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第4回 1000人との名刺交換より、気の合う仲間を10人探そう

徳力基彦
2008/7/11

セミナーやイベントでの出会いは、自分の人脈に結び付けたいもの。しかし、どんなことに気を付ければよいのでしょうか。前回の失敗事例を踏まえ、出会いを無駄にしないための3つのポイントについて解説します。

 前回、「有名人と知り合えば、人脈は広がるのか?」という記事で、筆者の失敗事例をもとに、イベントやセミナーに参加しているのにネットワークが広がらない理由を考えてみました。

 今回は、筆者がイベントに参加するようになってから気付き、心がけている人脈構築の3つのポイントをご紹介します。

イベントでの出会いを無駄にしない人脈構築の3つのポイント

  • 講師や参加者との交流がありそうなイベントに行く
  • 有名人以外の面白そうな人とも名刺交換をする
  • 名刺交換の際には相手の話を中心に聞く

講師や参加者との交流がありそうなイベントに行く

 ヒューマンネットワークの拡大が目的であれば、重要なのは参加するイベントの規模ではなく、参加者の目的です。

 ネットワークを広げるという視点で見ると、参加者の多いイベントほど出会いの機会が多いように思えます。しかし、それは大きな間違いです。知らない人が多ければ多いほど、会話をするのが面倒になってしまうもの。大規模なイベントに参加しても、ほとんど誰とも名刺交換をせずに帰るはめになるのはよくある話です。

 仮に多くの人と名刺交換ができたとしても、それぞれの人と話す時間は少ないはずです。お互いの印象もほとんど残らないでしょう。そもそも大規模なイベントやセミナーでは、基調講演やメインの出し物が目当てになりがちで、ほかの参加者との交流を目的にしていないケースが多いのです。

 一方、小規模のイベントや勉強会はもともと、参加者の親睦や交流を目的としていることが多いのです。これならば、参加者全員と名刺交換をして、顔と名前が一致した状態で帰れる可能性が上がります。ただし、イベントが仮に小規模でも、自分と同じような目的をもって参加している人が多いイベントかどうかを見極めることが重要です。

有名人以外の面白そうな人とも名刺交換をする

 イベントやセミナーで名刺交換をする相手を探すときは、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか。それは、講師やゲストなど、有名人との名刺交換だけを目的にするのではなく、それ以外の人とも積極的に名刺交換をしてみることです。

 前回の記事でも書いたように、有名人というのは多くの人が知り合いになりたいと思っています。そのため、会話をする時間は多くの参加者との取り合いになります。自分を記憶にとどめてもらうのは至難の業。ここは発想を転換して、有名人の周りにいる、面白そうな人と会話をしてみましょう。参加者の中にも同じような境遇の人や、同じような考えを持っている人がたくさんいるはずです。

 彼らは個人個人としては無名かもしれませんが、あなたと同じようにネットワークを広げたり、面白いことをしてみたいと思っている人のはず。実は同じような立場の人のほうが、すでに有名になっている講師の人たちよりも、はるかにあなたと濃い関係になる可能性があります。

 大規模な講演をするような有名人は、すでに広いネットワークを持っているわけで、あなたはその中の何十分の1、何百分の1になれるかどうかに過ぎません。でもその周りにいる、まだ無名な人たちにとって、新しい出会いは貴重なのです。

 これから一緒に交流したり、何かに取り組んでいくことによって、数年後に一緒に何かを成し遂げる「同志」になれるかもしれません。そういう意味でも、自分のことを覚えてくれるかどうか分からない有名人と名刺交換をするより、自分のことを覚えてくれるであろう無名の人と名刺交換をすることが、人脈作りには有効でしょう。

名刺交換の際には相手の話を中心に聞く

 名刺交換をするときに注意したいのは、自分のアピールではなく、相手の話を聞くことです。もちろん、あなたが相手を飽きさせずに満足させる話術の持ち主なのであれば、遠慮なく自己アピールに走ってもらって結構です。しかし、いきなり初対面の相手に自分の話をし続けても飽きられるだけ。まずは、相手の話をしっかり聞きましょう。

 相手がどんな人か分かってくれば、自分の仕事に対する相手の知識レベルや、お互いの共通の話題が見えてくるはずです。自己紹介はそれからでも遅くありません。

 また、以前に「名刺交換を無駄にしないための3つのポイント」という記事でご紹介したように、現代には電子メールという便利なツールがあります。最悪、名刺交換をした際に自己紹介をほとんどしなかったとしても、後から電子メールでいくらでもフォローが可能です。

 名刺交換の際には、無理に自己アピールをしないと決めてしまいましょう。そうすれば、相手が話し続けて自分がまったく話せなかったとしても、イライラすることがなくなります。相手との会話を、のんびりと楽しんでください。


 ヒューマンネットワークの構築というと、大量の名刺を集めることをイメージする人が多いかもしれません。しかし、2度と会わないであろう1000人と名刺交換をするよりも、本当に気の合う仲間を10人見つける方が、はるかに価値があります。

 ネットワークというものは、出会った直後に活用するのではなく、忘れたころに自分を助けてくれるものです。無理に焦らず、自分に合わせたヒューマンネットワークの構築術を探してみてください。

この記事は、ITmedia Biz.IDに掲載された連載「デジタルワークスタイルの視点」を再編集して掲載しています

筆者プロフィール
徳力基彦(とくりきもとひこ)●NTT、ITコンサルを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。情報共有ソフトウェアの企画や、コンサルティング業務に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク(AMN)設立時からブロガーの1人として運営に参画する。2007年7月にAMNの取締役に就任。最新のネットツールや仕事術に関する複数の執筆・講演活動も行っている。個人でも「ワークスタイル・メモ」や「tokuriki.com」など、複数のブログを運営するなど幅広い活動を行う。著書に「デジタル・ワークスタイル」「アルファブロガー」などがある。


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