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パソコン創世記
日本電気、電子計算機本流の系譜

3年ぶりの大卒新人

富田倫生
2010/1/6

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本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 この年の4月、エレクトロニクスの産業振興を目的として設立されたばかりの電子工業振興協会は、各社のマシンを集めた電子計算機センターを作ってこの技術のPRに努めようと考えた。11月の開所に向けて、日本電気をはじめとして日立製作所、富士通、東芝が開発作業を進めたが、結局間に合ったのは日本電気のNEAC-2201のみだった。そのため電子計算機センターは当面この1機種のみでスタートし、正式な開所を翌1959(昭和34)年5月に持ち越した。

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 NEAC-2201は、国際的な桧舞台を飾ったことでも日本電気の関係者の記憶に深く刻まれた。1959(昭和34)年6月にパリで開かれたユネスコ主催の第1回情報処理国際会議に、日立のパラメトロン機とともに、日本電気はNEAC-2201を出展した。昼間動かして見せたあと、徹夜で修理して翌日に臨むといった綱渡り状態ではあったものの、NEAC-2201はこの会議に出品されたトランジスター式の電子計算機の中で、唯一観客の前で動いて見せることができた。

 パリでの成功のニュースを聞いた小林宏治は、電子計算機への取り組みに対する確信と自信とをいっそう深めた。小林は当時社長を務めていた渡辺斌衡(ぶえい)を説き伏せて電子計算機の事業化のレールを敷き、通信に続く日本電気の第2の柱に育てようと決意した。

 そんな時期、浜田は設立間もない専門セクションの電子機器工業部に配属された。 

 電子機器工業部で浜田の直属の上司となったのは、のちにコンピュータ担当の役員を経て副社長を務める石井善昭だった。

 東京大学第二工学部の電気工学科を卒業した石井は、1951(昭和26)年、朝鮮戦争の特需景気に日本経済が沸きはじめた年に、日本電気に入社した。

 ドッジラインに沿った金融引き締め策によって不況風が吹きはじめた直後の1949(昭和24)年4月には、日本電気は工場や研究所の閉鎖、人員整理に追い込まれた。この時期、新入社員の採用を手控えていた日本電気にとって、石井たちは3年ぶりの大卒新人だった。

 配属を決める際の面接には、玉川事業部の事業部長を務めていた小林宏治があたった。希望は、「極超短波の通信」と答えた。

 無線通信に用いる電波の周波数を上げ、いくつもの信号を重ね合わせて大量の情報を送ろうとするマイクロウェーブ多重通信は、当時の日本電気にとって華だった。

 有線をベースとした「伝送ではどうだ」と水を向ける小林にも、あくまで無線の「極超短波」と答えた。

 だが正式の配属先を決めるに先だって、半年ほどもかけて新人に各部署を体験させる研修期間中に伝送工場を覗いてみると、ここで扱っている技術にも興味が湧いてきた。最終的に配属先が決まる直前、小林宏治にもう一度「伝送でどうだ」と聞かれた際には、「お任せします」と答えた。

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