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パソコン創世記
日本電気、電子計算機本流の系譜

日本電気のコンピュータへの取り組み

富田倫生
2009/12/17

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 配属されたセクションでやっていた、アナログ方式のコンピュータで潜水艦の航跡をシミュレートする仕事は、いかにも斬新で面白そうに見えた。地味ではあるが、電電公社の通信技術を支える日本電気という会社の性格にも、この実習で触れることができた。

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 大学に帰り、実習で触れたコンピュータに関する文献をもう一度読みなおしてみた。教授の世話で日本電気への入社が決まり、配属を決めるための面接では「デジタルコンピュータが伸びそうなので、ぜひやらせてほしい」と答えた。

 配属先は希望どおり、コンピュータの専門セクションとして2年前に作られたばかりの電子機器工業部となった。実験的ないくつかの試みを経て、日本電気は当時からコンピュータ事業に本腰を入れはじめていた。

 日本電気のコンピュータへの取り組みは、1954(昭和29)年ごろから始まった、論理回路用の素子に関する基礎的な研究にさかのぼる。

 このころ東京大学理学部で電子計算機に取り組んでいた高橋秀俊の研究室に入った後藤英一は、新しい論理素子を考案して注目を集めた。

 磁石を作る素材として広く使われていたフェライトを利用したこの素子は、パラメトロン★と名付けられていた。

 ★パラメトロンの誕生の経緯は、『日本のコンピュータの歴史』(情報処理学会歴史特別委員会編、オーム社、1985年)所収の「パラメトロン計算機PC-1とPC-2」に、後藤英一自身によって記録されている。師にあたる高橋秀俊の『電子計算機の誕生』(中公新書、1972年)には、パラメトロンの誕生とこれを利用した計算機の開発の経緯が詳述されている。

 後藤の回想によれば、高校時代からラジオ製作に凝っていた彼はアマチュアラジオ雑誌でフェライトを使ったオキサイドコアを知って興味を持ち、買い求めて遊んだ経験を持っていた。電子計算機に興味を持って入った高橋研究室はTACの開発計画にも加わっていたが、何千本もの真空管を使うものはとても手元に置けないことから、もっと簡単な方式で計算機を作れないかを検討していた。この研究室のテーマに知恵を絞っているとき、オキサイドコアの性質が素子として利用できるのではないかと閃いたという。

 本書でのちに詳述する安田寿明は『マイ・コンピュータ入門』(講談社ブルーバックス、1977年)で、「昭和初期、はじまったばかりのラジオ放送を聴くため、数多くの人々が、ラジオ受信機を自作し、ラジオ・アマチュアというあたらしい趣味のジャンルをひらいた。それがのちにラジオ文化、そして、いまのテレビ文化へと発展していく、いしずえとなったのである。コンピュータを手作りする人たちが出現したいま、これからの私たちの前に、どのようなコンピュータ文化、どのようなコンピュータ・ホビーが展開されていくのであろう?」と書いている。だが趣味のラジオ製作は、パラメトロンの誕生にも深く関与していたわけだ。

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