Tech総研
2009/2/12
世界を襲った金融危機。Tech総研の調査によると、2008年冬のボーナスについて、4人に1人が「2007年より減った」と回答したという。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載) |
全体平均69万円。 26%が「2007年冬より減った」と回答 |
景気後退のグローバル規模でのスピードとその影響範囲は予想した以上。とりわけ製造業の生産・設備調整、人員調整は深刻度を増している。こうした不況の影が、冬のボーナスにどのように反映しているかが関心のあるところだ。
エンジニアの実感値をベースに聞く、Tech総研恒例のボーナス調査。今回は25〜39歳のエンジニア1000人が対象だ。2008年冬のボーナスの金額は、全体平均が69万円(税込み)という数字になった。2007年冬のボーナスと比べると、26%が「減った」と回答。「変わらない」が74%である。
図1 2007年冬のボーナス額と比べて「減った? 増えた?」 |
日本経団連の調査によれば、大手企業の2008年冬ボーナスの交渉の妥結額は88万9064円で、2007年冬と比べ0.36%減となり、6年ぶりの前年割れということだ。しかしTech総研の「ボーナスをもらう側」にフォーカスした調査では、全体額こそ低いものの、前年比マイナスには至っていない。とはいえ、2006年冬に行った同様の調査では全体平均が80万円だったから、それに比べると大幅なダウン傾向は明らかだ。
職種名 |
20代後半 (25〜29歳) |
30代前半 (30〜34歳) |
30代後半 (35〜39歳) |
|
IT系 | 研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理 | 50万円 |
77万円 |
92万円 |
システム開発(マイコン・ファームウェア・制御系) | 56万円 |
86万円 |
73万円 |
|
通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系) | 56万円 |
65万円 |
84万円 |
|
社内SE | 60万円 |
54万円 |
82万円 |
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システム開発(Web・オープン系) | 50万円 |
63万円 |
78万円 |
|
ネットワーク設計・構築(LAN・Web系) | 44万円 |
60万円 |
76万円 |
|
コンサルタント、アナリスト、プリセールス | 53万円 |
61万円 |
76万円 |
|
パッケージソフト・ミドルウェア開発 | 52万円 |
61万円 |
68万円 |
|
運用、監視、テクニカルサポート、保守 | 52万円 |
58万円 |
74万円 |
|
システム開発(汎用機系) | 52万円 |
53万円 |
64万円 |
|
IT系 平均 |
52万円 |
63万円 |
77万円 |
|
モノづくり系 | 研究、特許、テクニカルマーケティング | 65万円 |
82万円 |
87万円 |
回路・システム設計 | 62万円 |
75万円 |
84万円 |
|
半導体設計 | 63万円 |
65万円 |
106万円 |
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制御設計 | - |
78万円 |
74万円 |
|
生産技術、プロセス開発 | 57万円 |
77万円 |
79万円 |
|
セールスエンジニア、FAE | 53万円 |
64万円 |
94万円 |
|
機械・機構設計、金型設計 | 54万円 |
74万円 |
71万円 |
|
光学技術 | 70万円 |
56万円 |
80万円 |
|
サービスエンジニア | 36万円 |
63万円 |
60万円 |
|
品質管理、製品評価、品質保証、生産管理 | 49万円 |
65万円 |
60万円 |
|
モノづくり系 平均 |
57万円 |
72万円 |
75万円 |
影響は深刻。 たとえ今期は維持しても、来期は厳しそう |
不況の影響はボーナスに反映されていないのか。このあたりについて今回は特に「現在の不況でご自身の給与・賞与に影響があったことがあれば、ぜひ聞かせてください」という設問で聞いている。そこで分かったのは、不況の影がひしひしと押し寄せる厳しい現実だった。
図2 給与や賞与に不況の影響を感じる? |
「特に影響ない」という声も3割程度あったが、多くは「会社の業績が急速に悪化」「ふだんの残業時間が減った」「給与とボーナスが減額された」という声。たとえ今期のボーナスに影響がなくても、来期の予想は厳しく、皆不安を募らせている。
給与やボーナスが減っているという声から、いくつかを紹介しよう。
ナマゴエ! ■不況に強いといわれていた業種なのに、今回は全体的にボーナスをカットされた(Web・オープン系SE/31歳) ■会社の業績が落ちてきているのでボーナスの業績連動部分が低くなっている(Web・オープン系SE/34歳) ■会社が金融商品の運用に失敗したため、業績にかなり影響。それがボーナスにも反映されている(Web・オープン系SE/34歳) ■金融系のシステム開発を行っているが、昨今の金融不安により銀行から支払われるお金が減っている。これが、売り上げの減少→賞与の減少につながった(汎用機系SE/36歳) ■残業時間が大幅に減少している。9月までは平均60時間。10月、11月は平均40時間、12月に入ると20時間のペース。このため、給与は減っている(機械・機構設計/36歳) ■年間協定なのでボーナスは今冬に関しては影響がないが、給与は残業完全禁止なので影響が大きい(制御設計/36歳) ■(冬のボーナスが)3.05カ月の予定だったのが、2.8カ月になってしまった(機械・機構設計/28歳) ■(ボーナスが前年比)20%ダウン(サービスエンジニア/39歳) |
ボーナスは会社の業績を反映する部分が大きいため、会社の業績が上がらないからという理由で減額されれば、文句のいいようがない。しかし、中には企業経営者の後ろ向きなマインドで減額されたケースもあるようだ。なにより、不況とボーナス減が消費意欲を冷え込ませていることは問題だ。消費減退→企業の売上悪化→さらなる業績低迷という悪循環につながるからだ。
ナマゴエ! ■会社の業績は悪くはないが、将来に備えて内部留保に回したためボーナスの支給額が減らされた(運用・監視/39歳) ■会社全体は不況の影響を受けていないが、世間が不況という理由で全体的に渋っている(ネットワーク設計・構築/34歳) ■景気が良くても給与・賞与はまったく上がらないが、不景気になれば給与・賞与は下がってしまう。ここ15年くらい春闘でもベースアップの要求すらしていない(ネットワーク設計・構築/39歳) ■給与は変わらないので安心だが、賞与でテレビを買いたいと思っていたけど、結局やめました(機械・機構設計/27歳) |
ちなみにTech総研は同時期に、エンジニア1万人を対象にした意識調査で不況の影響について聞いている。それによれば「かなり不況の影響を感じている」が36%、「やや不況の影響を感じる」が39%で、全体の3分の2の人が、なんらかの形で不況の影響を感じている。
ボーナスの金額、自分の仕事内容と見合っている? |
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