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国際競争時代に突入するITエンジニアに生き残り策はあるか?
日本人ITエンジニアはいなくなる?

第32回 “エンジニアにっぽん”にアジアのエンジニアが思うこと

小平達也
2008/12/24

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ITエンジニアの競争相手が海の向こうからやってくる。インド、中国、それに続くアジア各国。そこに住むエンジニアたちが日本人エンジニアの競争相手だ。彼らとの競争において、日本人エンジニアはどのような道を進めばいいのか。日本だけでなく、東アジア全体の人材ビジネスに携わる筆者に、エンジニアを取り巻く国際情勢を語ってもらった。

連載6年目を迎えて

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@IT自分戦略研究所の著者が多数出演
プロジェクトリーダーのためのスキルとキャリア
日時:2009年1月31日(土)
場所:ベルサール九段 参加費:無料

 本連載は今回で6年目を迎える。

 「ITの進化とグローバリゼーション、それに伴う仕事と所得の平準化に対して、自分戦略として個人の高付加価値化は必須である」という考えのも と2003年11月にスタートした第1回「海外のエンジニアは脅威か」では冒頭で以下のように述べた。

 「おそらく、読者が本文を読んでいるこの瞬間に、現在の仕事を『真正面から』奪われることはないだろう。しかし、3カ月後、半年後に、いまと同じ就労環境が続くとは、誰が確信を持っていえるだろうか。」

 2003年の文章である。それからすでに5年たったが、ITとグローバリゼーションの影響を皆さんはどう受けただろうか。変化を乗りこなし自らの力とすることができただろうか。それとも飲み込まれそうになっているだろうか。

 2005年に新卒学生の就職氷河期が終わり、2006〜2007年は企業にとって採用が難しい採用氷河期といわれた。現在は、アメリカのサブプライムローンに端を発した世界的同時不況の影響で、就職活動を始めた2010年入社の大学3年生は、厳しい就職難に見舞われている。国内だけをみても、わずかこれだけの期間で、なんという目まぐるしい変化だろう。

 同じく連載第1回では以下をお伝えした。

 「例えば、日本向けのオフショア開発のため、来日している海外ITエンジニアの数は氷山のほんの一角にすぎない。中国を中心とした、現地にいるITエンジニアが労働力の物理的な移動を伴わず(つまり来日せず、あなたの職場に来て隣の席に座らなくても)、現地にいたまま(つまりは現地の雇用システムに組み込まれていながら)、専用線を経由して日本の業務を支えることにより、実質的に日本の雇用市場に影響を与えているのである。」

 当時は一部の人たちにしかピンとこない話であったが、いまや中国のBPO(Business Process Outsourcing)要員が来日して研修を受けるというテーマが「OLにっぽん」というテレビドラマになり目に見えるところまで一般化してきた。このように、経済・社会的外部環境だけでなく、就職・転職活動でも、普段の職場での勤務においても、大きなうねりを避けて通れない。自分の人生を生きるのであれば、誰であろうと、どのポジションにいようと、自分で責任を持って行動しなければならない。さもなくば、ITエンジニアは「ニッポ二アニッポン(日本を象徴する鳥のトキ)」のように絶滅寸前まで激減してしまう恐れさえある。連載が6年目を迎える現在、筆者はあえて連載第1回と同じ言葉をいい続けようと思う。「ITの進化とグローバリゼーション、それに伴う仕事と所得の平準化に対して、自分戦略として個人の高付加価値化は必須である」と。

アジアのエンジニアたちが持つ日本企業へのイメージは「良い」

 海の(回線の)向こうのアジアのエンジニアたちは日本企業をどう考え、キャリア形成で何を重視しているか――ここにインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ベトナム、インドの人材を対象とした調査結果があるので紹介しよう。皆さんも一緒に仕事をする機会があるかもしれない。

図1 日系企業に対すイメージ 居住国別ランキング(N=2万8649人) 出所:ジョブストリート/エーオンコンサルティングジャパン

 図1の日系企業に対するイメージ居住国別ランキングを見てほしい。最も日本に好意的なのは、インドであり、「非常に良い」「良い」の合計が83.8%にも達する。次にフィリピン(77.9%)、タイ(75.3%)、インドネシア(72.4%)、ベトナム(68.8%)、マレーシア(65.7%)、シンガポール(51.9%)と続く。地理的にも、文化的にも遠いと思われるインドが1位にきているのは不思議な気がするが、実際には日本の情報がほとんど入らないため、自動車や家電など日本製品のブランドの人気と考えてもいいかもしれない。いずれにしても7カ国すべてにおいて半数以上が日本に好意的な回答を寄せている。日系企業のイメージは悪くなく、むしろ好意を持たれているようだ。

 上記の日系企業に対する好意的なイメージを裏付けるように、日系企業に就職を希望する人も全体の74%と多い(2)。

図2 日系企業への就職希望(N=2万8649人)  出所:ジョブストリート/エーオンコンサルティングジャパン


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