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特集:OSSにかかわるエンジニアたち

第4回 HTML5、Twitter4JにHadoopまで!「オープンソースカンファレンス2010 Tokyo/Fall」レポート


岑康貴、金武明日香、松岡瑛理(@IT自分戦略研究所)
2010/9/30


「オープンソースカンファレンス2010 Tokyo/Fall」2日間の模様を、フォトレポート。地方によるOSS利用からHTML5、Twitter4JにHadoopまで。

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 2010年9月10日〜11日の2日間、「オープンソースカンファレンス2010 Tokyo/Fall」が開催された。

 オープンソースカンファレンス(以下、OSC)は、オープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティの活動成果の発表や、開発者とユーザーとの出会いの場を提供することを目的にしたイベントだ。東京や大阪などの都市圏はもちろんのこと、北海道から沖縄まで日本各地を巡回している。今回のカンファレンスで、記念すべき50回目の開催を迎えた。

「オープンソースカンファレンス2010 Tokyo/Fall」
会場は、明星大学 日野キャンパス

●紹介する講演


『Web技術の現状と将来』

 インターネット利用の基盤技術であるWeb技術の国際標準規格を定めている団体 World Wide Web Consortium (W3C)の一色正男氏は、「Web技術の現状」について講演を行った。

 W3Cは政府からも企業からも独立した団体で、加入機関や団体は300を超える。現在、マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所(MIT/LCS)、フランス国立情報処理自動化研究所(INRIA)、日本の慶應義塾大学SFC研究所(Keio-SFC)という3つのホスト機関が運営している。「3つあるホストのうち、1つが日本にある。これはすごいことだ」と、一色氏は語る。

W3Cの一色正男氏

WWWの開発者、ティム・バーナーズ・リー氏と一緒に

 W3Cの大きな役割として「仕様書策定」がある。仕様書は、W3Cのメンバーや有志が集まって意見やレビューを行い、コンセンサスを形成しながら策定していく。ポイントは、「整合性」と「合意」の形成である。いろいろな人が作る仕様書の草案がバッティングしないよう、全体の整合性を調整しながら決める。最終的には、全員のコンセンサスを取らなくてはならない。最終判断は、WWWの開発者であるティム・バーナーズ・リー氏が行う。「1人の天才の脳内で、全体的な構成を決めてもらっている」そうだ。

W3Cの組織体制。Web技術の国際標準規格を作っている

●HTML5、そして「Web of Things」の時代へ

いま注目のHTML5

HTML5への歴史。ほぼ10年ぶりのバージョンアップ

  「ドキュメント共有プラットフォームから、アプリケーションプラットフォームに向けて、Webの果たす機能は変化している。標準規格もまた、この変化に対応しなくてはならない」。一色氏は、変化の一例として「HTML5」についての取り組みを説明した。防犯カメラやPOSシステム、スマートメーターにHTML5が対応した場合、Webがすべてのコントロールを握る「Web of Things」 の時代になると、一色氏は解説した。

『Hadoop〜Yahoo! JAPANの活用について〜』

 ヤフーのエンジニアの角田直行氏と吉田一星氏は、大規模分散処理システムHadoopの活用実例の発表を行った。

ヤフー 角田直行氏
ヤフー 吉田一星氏

 「わたしたちは、日々莫大なデータ量と戦っています。億単位の行数、テラバイト級のデータを毎日処理しなければなりません」と角田氏は語る。大容量のデータを扱う際、1台のサーバでは到底さばききれない。かといって、マルチコアによる処理は複雑すぎる。解決策として、ヤフーはHadoopを利用している。

Hadoopについて

 Hadoopは、処理時間が数分から数時間かかるようなバッチ処理に向いている。一方、Webのように即座にレスポンスが欲しい処理には不向きである。活用するのは、Hadoopの「MapReduce」と「HDFS」だ。MapReduceは巨大な処理を複数台のマシンに分散して処理するフレームワークで、HDFSは巨大なファイルを複数台に分割して処理するファイルシステムだ。

 ヤフーでは、検索サービスのログ解析全般にわたって、かなりヘビーにHadoopを利用している。事例は大きく「ログ解析」「検索関係」「機械学習」の3つに分けられる。具体的な導入例として、吉田氏は「Yahoo!検索」やレコメンデーションプラットフォーム、検索ランキングやモバイル検索などを挙げた。

「Yahoo!検索」での活用事例

ファイルの転送は、Hadoopのクライアントを使う

 「Hadoopは、大規模データを扱う処理や、大量の計算が必要なバッチ処理で使用する場合がほとんど」であるという。また、ヤフーが開発している検索プラットフォーム「ABYSS」にも、Hadoopを利用している(ヤフーのエンジニアが執筆するTechBlogに詳細がある)。

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データの解析処理などにHadoopを使用

『自治体向けWebサービスへのオープンソース適用』

日立製作所「自治体向けWebサービスへのオープンソース適用」。
講師の小野英治氏

OSSの魅力は、なんといっても低価格なところにある

将来的なOSS活用が最も見込まれるのが「政府・自治体」

『オープンソースのライセンス模擬試験』

一般社団法人日本Linux協会「オープンソースのライセンス模擬試験」。
講師で同団体の理事である姉崎章博氏。


問題は計15個。前半で問題を解き、1問ずつ解説を加えていく

OpenPrintingのドライバ構成を、協会副会長・樋口貴章氏が紹介する

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