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パソコン創世記
英語版アストラで米国小型機市場を目指せ

ワープロの需要

富田倫生
2010/2/2

「キルドールのCP/M」へ

本連載を初めて読む人へ:先行き不透明な時代をITエンジニアとして生き抜くためには、何が必要なのでしょうか。それを学ぶ1つの手段として、わたしたちはIT業界で活躍してきた人々の偉業を知ることが有効だと考えます。本連載では、日本のパソコン業界黎明期に活躍したさまざまなヒーローを取り上げています。普段は触れる機会の少ない日本のIT業界の歴史を知り、より誇りを持って仕事に取り組む一助としていただければ幸いです。(編集部)

本連載は『パソコン創世記』の著者である富田倫生氏の許可を得て公開しています。「青空文庫」版のテキストファイル(2003年1月16日最終更新)が底本です。「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に則り、表記の一部を@ITの校正ルールに沿って直しています。例)全角英数字⇒半角英数字、コンピューター⇒コンピュータ など

 キルドールのコンサルタント仲間だったジム・ウォーレンはそのころ、ホビイスト向けに創刊されたばかりの『ドクター・ドブズ・ジャーナル(DDJ)』の編集を取り仕切るようになっていた。

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 たくさんのホビイストたちが、組み立てたシステムに自分自身でベーシックを載せ、自分のためのコンピュータを育てようと意欲を燃やしていることを雑誌への手応えを通じて感じとっていたウォーレンは、CP/Mを一般向けに売り出すようにキルドールに勧めた。マイクロソフトのビル・ゲイツはユーザーによるベーシックの勝手なコピーを強く非難し、誕生したばかりのソフトウエアベンダの中には一般向けに売ったりすればコピーのし放題でとても商売にはならないと考える者もいた。だが、まともなソフトウエアが充分安い価格で売り出されればユーザーは買うに違いないと確信するウォーレンの言葉に、キルドールは説得力を感じた。デジタルリサーチ社を起こし、マニュアル込みのセット価格70ドルで売ることを決めると、1976年4月号の『DDJ』にウォーレンがまとまった紹介記事★を書いてくれた。

 ★「フロッピーディスク・オペレーティング・システムに関する初報告/DECSYSTEM-10に類似したコマンド言語と機能」

 CP/Mには注文がすぐに集まりはじめ、草の根からの人気が高まっていった★。

 ★こうしたCP/Mの発展の経緯に関しては、ゲアリー・キルドール自身が1980年1月号の『DDJ』に書いた「CP/Mの歴史」に詳しい。

 事態は、キルドールの望みどおりに推移した。

 1977年にパーソナルコンピュータの製品化が一挙に進み、やがてフロッピーディスクドライブが広く使われるようになると、CP/Mは8ビットの標準OSとして認められるようになった。

 IMSAIをはじめとするライバル機に追われはじめると、アルテアでブームに火をつけたMITSのエド・ロバーツは、すぐに会社に見切りをつけた。いずれ大手がこの分野に参入してくると読んでいたロバーツは、電卓市場のニの舞を避けようと考えた。1977年5月、MITSはミニコンピュータ用のハードディスクなどを作っていた、パーテック社に買収された。

 IMSAIの時代もまた終わりつつあると考えたルービンスタインは、1978年に同社を去ってソフトウエアの会社、マイクロプロを設立した。ルービンスタインがまずやったのは、自分の2週間前にIMSAIをやめていた同社の元ソフトウエア開発部長、ロブ・バーナビーを雇うことだった。バーナビーはすぐにCP/Mの上で使う、2本のアプリケーションを書いた。1つは集めたデータをルールに従って並べ替えるためのスーパーソート。そしてもう1つは文字の入力や修正、変更を行うためのワードマスターだった。

 ルービンスタインには、ソフトウエアはやがて独り立ちした商品となるという確信があった。

 そうなったときに最大の利益を上げるためには、キルドールやゲイツのようにハードウエアのメーカーと供給契約を結ぶべきではなく、また通信販売に頼るべきでもない。流通業者のルートに乗せ、少しずつ生まれはじめた小売店で売るべきだと考えていたルービンスタインは、2つの製品の販売を通じて関係を持ったディーラーを繰り返し訪ね、市場がどんなソフトウエアを求めているのかをつかもうと試みた。

 多くのディーラーが声をそろえて求めたのが、ワードマスターをさらに進歩させ、文書作成に使えるワードプロセッサーを作ることだった。文書編集用のテキストエディターとして開発されたワードマスターは、印刷の機能が弱く、細かな体裁の指定ができなかった。こうした機能を強化して、いったんキーボードから入れた文章を後から編集、修正し、これをきれいに打ち出すことのできるワードプロセッサーに需要があることは、すでに明らかになっていた。

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