第3回 有名人と知り合えば、人脈は広がるのか?
徳力基彦
2008/6/13
「いろいろなイベントやセミナーに参加しているけれど、全然ネットワークが広がらない」という方が意外と多いようです。イベントへの参加は人脈構築だけが目的ではありませんが、ネットワークができるに越したことはありません。筆者の失敗事例から考えてみましょう。 |
「ブログを書いている人向けお勧めイベント」という記事で、実際にイベントやセミナーに参加して、ほかの人と知り合うことをお勧めしました。しかし、「いろいろなイベントやセミナーに参加しているけれど、全然ネットワークが広がらない」という方が意外と多いようです。
そこで、筆者がブログを書くようになってから実践してきたネットワークの広げ方を2回に渡って解説してみたいと思います。今回は、どういった姿勢でイベントやセミナーに参加しているとネットワークが広がらないのか、筆者がブログを書く前の失敗事例から考えてみましょう。
■あなたのネットワークが広がらない3つの理由
- 参加するイベントが大規模なものばかり
- 目的は有名人と知り合うことだけ
- 名刺交換では自分のアピールに終始する
■参加するイベントが大規模なものばかり
誰もが注目するようなテーマのセミナーでは、200〜300人規模という定員も珍しくありません。当然、大規模なイベントには多くの人が参加していますから、ネットワークが広がる可能性も高いと思いがちです。
しかし残念ながら、ネットワークを広げる目的であれば、大規模なイベントはあまり役に立ちません。人数が多いほど、ほかの人があなたと話したいと思う確率は低くなります。よほどの有名人であれば話は別ですが、向こうから話しかけてきてくれることはほとんどないでしょう。ときには、自分が参加しているイベントの種類を振り返ってみることが重要です。
■目的は有名人と知り合うことだけ
ネットワークを広げるというと、このパターンをイメージする人が多いかもしれません。筆者も実はこのパターンでした。
もちろん有名な講師のセミナーでは、講師と名刺を交換できる機会を利用して、名刺交換させてもらうべきです。ただし参加人数が多いと、懇親会では講師の前に名刺交換の長い行列ができます。ようやく講師と名刺交換ができても、それで満足してしまい、ほかの人とは話もせずに帰ってきてしまう、という人が多いのではないでしょうか。
長い時間、行列に並んで講師と名刺を交換したとしても、講師と会話をする時間はほとんどないはずです。講師は、あなたを含めて多くの人と名刺交換をしています。そんな状態で、あなたのことをどれだけ覚えていてくれるでしょうか。有名な人との名刺交換に、時間をかけて並ぶ程の価値があるのでしょうか。自分が“名刺コレクター”になっていないか、振り返ってみるといいでしょう。
■名刺交換では自分のアピールに終始する
名刺交換のテクニックというと、名刺交換の瞬間に相手にいかにインパクトを与えられるか、ということが昔からよくいわれます。当然、自分に興味を持ってもらうためには、相手に知ってもらわなければなりません。
しかし、逆の立場で考えてみましょう。名刺交換の直後から、とうとうと自分の仕事や製品の説明ばかりをし始めたら、あなたは本当に楽しいでしょうか?
インターネットが普及するまでは、名刺交換をしたあとの連絡手段は電話か郵便ぐらいしかなかったので、名刺交換をした瞬間の印象は非常に重要でした。しかし、今ならメールやブログで、名刺交換の後からでも自分のことを知ってもらうことが可能です。名刺交換で自己アピールに終始する必要はほとんどないのではないでしょうか。
今回は筆者の失敗事例を紹介しました。「自分ならもっと上手くやれる」という方がいるかもしれませんが、筆者と同じようなやり方で上手くいっていない方に参考にしてもらえると幸いです。
次回は、出会いを無駄にしないために筆者が心がけている人脈構築のポイントを紹介します。
この記事は、ITmedia Biz.IDに掲載された連載「デジタルワークスタイルの視点」を再編集して掲載しています |
筆者プロフィール |
徳力基彦(とくりきもとひこ)●NTT、ITコンサルを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。情報共有ソフトウェアの企画や、コンサルティング業務に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)設立時からブロガーの1人として運営に参画する。2007年7月にAMNの取締役に就任。最新のネットツールや仕事術に関する複数の執筆・講演活動も行っている。個人でも「ワークスタイル・メモ」や「tokuriki.com」など、複数のブログを運営するなど幅広い活動を行う。著書に「デジタル・ワークスタイル」「アルファブロガー」などがある。 |
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