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ぼくらの就活戦記

第1回 ソニー内定者「最後の最後で、やりたいことが見えた」


森健
2010/11/30


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 職場の環境が明るく楽しいか、仕事とプライベートの両立ができるかどうか。これはわたしの中ではすごく重要で、OB訪問でも必ず聞いていました。仕事にメリハリがなく、残業が多いような会社には行きたくなかったからです。

 研究室での経験でも、あまりにきつい日々が続くとバランスが崩れていき、本来楽しいはずの研究が苦痛になってくる。するとモチベーションも落ちてくる。これは仕事でも同じだと思っていて、やはり充実したプライベートがあって、仕事も充実できると思っていたのです。

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 それでソニーの人にも尋ねたところ、無駄な残業もなく、社内もわいわいと活気があり、ディスカッションも多いとのこと。これは期待通りでホッとしました。

 ソニーの選考は3回でした。1次面接はこちらが1人に面接官2人で30分ほど。サークルのことなどを尋ねられ、自分の役割を語った覚えがあります。

 2次面接では研究の話がメインで、面接官は3人。ホワイトボードを使って説明をしました。学会で発表した経験も何回かあるので、さほど緊張はしなかったですし、面接官の方にも非常に乗って聞いていただけました。おそらく面接官の中にネットワークに関する部署の方がいたのだと思います。


ぼくらの就活戦記

森健(著)
文藝春秋
2010年10月
798円(税込み)

 最終の3次面接は、どのように勉強してきたかなど、自分自身の考え方や判断に関することを聞かれていたように思います。勉強法については、「何でもノートにとるのではなく、自分で精査して、ここは重要と思ったところだけノートにとるようにしていました」と説明したりしました。

 ひとつはっきり覚えているのは、「あなたは天才肌ですか? 努力肌ですか?」という質問。ちょっと答えに困る質問だったので、「中間です」と答えると、

 「あぁ、半分半分いいところをとるんだ」

と笑っていました。

 まもなくソニーで内々定をいただいたのですが、翌日には迷うことになりました。もう1つのインフラ系の会社からも内々定が出たからです。ここはインフラ系の軸での第1志望の会社でした。要するに、2つの軸のそれぞれ第1志望から内々定をもらえたのです。うれしい悩みではありますが、ここは本当に迷いました。

 しかし、ソニーで働くOBと会わせていただき、話しているうちに、自然と「インフラを支える仕事よりも、わたしはモノをつくりたいんだ」という結論が出ました。ソニーの先輩が語っていたように、日常生活において、自分がつくったモノを使っている人を見るのは絶対にうれしいだろうなと思ったんです。

 なぜそう思えたか。最後の最後で自分の背中を押したのは、「どっちの会社が好きか」ということでした。昔からMDウォークマンなどソニー製品は好きで使っていて、単純に「ソニーってかっこいい」という意識がどこかにあったと思います。正直なところ、ソニーはもともと好きな会社だったんです。そのシンプルな気持ちになかなか気付かなかった。

 つまりは、その段階までは明確に自分のしたいことが見えていなかったんだと思いますし、大学での研究に縛られていたのかなとも思います。

 就活を始めてからずっと悩んでいた軸でしたが、最終決断に至って、ようやくはっきり自分が楽しんで働けるのはソニーであると確信できました。遅い確信でしたが、はっきり認識できたことは、幸運だったと思います。

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筆者プロフィール
森 健(もり けん)

1968年1月、東京都生まれ。神奈川県相模原市で育つ。早稲田大学法学部卒業。在学中の1990年からライター活動をはじめ、科学雑誌、 経済誌、総合誌で専属記者を経て、フリーランスに。

Web: moriken.org
 



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