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ぼくらの就活戦記

第1回 ソニー内定者「最後の最後で、やりたいことが見えた」


森健
2010/11/30


10人の学生がいれば、10通りの就職活動がある。内定を得た学生たちの「就活戦記」を読むことで、自らの就職活動に役立ててほしい。

※本連載は書籍『ぼくらの就活戦記』の著者である森健氏の許可を得て抜粋したものです。技術系職種で内定を得た学生のケースを紹介していきます。なお、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。

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■ はじめに

 就職市場は厳しい状況にある。直近の文科省と厚労省の調査では、2011年卒の大学生の就職内定率は57.6%とされる。2001年の「就職氷河期」を下回るひどさだ。

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 内定をとれる学生ととれない学生では何が違うのか。その線引きは明確にできるものではない。採用方針は各社それぞれ異なるうえ、採用担当者の着眼点も同じわけではない。もちろん学生も1人とて同じではない。受験勉強と異なり、AとBとCという条件を満たせば、希望する企業に入れるわけではない。足し算で答えが出る問題ではないのだ。

 とはいえ、何十人もの新人社員や内定学生に会う中で、複数の内定を獲得している学生には、その生き方や考え方、あるいは就活スタイルにどこか似た傾向を見い出すことができたのも確かだ。

 就職活動のヒントを学生自身に見い出してもらおうと、先ごろ15社40人の新人や内定学生に自身の就職活動を振り返ってもらったインタビュー集をまとめた。『ぼくらの就活戦記』(文春新書)である。

 同書では、40人のインタビューを載せると同時に、人事担当者のインタビューも併録した。採られる側と採る側の話を併せることで、学生がどんな活動をし、人事側が彼らのどういう面を評価したかが分かるようにしたつもりだ。

 本連載では、同書から技術系社員を3社から各1名、計3名抜粋して紹介したい。彼らの就活をまねすれば内定をとれるというものでもないが、個々の活動に照らして、ヒントになることは少なくないと思う。

 いま岐路に立つ人たちにとって、参考の一助となれば幸いである。

■ 今回の内定者:山澤涼子(仮名)

  • 私立大学大学院情報工学研究科卒
  • ソニー株式会社
  • ソフトウェア設計本部・パーソナルアプリケーション設計部門1部
  • 2009年入社

 高校時代はちょうどインターネットが広がりだした時期。わたしもすぐに興味をもち、大学で情報工学を専攻、そのまま大学院まで進みました。


ぼくらの就活戦記

森健(著)
文藝春秋
2010年10月
798円(税込み)

 専攻は無線ネットワークで、移動しながらでも無線LANを接続できるような研究をしていました。いままさにそうなってきていますが、今後ますますネットワークは広がっていく。それは研究で分かっていたので、就職を意識したときには、基本的な軸を2つ設定しました。ネットワークのインフラ面での事業か、ネットワークにつながる製品をつくり出せるメーカーです。ソニーはそのメーカー側の第1志望でした。

 説明会に行ったり、研究室の先輩にOB訪問に行ったりという活動は修士1年の12月からでした。説明会は20社ほどは参加したでしょうか。ただ、友人とは志望する業種、企業などが異なっていたこともあり、情報を共有することはほとんどありませんでした。

 OB訪問で尋ねていたのは、どんな仕事をしているか、仕事は楽しいか、就業環境はどうかといったことです。

 こうしてさまざまな会社の方に会ってみると、インフラとメーカーではずいぶん雰囲気に違いがありました。インフラのエンジニアの方は真面目な印象だったのですが、メーカーのエンジニアの方は楽しそうでした。中でも、ソニーの人が印象的でした。自分の仕事を、すごく生き生きと語っていたんです。

 「自分がつくった製品が世の中に出る。それを実際に使っている人を見るとうれしいし、やりがいを感じるんだよね」

 聞いていて、非常に納得できる意見でした。ただ、その時点ではまだどちらとははっきり決めきれず、インフラとメーカーの両にらみで進めることにしました。最終的なエントリー数は約15社でした。

筆者コメント:山澤さんは大学ではテニスサークルに所属。中高時代も厳しいテニス部で鍛えられた。サークルでは全体を見渡して、後輩がいいにくいことを吸い上げてキャプテンに伝えるなど、調整役としてキャプテンをサポートした。学生時代の活動の中心はこのサークルと研究だった。研究室では泊まりこむようなハードな日々もあったが、それだけに、就職活動では勤務時間など就業環境のことも大きな関心の1つだったという。
ソニーの面接で聞かれたことは?  

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筆者プロフィール
森 健(もり けん)

1968年1月、東京都生まれ。神奈川県相模原市で育つ。早稲田大学法学部卒業。在学中の1990年からライター活動をはじめ、科学雑誌、 経済誌、総合誌で専属記者を経て、フリーランスに。

Web: moriken.org
 



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