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「SEサバイバル論」インデックス


第4回 分業意識を捨てよ、ネットワーク技術を知るSEは強い

エンジニアtype
2012/1/12

近年、ユーザー企業の「自社サービスの内製化」や「システムのクラウド化」などに伴い、SIerへの要求レベルが高まってきている。ここ2年で4000億円の減益といわれるSI業界の中で生き残っていくためには、どんなエンジニアスキルを磨いていけばいいのか。

第3回

※本記事は、「エンジニアtype」のコンテンツを一部@IT表記に統一した上で、許可を受けて転載するものです。

 第2回、第3回で取り上げた2社のように、理想的なSIerとの付き合い方を実践している企業は、全体としてはまだまだ少ないかもしれない。しかし、実践している・いないにかかわらず、SIerに求められるものは明らかに変わりつつある。

■ 「ネットワークとシステムは別物」という分業開発の考えを捨てる

リアルゲート
代表取締役 社長
平沼健

2005年、ネットワークエンジニア派遣とMicrosoft社認定のITトレーニングを行うリアルゲートを起業

 今なお分業体制のSIerが多い中、そこで働くエンジニアたちはどのようにクライアントのニーズに応えていけばいいのだろうか。以前、エンジニアtypeのインタビューでネットワークインフラとシステム開発どちらにも対応できる「2 in 1エンジニア」を提唱していたリアルゲートの代表取締役社長・平沼健氏は、このように語っている。

 「わたしがまずお伝えしたいのは、『ネットワークとシステムは別物で、自分と関係のない部分には関わらない』という従来の分業開発という考え方を捨てる、ということです」

 現場のエンジニアたち自身、自分の技術領域外に関するトラブルに対応できないことへのもどかしさは感じている。しかし、そのトラブルを自分が対応すべき問題としてとらえられるエンジニアは、まだ多いとは言えないという。

 「固定概念を捨てることができれば、次にエンジニアに必要なのは、システム構造の理解です。アプリケーション開発においては、コーディングすればページが構築されるという2Dの世界だったものが、ネットワークの世界では3D構造に変化します。DB・ルータ・スイッチ・サーバなどさまざまな要素で構成されるネットワークの構造を理解することは、基礎的な部分だからこそ非常に重要なポイントなのです」

 続けて、平沼氏は今後のSEが注目すべきネットワーク技術のキーワードとして、「スマートフォン・タブレット型PC」を挙げた。

 「業務系エンジニアにとって、これから身に付けておくべきネットワーク知識に『無線通信』『IPv6』があります。それらを学ぶためにも、スマホやタブレット型PCが一役買ってくれるのです」

そもそも、スマホを使ったネット接続が可能なのは、Wi-FiやLTEといった公共高速無線技術の進歩があってのこと。

 「スマホ上でも、Webブラウザはファーストインターフェイスとしての役割を担ってはいますが、その裏にあるネットワーク通信なしでは成立しませんからね。そして、今後スマホ向けWebサイトが続々と誕生する上で欠かせないのが、IPv6の普及です。この2つの技術を業務系エンジニアが理解していることで、『スマホでインターネットが見られる』ことの全体的な仕組み理解につながり、ひいては自分の技術領域を超えた問題を解決するための第一歩となるでしょう」

 とはいえ、アプリ・システム開発側にいるSEが一からインフラのすべてを学ぶのは少し時間がかかってしまうと話す平沼氏。そのため、今の業界トレンドや技術トレンドを見極め、どの知識を身につけるべきか取捨選択をすることを奨めている。

■業務系SEがネットワーク技術を学ぶ3つの方法

 これら平沼氏のアドバイスを踏まえた上で、SEが今後のために取るべきアクションを、以下の3つにまとめてみた。

1. 外部勉強会への参加

 「固定概念を取っ払うということは、自分だけの考えを捨て、より多くの人の意見や情報を収集することにも似ています。クラウド関連技術のコミュニティを筆頭に、自分が学びたい・学ぶべき技術に関するコミュニティに参加すれば、技術の勉強と他者との情報交換を同時に実現することができるでしょう」

2. 外部講習会やセミナーへの申し込み

 「技術者育成講習を行う企業のセミナーに参加し、教育のプロから自身の領域外の知識を身に付けてみてください。多少費用はかかりますが、確実にスキルアップを目指したい方にはお勧めです」

3. ネットワーク技術教育が充実したSIerやNIerに転職

 「普段の業務でネットワーク分野にかかわりたいという方がいたら、次の2つの選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。1つは、社員教育の一環として業務系エンジニアにネットワーク技術を教育・指導しているSIerへの転職。もう1つは、ネットワーク構築会社(NIer)への転職です。後者のようなクロス転職は、IT業界でも1つのトレンドとなっています。先にお伝えしたように、世の中的にネットワーク・業務システムを共に対応できるマルチエンジニアは、まだほとんどいません。そのため、異分野の技術領域を学びたいというマインドを持ったエンジニアを積極的に採用しているようです」

◆◇◆

 ユーザー系企業の求める「脱分業型SIer」は、業界を見渡してもいまだにマイノリティである。とはいえ、SIer全体の収益が大幅に落ち込みを見せる中、確実に企業の「技術領域の脱・分業」は進んでいく。

 その波に乗り遅れないためにも、アプリやシステム開発エンジニアが、今後のキャリア形成のために今からネットワーク技術の習得に動き始めるのは1つの選択肢かもしれない。

■関連リンク(エンジニアtype)

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