人に伝える方法を工夫しよう

 面接は、コミュニケーションの1つです。良好なコミュニケーションは、お互いの意思の疎通ができ、“相手に貢献する”ことから生まれます。

 この、“相手に貢献する”ということを掘り下げてみましょう。これはすなわち、「相手が知りたいことを的確に示しながら、自分の話を聞いてもらう」ことではないでしょうか。押しが弱いのは考えものですが、押しているだけでは相手になかなか伝わりません。

 自己PRの文章を作るときにアウトライン編集をした人ならお分かりだと思いますが、面接を通じて自分を「ストーリー」として理解してもらう方が分かりやすいでしょう。一生懸命話をしているけれど、相手が何をいっているか分からない、というのではあまり意味がありません。

 ここでも、準備や練習をしておくことが重要です。

 iPhoneには、ボイスレコーダー機能が搭載されています。そこで、自己アピールの時間を1分、3分、5分と決めて、それぞれの時間以内のスピーチを録音し、後で自分で聞き返してみます。すると、話を聞いていて理解できるかどうか、しゃべり方は早すぎないか、他人に分かりにくい言葉を使っていないか、ということを客観的にチェックできるのです。

 大学などで友人と一緒に行うとよいでしょう。録音しながら友人に向かって話し、一緒に録音を聞きながら振り返れば、他者の視点も含めてスピーチを改善できます。もし面接で「1分話してください」「5分で自己アピールをお願いします」といわれたときでも、説明不足にならずに充実したスピーチができるよう練習しておけば、自信がつくとともに臨機応変な対応ができるようになります。

 面接前日に、どうしても不安になって練習をしたくなった場合でも、iPhone 4同士であればWi-Fiネットワーク経由で通話料無料でテレビ電話ができる「FaceTime」機能を使えば友人と一緒に練習ができます。

まとめ――自分を見つめるきっかけとしてのiPhone

 iPhoneはスマートフォンというカテゴリに入るツールです。あくまで道具なので、自分がやりたいことを便利にしてくれる役割を果たしてくれるだけです。自分が「これをしたい」という意思がなければ、iPhoneを使っていても普通の携帯電話と同じ道具でしかありません。

 3回の連載を通じて、就職活動をいかに効率化し、充実させるかという視点でiPhoneの使い方をご紹介してきました。iPhoneは、アプリによってその機能性が進化し続けており、Evernoteのようなクラウドと連携するサービスによってさらに可能性が広がり続けています。何でもできるからこそ、どう使うかが重要になってきます。

 もともと、携帯電話やWebは、他者とつながる役割を果たしてくれるコミュニケーションツールでした。しかし、この連載では、いかに自分を見つめて、自分と対話し、それをアウトプットしていくか、という“自分に対するツール”としての活用を提案しています。

 これから、ここでは紹介しなかった画期的なサービスが次々に出てくることになるでしょうし、就職活動のスタイル自体が変化し始めるかもしれません。しかし、ご紹介してきた一連のiPhone就活術は、その変化をキャッチして対応できる基礎となっていくはずです。

 皆さんの充実した就職活動の助けになれば幸いです。もし質問などありましたら、お気軽にTwitter(@taromatsumura)に話し掛けてください。

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