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パソコン創世記


日電PC帝国誕生

富田倫生
2009/9/16

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 PC-8001の出足が予想に反して好調とはいっても、日本電気のまったくもって不得意とする民需製品。どこに危険があるか分からない。へたに先走ってパソコン部隊を独立させ、一人歩きしたとたんに落とし穴にでもはまったら責任の取りようがない。

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 また、そんなことにでもなれば、先走り傾向の強いマイコン販売部のサムライたちに、大きな傷を負わせることになる。そこで、出足好調とはいえパソコン部隊はあくまで半導体とこみにしておき、たとえ赤字を出しても好調の半導体で吸収する腹を固めていたのである。

 どうやら小林に、すっかり見抜かれてしまったらしい。

 「こりゃあもう事業部に格上げして、逃げられないようにした方がいいんじゃないか」

  小林はだめを押した。

 1980(昭和55)年4月、パソコン部隊は電子デバイス販売事業部内に新設された事業部に移ることになる。ただしこのときはまだ、大内はパソコン部隊を完全に独立させてはいない。新設された事業部の名は、マイクロコンピュータ応用事業部。担当はパーソナルコンピュータだけでなくマイクロコンピュータの利用分野一般。パーソナルコンピュータ事業部が設立され、パソコン部隊が完全な独立を遂げて社内に認知されるのはそれよりさらに1年後の1981(昭和56)年4月。PC-8001の発売から約1年半、TK-80の発売からは4年8カ月後であった。

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