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第3回 「斜め上をいく発想」ができる学生求む! はてなのインターンは本格派


松岡瑛理(@IT自分戦略研究所)
2010/10/4


インターンシップを実施する企業や参加する学生が増えてきた。「インターンシップでは何ができる?」「どんなスキルを得られる?」――インターンシップを行うIT企業の取り組みを紹介しながら、学生が気になる疑問に答える。

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 「はてなブックマーク」や「はてなダイアリー」などのWebサービスでおなじみのはてな。毎年夏に京都本社で行う「はてなサマーインターン」は、Webサービスに対するはてなの本格志向がよく表れている。

 エンジニア志望者対象のインターンは、前半の講義と後半の実習に分かれており、参加者は20日間で「はてなのサービスの新機能をリリースする」一連の流れを経験する。インターン生といえど、学生は仕事に関して社員と何ら変わりのないクオリティを要求される。

 インターンには、京都本社に在籍する技術職のスタッフがほぼ総出でかかわるという。はてながここまでインターンに力を入れるのはなぜか。また、参加した学生は何を学び取っているのか。はてな執行役員CTOの田中慎司(id:stanaka)氏と、今夏のインターンに参加した大学院生、中村俊介(id:sunsuk7tp)氏の2人に話を聞いた。

「一歩踏み込んだ発想を持てる」人に来てほしい

――はてながインターンを開始した時期と、そのきっかけを教えてください。

はてな執行役員CTO<br>田中慎司氏
はてな執行役員CTO 田中慎司氏

田中: インターンを始めたのは2008年で、今年で3年目になります。2008年はちょうど、はてな本社オフィスが京都に移転した年でした。「採用活動を新たに気合いを入れてやっていきたい」ということで、学生にはてなを知ってもらう効果的な施策の1つとして、京都本社でインターンを実施することになりました。インターンは採用活動と直結していて、優秀な学生には「内定パス」を出します。内定パスを出した学生が「はてなに入りたい」といえば、新入社員として受け入れています。

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 定員は10人程度ですが、受け入れられる限りは受け入れていくスタンスです。2010年度に関していえば、参加者は全体で14人、うち関東からの参加者は6人でした。「関東方面に住んでいるから不利」ということは特にないですね。居住地に限らず、専攻も文系の学生など、いろいろな人に来てほしいと思っています。

 インターンに参加する段階では、Webサービスの知識が十分でなかったり、自分がその分野で通用するかどうかまだ分からない学生が多いと思います。実際、Webサービスでは編集者やデザイナーも含め、必要とする人材の幅が広い。その中でエンジニアとしてコードを書き、サービスリリースまで持っていく体験を通して、Webサービスにかかわる面白さを味わってもらえたら、と思っています。

――選考はどのように進めるのでしょうか。

田中:履歴書と志望動機を出していただき、それを基に進めます。

 選考に際し、はてなが学生に求める軸は2つです。1つ目は、Webサービスを作るうえでの技術的なノウハウ。プログラミング言語に触れたことがあるかどうか、Webサービスの基本的な仕組みを理解しているかどうか、というベースを確認します。2点目はサービス企画に関して、これまで面白いものを作ってきたり、自分で提案した経験があるかということ。2点を考慮して、総合的に合否を判断しています。

――基本的に、未経験者は難しいということですか。

田中:そうですね。プログラミング言語に触れたことも、Webサービスを作ったこともないという人は、そもそもついていくのが難しいかもしれません。

――経験者であることに加え、求めている能力はありますか。

田中:はてなという会社の基本的な姿勢にも通じることなんですけど、「斜め上をいく発想」ができる学生さんがいっぱい集まると、より面白いことができるかな、と考えています。サービス開発でも、システムを作るうえでも、いわれたことだけをやるのではなく、一歩踏み込んだ発想を持ち、かつそれを提案につなげられる人が欲しいと常々思っています。

求める開発スピードは「社員と変わらない」!

――インターンの詳しい内容を教えてください。

田中:第1回である2008年から、基本的には毎回期間を約20日に定めて「前半は講義、後半は実習」というプログラムを組んでいます。

 前半の講義では、データベースの扱い方やプログラミング言語など、Webサービスを作るための基本的な技術から、機械学習やデータ構造といった応用的な内容まで踏み込んで、カリキュラムを組んでいます。前半の10日間は、午前中は講義を行い、午後から講義に沿った課題に取り組んでもらいます。ちなみに、課題の成果物が設定水準より下回っていると、前半終了段階でお帰りいただくというハードルがあります。課題の再提出など、救済措置はいくつかあるのですが、なるべく前半で頑張ってもらい、全員の足並みをそろえるのが狙いです。

 後半の10日間では、はてなの各種サービスの機能追加のテーマに従って設計と実装を行い、実際にリリースする段階まで進めます。期間内に全員、リリースまで持っていくのが目標です。実際のサービスとして出す以上は一定のクオリティが必要なので、作業で求めるスピードは、社員と変わりません。普段、はてなではサービスをリリースする際に必ず、基本的な不具合やブラウザ間での互換性など、QA(品質保証)の指標を定めて、チェックを行います。インターンの場合も同様で、はてなとして一定の品質を担保しています。

 今年用意したのは「はてなブックマークのTwitter連携機能強化」「うごメモシアター検索」など6テーマでした。去年まではその場でブレストしてテーマを決めていたんですけど、リリースまで持っていくのが難しいものが少なくありませんでした。今年は人数が多かったこともあり、事前に各サービスのディレクターがテーマを絞りました。グループ分けは参加者の希望を聞き、2〜3人の定員枠に合わせて、向き・不向きも考慮しつつ調整しました。半分以上は自分の希望するグループに入り、結果的に6つのテーマもすべてリリースまで持っていけました。

はてなは、「良い意味でほかとは違っていた」

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