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@IT自分戦略研究所ブックシェルフ(90)
脳のトラップと行動経済学

@IT自分戦略研究所 書評チーム
2009/3/5

■脳にだまされる

世界は感情で動く
マッテオ・モッテルリーニ(著)
泉典子(翻訳)
紀伊國屋書店
2009年1月
ISBN-10:4314010541
ISBN-13:978-4314010542
1680円(税込み)

 「ダニエル・カーネマン氏とバーノン・スミス氏の2002年ノーベル経済学賞受賞で思うこと」という短いエッセイで、大阪大学社会経済研究所の西條辰義氏は、社会科学における実験の重要性を指摘している。

 西條氏が、「経済学でまともな実験など不可能だ」と考えていた1980年代の後半、ミネソタ大学でバーノン・スミスという風変わりな学者が、オークションの性能を被験者実験で比較検証するというセミナーを開いた。当時の西條氏は「してはいけない研究」だという印象を持ったというが、約20年後、バーノン・スミスは、ダニエル・カーネマンという心理学者とともにノーベル経済学賞を受賞した(2002年)。スミスとカーネマンの研究(行動経済学と呼ばれる)は、実験を通じて観察したリアルな人間観を前提としている。特にカーネマンの研究は、人間の合理性と非合理性の関係を追究するものである。

 本書は、行動経済学の根幹である人間のリアルな行動にスポットを当てている。序文で、「『脳のトラップ』に負けないための、手ごろな辞典」(『世界は感情で動く』、p.22)とある。「意識」に対する「無意識」、「意思による操作」に対する「意思によらない操作」、「合理的判断」に対する「直感的判断」の豊富な事例を紹介することで、これまで経済学が前提としてきた近代経済人の“不自然な合理性”を批判し、生(なま)の人間の姿を描き出そうとしている。(鰆)

本を読む前に
『格差と希望』を読む (@IT自分戦略研究所)
PMの人間力が試される、「人的資源マネジメント」 (@IT自分戦略研究所)
ヒューマンスキルも磨いてほしい (@IT自分戦略研究所)


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