第7回 あなたはメーカー派、それともソフト派?
淺井麻里(パソナキャリア)
2007/12/20
したいことをするため、条件のいい仕事に就くためなど、さまざまな理由で人は転職する。組み込み業界とて例外ではない。組み込み業界の転職活動の喜怒哀楽を、キャリアコンサルタントがこっそり教えよう。 |
■製品開発から携われるメーカーでのエンジニア
メーカーのソフト開発エンジニアと組み込み専門のソフトウェア開発企業のエンジニア。同じエンジニアでも、何か違いがあるのでしょうか。また、それぞれのメリットとデメリットは、どんなところにあるのでしょうか。
メーカーで働く場合の最大の魅力、それは製品開発の最初から携わる機会があることでしょう。
場合によって、社内のさまざまな分野のエンジニアと一緒に、新製品の開発プロジェクトに参加することになります。しかもそのときの立場によっては、製品の構想段階からコミットすることになります。
こうなると、製品のコンセプトの段階から実際に製品を世に送り出すまでの、ものづくりの流れを実際に見ることができます。こうしただいご味は、メーカーならではです。
■幅広い製品に携われるシステム開発エンジニア
最近は、組み込み製品のソフトウェア部分をメインに請け負うような企業が増えています。ここでは、そうした企業をソフトウェア開発企業と呼んでおきます。
企業によって異なりますが、ソフトウェア開発企業は1つの製品に特化するというよりも、幅広い製品の開発に携わることができる傾向にあります。受託する製品によって毎回開発する分野が異なり、「カメラならカメラだけ」ということではなく、さまざまな製品知識を身に付けられることが魅力といえるでしょう。もちろん、ある程度担当する分野が決まっている企業も多いのですが……。
ソフトウェア開発企業は、基本設計から詳細設計、実装、検証まですべてを行うこともありますが、企業によっては開発フェイズの一部だけに携わるケースも多いようです。
ものづくりの流れ全部を見るというよりは、技術力を武器に、実装部分にかかわることが多いのではないでしょうか。
少し付け加えると、ソフトウェア開発企業といっても、多くの形態があります。例えば、メーカー系(メーカーの子会社など)や独立系の企業などです。メーカーの戦略によって、子会社の役割もまた異なります。
こうした各企業の違いも、きちんと把握したうえで将来転職する際の検討材料にしてください。
■今後のキャリアプランで方向性は変わる
メーカーでは、経験を積めば積むほど、自ら設計をするよりも、開発が計画どおりに進んでいるかどうかを管理していくプロジェクトマネージャ的な役割を担うようになるキャリアが、一般的かもしれません。
従って、「ずっと自ら手を動かして設計したい」とか、「自ら実装部隊の先頭に立ちたい」という技術的な面でのスペシャリストを目指す方にとっては、メーカーは物足りなく感じるかもしれません。一般的にスペシャリスト志向の方はソフトウェア開発企業の方が、向いているかもしれません。
逆に「製品の企画から携わりたい」「プロジェクトをコントロールしていきたい」というキャリアプランを描いている方には、メーカーのエンジニアとして活躍して経験を積んでいくことが、自分自身のキャリアを実現する近道になることでしょう。
■まずは棚卸しから始めよう
上記は、これからのキャリアの方向性を決めているか、こうなりたいというビジョンがすでにある人向けの話です。
それでは、キャリアの方向性が見えていない人、迷っている人は、どうすればいいのでしょうか。
そうした状況にある人は、まずこれまでの経験について、自分の中できちんと棚卸しをしましょう。これまでの仕事の中で、「どんなときにやりがいを感じたのか」「物足りなさを感じる点は?」など、自分自身の考えや価値観ををどんどん掘り下げて考えるとともに、「それがどういう形であれば解決できるのか」「自分がどうなりたいのか」を併せて考えてみてください。
そう考えを進めていくと、メーカーのエンジニアがいいのか、それともソフトウェア開発会社のエンジニアがいいのか、おのずと見えてくることもあります。
関連記事 |
組み込みエンジニア、転職先選びのポイントは? |
筆者プロフィール |
淺井麻里(あさいまり)(パソナキャリア)●大学卒業後、半導体製造装置メーカーを経て、パソナキャレント(現パソナキャリア)に入社。企業営業担当として2年間製造業の企業を担当し、現在はキャリアアドバイザーとして、電気・機械・化学などのメーカー系人材の転職サポートを行っている。 |
@自分戦略研究所の転職関連の記事一覧 | |||
|
@IT自分戦略研究所は2014年2月、@ITのフォーラムになりました。
現在ご覧いただいている記事は、既掲載記事をアーカイブ化したものです。新着記事は、 新しくなったトップページよりご覧ください。
これからも、@IT自分戦略研究所をよろしくお願いいたします。