@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(42)
『少数精鋭の組織論』を読む
@IT自分戦略研究所 書評チーム
2008/9/11
■こざかしさは命とり
少数精鋭の組織論 斉須政雄(著) 幻冬舎 2007年3月 ISBN-10:434498028X ISBN-13:978-4344980280 756円(税込み) |
「コート・ドール」のオーナーシェフ 斉須政雄氏の仕事論。1973年に渡仏、85年に帰国。複数の三ツ星レストランで修業した。「基本を徹底することが堅牢な自律の方法ではないでしょうか」(『少数精鋭の組織論』、p.6)と斉須氏は話す。仕事で結果を出す人は一様にぶざまだ。効率重視のスマートさとは縁がない。修羅場の連続でストレスにまみれ、失敗してどん底にたたき落とされ、何度も絶望のふちをのぞきこみながら、それでも前進することをあきらめない人。
「多機能は故障しやすい。単機能の方がいい」(同書、p.32)と斉須氏はいう。その心は、能力は集中して使う方が効果が大きいから。あれもこれもと手を出すのではなく、1つのことに徹底してこだわる勇気を持つこと。「『要領よくうまくやろう』『逃げ場を確保しておこう』というこざかしさは命とりなのです」(同書、p.32)。技術者としての料理人の心構え。
堅実であることを何よりも重んずる。地に足をつけて普通の生活をすることの重要さを何度も何度も指摘する。例えば、掃除について。
仕事場が汚れていたら、誰かが掃除をすればいい。その誰かは最初に気が付いた人だ。それはあなた自身かもしれないし、あなたの先輩かもしれない。「誰が床を拭いていようがキレイになればいいんです。当たり前の空気がいつもそこにあることこそが大事なのです」(同書、p.154)。場の空気をつくるのは、その場で働いている1人ひとりの意識だ。自分ばかりがいつも掃除をしているなんて、損じゃないか? そんな意識を持った人々ばかりの会社はみじめだ。(鯖)
本を読む前に | |
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